第35回MANGA OPEN、2次選考の議事録を公開します!

2014/03/06 00:00

MANGA OPEN] [新人賞

第35回MANGA OPENの応募総数は250本! 2次選考には22本が通過しました。

今回は久しぶりに映像でクオリティの高い作品が残る一方、MANGA OPENにおける「自由な表現」はどこまでが許容範囲なのか!? などシビアな意見も飛び交いました。入念な選考の結果、10作品が最終選考に進出しました。(関連ニュース

青年漫画誌でもっともデビュー数の多い、MANGA OPENの選考の様子をほぼノーカットでお届けします。どうぞご覧ください。

なお、第36回MANGA OPENの応募もすでにはじまっています。詳しくはこちらへ。


[漫画]『あおぞらプリズン』加藤カトヲ(東京都・34歳)

【ストーリー】 ある日、いつものように珈琲を飲み、平和な時間を満喫していたジャコウネコ科オオブチジェネットは、密造珈琲所持などの理由で警察に捕まってしまう。刑務所「あおぞらプリズン」に連れてこられた彼は、そこでたくさんの動物と出会い……。

事務局員・寺山
この作品、ページ数は多いんですが、一応2ページごとに話が切れるようにつくってあって、WEB連載に向いているんじゃないかと思いました。
編集部員・M村
WEBどうこうという以前に、この作品自体のセールスポイントが弱いんですよね。動物を描くにしても、もうちょっと可愛らしさがあったり、何かひとつ猛烈に推せるオリジナリティが欲しかったです。
事務局長・奥村
絵も、漫画じゃなくて、イラストっぽいんですよね。うまいとは思うんですが。
事務局員・柳川
動物が主人公ということで、共感しづらいですし、どう面白がっていいかがわかりづらいのがいちばん問題点だと思いました。みんなが知らない動物の知らない情報も盛り込みつつ、きちんと「ドラマ」を意識して描いたら、ちゃんと“漫画”になるんじゃないでしょうか。今回の2ページごとに読ませる構成じゃなくて、18ページくらいのストーリー漫画を描いてみたら、ドラマを描く練習になるかもしれません。


[映像]『猫、造ります』筧昌也(東京都・35歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】猫が絶滅した世界で、こっそり「フィルム」と名付けた猫を飼っている博士。フィルムと遊ぶようになった一人の子供。しかし二人の過失で、猫は事故死した。子供は成長し、ある時博士と再会する。そして博士の家で、死んだはずの猫「フィルム」に出会う。愛と欲がぶつかり合う、3話連載形式の動画。

編集部員・M村
この作品、セリフまわしが大人っぽくて、かつ、とても読みやすかったので、最後まで楽しんで見られました。年相応な大人の話を描かれているな、と。投稿作は映像ですが、映像といいながらコマを割っていたりして、きわめて漫画的なんですよね。作者と直接打ち合わせして、漫画を「描く」感覚というのがどれくらいあるのかというのを確認したい。個人的には、今後は映像作家ではなく漫画家として表現していってほしいなと思いますね。
事務局長・奥村
この方、第35回のちばてつや賞で佳作をとられているんですよね。
編集部員・T本
35回って、15年くらい前ですか。相当前ですね。
編集部員・T村
調べたんですが、そのときの投稿作は、美大の学生が、将来が決まらなくてウロウロするっていうものでした。さすがに15年も経ったからか、その時から比べると凄く進歩しています。この作品に関して足りない部分と言えば、大人が読んでも面白いと思える苦みだったり、人間の黒い部分を描いていないところだと思います。ただ、その足りない部分って、編集者が力添えをして補える部分だと思うんですよ。僕はこの作者はモーニングで即戦力になるくらいの才能の持ち主だと拝察しました。
編集部員・T本
僕は、絵がとてもいいなと思いました。画面を飽きさせない感じが凄い。背景も、全然手抜きがないんですよね。話はシンプルですが、主人公の気持ちの変化をちゃんと描いていて、お話の起伏を作れています。ただ、少し気になったのは、このお話を映像から漫画化した場合、何ページくらいになるのかなという点です。20ページくらいのページ数でこのくらい読み応えのあるお話を描けるんであれば、いいと思うんですが、漫画に換算したときに50ページくらいになっちゃうと、ページ数の割にお話が薄いかな、と感じてしまいます。ただ、今回はあくまで映像作品としての投稿なので、今後、漫画をつくっていくときに、1ページ1ページの密度をちゃんと保てるよう意識していければ問題ないと思いますが。
編集部員・T渕
すごく面白く観ました。ただ映像とは言っても、ページめくらなくてもコマを順に見せてくれる形式ですが、やたらゆっくりなんですよ。普通の人が漫画を読むペースの3倍から5倍ゆっくりなくらい。試しに3倍速で観てみたら、お話がストレートで毒が足りない部分が露呈したように感じてしまいました。動画がゆっくり「間」をもたせたつくりになっているから、あれこれ深読みしながら見ることになって、そんなに話の薄さは気にはならなかったんだけど。ただ、この作者は絵に魅力があるから、それだけで十分評価してあげたいですけどね。


[漫画]『ペンギン君』臼倉史(東京都・34歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】ある夏の日、駄菓子屋の店先でアイスの入った冷凍庫を眺めていた僕の目の前に、ペンギンが現れた。ペンギンは、『ペンギン君』というアイスに宿った精らしい。「僕を買っていきなよ」というペンギンと話しているうちに、僕にある記憶が蘇る——。

事務局員・柳川
この作品、今回の投稿作の中で一番良かったです!  個人的に一番好きでした。「アイスには消費期限はないけど、気持ちにはある」というセリフがとても印象に残りました。この一言が最大限に生きるよう、お話の設定や構成がよく練られていたと思います。ラストの、母親が自分を迎えに来るのをまだ期待している未練を、当たり棒を残して主人公が去るという演出で表現しているのがカッコ良くてグッときました。絵に関しては、味はあるのですが、初めて漫画を描いたというだけあって、まだ固い印象を受けます。ただ、どんどん練習していけば、まだまだ伸びる才能だと思います。是非担当について一緒に作品をつくっていきたいです。
事務局員・駒木根
私も、このお話が今回の投稿作の中で一番面白かったです。他の投稿作よりも、作家の視点が明確にあったので評価してます。
事務局長・奥村
最後、お母さんが登場するシーンが母親に対する未練というのは柳川の言う通りだと思うんだけど、アイスの精が出てきたことですでに非現実になっているから、ここで母親まで何の演出もなしに出してしまうとわかりにくいんだよね。そのあたり、もっとわかりやすく描いてほしかったかな。
編集部員・T本
この作品、コマ割りのテンポが凄く良かったですね。絵がちょっとまだ未完成だというのが気にはなりましたが。ただ、冒頭からいきなり変なものをもってきて、読者にちゃんと読ませよう、としているのは良かったです。奥村さんが言うように、よくわからない部分もありましたが、20ページでちゃんとお話をまとめているのも評価につながりました。ファンタジー要素を入れずに描いたらどんなものが描けるのか、読んでみたいですね。


[漫画]『マネージャーの横断幕』伊藤正臣(三重県・34歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】夏のある日、船渡山高校バレーボール部の部室から横断幕が姿を消した。7年振りに県大会出場を決めた部員たちのために、顧問の矢部はその行方を探す。そこへ現れたのが、普段部活に熱心でないマネージャーの高嶺だった。彼女は、部室から横断幕らしき布を持ち出す人物を目撃していた。顧問とマネージャー、二人による捜索が始まった——。

事務局員・寺山
担当です。2013年5月の「関西コミティア42」内で行った、「即日新人賞」(「モーニング・ツー」と「ITAN」で共同開催)に応募されて、最終選考に残った方です。他社の週刊少年誌で連載歴が一度あるのですが、その際は萌え系のような4コマ漫画を描いていました。ただ、「自分が本当に描きたいものは、もっと他にあるのではないか」と思われたようで、今回の応募作のような作風に以降している最中、という状況です。今回の応募作が、私が担当になって初めて描いてもらった作品です。
事務局長・奥村
相対的に見て、矢作さんの評価が高いようですが、いかがですか?
モーニング・ツー編集チーフ・矢作
一番思ったことは、「この作家は頭が良いな」ということです。ストーリーの軸は青春ものなのに、途中でミステリーの要素が入ってきますよね。しかも、それが結構ちゃんとしている。プロットの構成も、ミステリーとして破綻していない。こういった計算された話をきちんと作ることが出来る人は、珍しいと思います。あと、メインの登場人物二人の会話が、それぞれちゃんと成立していて、読んでいて「納得いかない 」という部分もない。作家としての地頭の良さが、最大の評価ポイントです。将来がとても楽しみです。
事務局長・奥村
この人は、ネームを出しての打ち合わせもちゃんと出来る人なの?
事務局員・寺山
はい。今回の応募作も、最初にネームを出してもらって、完成までに3~4回やり取りしました。
編集部員・T渕
この人の絵なんだけど、デジタルで描いてるよね? おそらく以前はアナログで描いてたんだろうと思うんだけど、その移行が、まだ上手くいっていないような気がします。
事務局員・寺山
絵に関しては、色々と模索されている最中だと思います。最初の連載が4コマだったということもあって、絵は以前とかなり変わっています。確かに、まだ発展途上だとは思うのですが、本人の中に「こういう絵が描きたい」というビジョンは強くあるようなので、そこは今後の作品でより良くなっていくと思います。
編集部員・T渕
デジタル作画は、環境によって出来がかなり変わるというのもあるんじゃないかな。ハードもソフトも、けっこうしっかりした高いものを買わないと、どう頑張ってもクオリティに限界が来る。誰が描いても同じような線になっちゃったり……。そこが原因だとしたら、もったいないなと思います。
編集部員・S沢
まあ、絵のことは新人であることを考えれば、十分だと思いますけどね。各所に工夫もされてるし、多分取材もきっちりしてる。ストーリーがあれだけ描ける人なら、キャラクター力がもっと身に着けば、良い作家になると思います。
事務局長・奥村
絵に関しては課題がありそうですが、評価も高いので、この作品は通過にしたいと思います。


[漫画]『鈍痛』金城亜美(京都府・21歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】セーラー服を着た女の子は、生理の度に、トイレに座って思う。「どうして無駄な血を流さなければならないの」。そんな折、彼女は男子生徒から告白を受ける。彼女は思う。「コドモを授かるために血を流すなら、血を止めるためにコドモを産むわ」。 そして彼女が選択したのは、こんな未来だった——。

編集部員・M本
私が担当ですが、この応募作は持ち込みを受けたものをそのまま出しました。今21歳で、大阪のデザイン専門学校を卒業されたばかりです。3作品持ち込みを受けたので、そのまま3作応募しましたが、私は『鈍痛』という作品が一番面白いと思っています。女性が感情のままに、直感で描いた作品で、個人的にもすごく好きです。これを商業的にどう売り出していくかというビジョンはまだ考えている段階なのですが、才能はものすごくある方だと思います。
事務局長・奥村
女性の視点、という話が出たので、女性編集者にも話を聞いてみたいと思います。駒木根は評価が高いけど、どう?
事務局員・駒木根
ストーリーは「モーニング」っぽくはないと思いますが、コマ割りや絵に才能を感じました。
編集部員・S沢
「モーニング」っぽいか、っていう議論は度々新人賞で出てくるけれど、今の「モーニング」には「モーニング・ツー」とか「モアイ」とか「週刊Dモーニング」とか、色々な場があるんだから、実はそこまで気にしなくても良いかなとも思います。むしろ、その自由さがMANGA OPENの売りでもあるわけだし……。
事務局員・寺山
この作家には、もっと他の作品も読んでみたいと思わせる力があります。独自のセンスもあるし、作家性も感じられる。M本さんとどういった作品を作っていくのか、とても楽しみです。
事務局長・奥村
評価が非常に高いようなので、この作品は通過にしたいと思います。


[漫画]『beginning』國分重里(千葉県・26歳)

【ストーリー】47歳の高校教師・黒谷は、女によくモテるが、それを煩わしく感じていた。そんな彼の家の隣に、親子が越してくる。そこの高校生の娘が、ある日、鍵を忘れたと言ってドアの前に腰掛けていた。放っておくわけにもいかず、自宅に招き入れる黒谷。そして、彼はかつて感じたことのない魅力を、この高校生に見出すようになって——。

編集部員・K本
この話を描いたのが男の人だったら、自身の欲望をストレートに出し過ぎていてちょっとどうかなと思うところですが、実際は作者が女の人だったので、評価が上がりました。実際に会って話を聞いてみたいです。
事務局長・奥村
僕も、この黒谷って先生、年齢の設定からすると考え方も気持ち悪いなと思ったんですが……。これって女性から見るとどうなんでしょうか。
編集部員・M川
シチュエーションとしては全然アリだと思います。でも、このシチュエーションと、登場人物の性格が合ってないかな、と思いました。
モーニング編集長・島田
俺からすると、こんな無茶苦茶な話、ありえないと思うけどね。
編集部員・M村
僕は……これは素敵なファンタジーだと思いましたけど。黒谷は、僕から見てもちょっとリアリティが……と思ったんですけど、女子高生の女の子がなんというか、ちょっとイイんですよ。
モーニング編集長・島田
そうか? この主人公の黒谷ってムカつかない?
編集部員・M村
いや、僕は良い夢を見させてもらいました。
一同
(笑)
編集部員・K本
でも、さっきも言いましたけど、そういう意味でも、これを女性が描いてるという点が面白くないですか?
編集部員・M村
そうなんですよ。普通、この手の話を女性が描くと、男のキャラクターに色気が出るもんなんです。でも、黒谷にはまったく色気がない。むしろ女子高生がとても色っぽい。それが不思議です。
編集部員・T渕
女性のキャラクターを描きたい人なのかもね。
編集部員・O嶋
でも、現状ではその一点しかない、とも言えるかと思います。ストーリーの練り方も十分とは言えないし、絵ももっと頑張ってほしい。女の子が可愛く描けるんだから、それを活かした話にしてみるなど、まだまだ手は尽くせるはずです。もっといい作品を描いてもらった方が、この作者のためにもなるかと思います。
事務局長・奥村
白熱の議論、ありがとうございます。まとめますと、K本さんとM村さんの偏愛を受けたようですが、それ以上の推薦が無いようですので、次回への期待も込めて、この作品はここで落選とします。


[漫画]『サンタが父で何が悪い』谷口千昂(岡山県・24歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】シングルマザーの母親に連れられ、父親だった人・マスオ君を訪ねたケンジ。母からの指令は、眠ったマスオ君の枕元にクリスマスプレゼントを置くこと。その年から、クリスマス限定のちょっと不思議な父子関係がはじまった。

事務局員・劔持
前回のMANGA OPENで奨励賞を受賞した谷口千昂さんです。前回の選考会で森高さんと東村さんに言われたことをふまえて、今回はファンタジーではないものを描いてみようと話して考えてもらった作品です。ネーム段階で見ていたものより原稿になったらずいぶん見づらくなってしまったなという印象なんですが……。ただ彼は今まで受賞経験がなくて、ずっとファンタジーしか描いてこなかったんです。初めて現実世界(?)を描けたってことは新たなチャレンジができたと思うし、大きな一歩だったかなという気がしています。いろんな人の評価をお訊きできたらと思ってます。
編集部員・M川
すごく面白かったです。ひとコマひとコマいろんな工夫があって、描き文字も独特だし、ストーリーも面白かったです。だけど、画面処理がうまくなればもっと読みやすくなるだろうからもったいないなーと思いました。
編集部員・Y原
タイトルの描き文字が読みにくいよなあ。線の太さを変えたりした方がいいんじゃないかな。
編集部員・K渕
しかし全部のコマがけたたましく主張してるよね。ひとコマひとコマがイラストみたいに主張していて、すっごく読みづらい! 描き込みを減らすだけでだいぶ読みやすくなると思うけどなあ。力作であることは間違いないんだけど、全部が過剰すぎるなと感じました。
編集部員・T渕
こういう人こそ、どっかにアシスタントに入るといいのかもしれないね。
編集部員・A山
さっき言われていた「過剰な感じ」というのが、僕は非常に好みでした。話の構造はよくあるもののような気もするんですが、それを超えてお父さんの過剰さが良くて読んでいて楽しかったです。
事務局長・奥村
課題を指摘する声もありますが、評価する人が多いので、この作品は通過とします。


[漫画]『びばのんの!』鶴羽あき(神奈川県・26歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】聖マリア女子学園で評判の才色兼備な特待生・阿部まりあ。ところがその実態は、風呂なし狭小住宅に住む銭湯常連の女子高生だった。今日は16歳の誕生日。彼氏との待ち合わせ時間まであとわずか。初エッチに備えて台所の瞬間湯沸かし器で体を清めるのだ。

事務局員・寺山
この人は、コミティアの出張編集部で持ち込みを受けました。その時に今回の応募作の原型みたいなものを原稿で持ってきてくれたんですが、その原稿のままだと描いてある内容がわかりにくかったので、もう一回ネームから描いてもらって、リメイクしてもらったのがこの作品です。悪く言えば毒がないんですが、良く言うと楽しい漫画を描く人だなと思って、そこを高く評価してます。今作もそこが出るように意識して描いてもらいました。
編集部員・F沢
たしかにテンション高くて楽しげではありますが、想像の範囲を何一つ超えてこないんですよね。残念ながら、私には絵空事だなとしか読めませんでした。まあ、スベっちゃったかなという印象です。
編集部員・S木
僕も楽しく読んだんですが、いかんせん絵が雑ですよね。それが残念でした。
事務局長・奥村
なるほど。ただ一方で、編集長はこの作品・作者のテンションの高さを評価しているみたいですね。
モーニング編集長・島田
そう。テンションって天性のものだからね。画面にテンションの高さが出てるでしょ。やっぱ描いてる人のテンションが高いと漫画も楽しいんじゃない? あとね、この人は絵がうまくなっていくと、パッと見た時に「あー、あの人の絵だ」ってわかる絵になりそうな気がするんだよ。
事務局長・奥村
本人もテンション高い人なの?
事務局員・寺山
いえ、本人はいたって普通の真面目な主婦です。
モーニング編集長・島田
お風呂がなかったってのは自分の体験?
事務局員・寺山
ある程度は体験をもとにしているらしいです。
モーニング編集長・島田
それもちょっと虚をつかれて面白かったんだよね。風呂がないってのは大変だよなーと思ってさあ。しかも年頃の娘が(笑)。
事務局長・奥村
森高さんや東村さんがどう評価するかも気になりますね。才能を高く評価する声もあるので、この作品は通過とします。


[漫画]『マイホーム』ナガタマキコ(東京都・34歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】人形師の祖父のもとで暮らす小学5年生のマイ。芸術家を目指す父は典型的ダメ男。母は五年前からもういない。おまけに祖父と父はいつもぎくしゃく。傷を抱えながらも日々を過ごす「家族」の風景を、素直な少女・マイの視点を通して描く——。

編集部員・G藤
担当です。ちば賞に2度投稿経験があって、両方ともわりとドロドロとした話でした。ただ、今回は方向性を変えて「家族」をテーマにしようかと。ネームのやり取りをしていく中で、話を1つに絞るのもアリかと思ったのですが、本人がこの話にどんどんのめり込んでいったので、2話分を見てもらうことにしました。
モーニング編集長・島田
相対的にはこれが一番良かったな。子供の描写も生き生きしているし。ただ、小学5年生くらいの子が、自分のことを自分の名前、この作品で言えば「マイ」って呼ぶかな?
編集部員・G藤
少しぼやーっとした女の子で、ややもするといじられる、っていう設定があるんです。
モーニング編集長・島田
自分のことを自分の名前で呼ぶかどうかはキャラ設定の根幹に関わる問題だけど、これを止めさせて「あたし」にすれば、すごく印象が変わる気がするけど。今のままだと、ちょっと自分に甘い子に見えるね。
事務局長・奥村
今までの作品と比べて、女性の顔にすごく変化がありますよね。うらみがましい感じで目を逸らしている顔だったのが、女の子の目が真っすぐで強い顔になったな、と。何か担当としてアドバイスなどはしたんですか?
編集部員・G藤
そんな大したことは…。作者が、主人公のこの子供にぴんと来たってことでしょう。
編集部員・Y原
思うんだけど、子供を描くよりも、親父の方を主人公にしたら良かったんじゃないかな?
編集部員・T渕
そうですかね。親父はちょっと無理して描いている感じがしましたけど。実際にこういう人がいるっていう触感がなくて、二次創作的なところがあるというか…。
モーニング編集長・島田
ただ、エンタメとして商業誌に載るのはどういう作品なのか、を突き詰めた上でテーマを「家族」にしたんだろ。自分の頭でモノを考えている点で、俺はこの作品を評価してるんだ。仮に連載になるとしても、やっていくうちに何とかなるって。


[漫画]『KABU伎男』山下慶子(大阪府・24歳)

【ストーリー】地味な顔に劣等感を抱く中年男・地田次郎(じだじろう)は、ある日、上司に誘われ嫌々向かった先で歌舞伎に出会う。地味な顔だって変えられる——衝撃を受けた彼の新しい生き方が始まった。

事務局員・高橋
持ち込みを受けて担当になりました。何が描きたいのかを聞いたところ、周りに女装する友人がいることや歌舞伎が好きだということなので、じゃあ歌舞伎の話にしようか、と。ギャグが暴走気味でついていけない時があるのですが、地味目なおじさんの顔が何とも言えず魅力的なのと、不思議な間を持っているところに魅力を感じました。
編集部員・T渕
「私にもうメイクはいらない」ってオチはどうなんだろう。自信を持ってメイクするという終わり方ならともかく、これじゃ歌舞伎とか女形に対してすごく失礼だよ。
編集部員・M村
本当にそうですよね。ここまで描いてきたことが全て台無しになってしまうオチ。俺は一皮むけたからもうメイクはいらない、って感じがします。
編集部員・F沢
確かに最初から話は破綻しているなとは思います。ただ、この人が持っている変な間というところは魅力的。作家性は評価したいです。
編集部員・S木
私もそう思いますね。こういう話ってつまらなくなりがちだけど、独特の間で最後まで面白く読めました。顔にも妙な存在感があるし、コマ割りも面白い。この人が持つ作家性をもっと引き出しいくのがこれから大事になっていくと思います。


[漫画]『檸檬』三島(大阪府・19歳)

【ストーリー】幼馴染の海(うみ)とサチ。高校で陸上に励む海はレモンが嫌い。サチがレモンの砂糖漬けを差し入れても決して口に入れようとしない。それでもレモンを海に食べさせようとするサチ。その理由は、幼い頃に交わしたある約束があるからだった——。

事務局員・寺山
この方は、「即日新人賞」の派生イベント、「即日漫画学校」を大阪の書店さんで開催した時に持ち込みに来てくれたました。19歳と若いのに、とてもいい絵を描く人だなと思いました。なので、新しい作品を描いたらまた持ってきてください、と声をかけたんです。すると一週間後くらいにはもう「次、描いたので持っていきます」と電話が来ました。とてもやる気がある人だと思います。
編集部員・K渕
女の子がこの男の子をどうして好きなのかさっぱり分からないし、絵もほとんどバストアップですごく読みにくい。ただ、ところどころでいい絵がある。19歳でこれだけ描けるというのはすごいことだよね。担当が上手く引っ張っていければ、化ける可能性は大いにあると思います。
編集部員・M川
一瞬、地味なのかなと思う絵ですが、よく目が留まるんです。決めゴマの表情なんて今でもちゃんと覚えているくらい。話とも合っているし、とてもピュアで爽やかな気持ちになりました。
編集部員・K林
今回の応募作の中では、画面構成や描き方のバランスが一番良いですよね。背景にも手を抜いていない。こういう人は伸びると思います。男の子の気持ち云々がほとんど描けていない点も含めて、物語としてはまだまだ突っ込みどころ満載ですが、2、3本描いたら一気に化けるんじゃないかな。


[漫画]『もうじゆう』鈴木智(東京都・29歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】あるところにある刑務所は、まさしく“孤島”だった。本土からは遥か遠く一度踏み入れれば出るのは死を以てのみ。しかしここにいる囚人たちは、この場所を「楽園」と呼び、快適な生活をしているのだった。

事務局長・奥村
2作品応募してくれていますが、その内の1作品は他誌に掲載されたものみたいですね。
編集部員・F沢
以前、担当だった人の作品です。彼は以前、大学在学中にちば賞に応募してきて、その時は時代劇の話で準大賞を受賞しました。もう5年以上前の話ですかね…。彼はすごく純粋で、理論も志もある人です。ただ、なんか尾崎豊みたいに「世の中間違ってる!」と主張してましたね。だから当時、冗談で「じゃあ、社会に参加するために大学やめて工場とかで働け!」と言ったら、本当にやめて田舎に帰っちゃったんですよね。田舎ではカラオケボックスで働いてたみたいです。その後は、漫画を他の出版社の新人賞に出して賞を獲ったりとかしてたみたいです。そこらへんから、あまり付き合いはなくなりました。当時に比べると、絵はすごくこなれてていいですね。一生懸命テーマを設定して描いているけど、でもやっぱり相変わらず観念的なところはあるかな、と個人的には思いました。誰か、新しく担当になってくれたらいいと思います。
編集部員・K井
ストーリーはまとまりに欠けるところがあるけれど、人物の表情がすごくいいですよね。あと、テーマをみて「青臭いこと考えてるんだろうなぁ」と思ってたら、まさにその通りで(笑)。こっちからしっくりくるテーマを提案したら、うまくいくんじゃないかと思いました。
編集部員・T本
僕も絵がとってもよかったです。今、男っぽい絵を描ける人や力のある絵を描ける人って少ないので、すごくいいですよね。正直、どこかで読んだことのある話だな、と思うようなところもあったりはするのですが、根底にはきっと「汚いもの」であったり人間の「業」みたいなものを描きたいというのがあるんじゃないかと感じました。それはいいことだと思うので、編集者としっかり打ち合わせをしてどんな話を作り上げていくか、ということがこれから重要だと思います。
編集部員・M村
僕も今回応募があった作品の中ではすごくよかったと思います。しっかりした構造があったので、次のページをめくりたくなる作品でした。ひとつだけ気になるのは、キャラクターの顔がパッと見て好きになれなかったことです。いやーな目をしてるんだよね。
編集部員・T渕
僕もM村と同じでおもしろく読んだんだけど、キャラクターの顔が怖かった。
編集部員・M村
なんか堅いんだよねぇ。
編集部員・F沢
彼はすごく真面目なんですよね。そこをほぐしたかったんですが、当時はうまくいかなかったんです。今もやっぱりそういう面は感じますね。
モーニング編集長・島田
そう考えると、天性の明るさって重要だよなぁ。絵とかは下手なんだけど、なんか読んでて楽しいなって作品あるもんね。
編集部員・M村
この人に明るくて楽しい作品を求めるのはなんか違うと思いますけどね(笑)。
モーニング編集長・島田
そうだね(笑)。ハッピーエンディングとかいい話っぽいのを目指すよりも、ドロドロの暗い話を目指してみるのもいいかもね。
事務局長・奥村
評価が高いようなので、この作品は最終選考に残すことにします。


[漫画]『眠り姫症候群 Act.1~Act.3』深田亘(東京都・27歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】原因不明の深い眠りに落ちてしまう奇病、眠り姫症候群。覚醒させるためには運命の人の接吻が必要とされる。けれどその運命の人は、必ずしも自分が望む人ではなくて……。

事務局員・高橋
担当です。この作品は持ち込みで受けて、いいなと思ったので賞に出すことを薦めました。「チューして目が覚める」みたいな設定はありがちですが、そのあとイチャイチャする展開じゃなくて、望まない人同士がチューをする、というのが面白いと思いました。人間のみっともないところみたいなのがしっかり描かれているところを評価しています。終わり方は、もうちょっと工夫できるかと思いますが…。
編集部員・O道
人がなかなか抗えない運命みたいなのに翻弄される、というテーマがしっかりしていて、それに対して色々なキャラクターが動いているところがよかったです。若干雑だなぁと思うところはありましたが、才能はある人だと思います。
編集部員・T内
アイディアは面白いですよね。でも、全体的にちょっとおしいな、という印象です。絵柄的にはメジャー感みたいなものはないですが、センスは感じました。これからの期待をこめて、高得点をつけました。
編集部員・A山
キスで眠り病にかかった人を起こす、というワンアイディアだけでストーリーをうまく転がしていると思いました。あとは、MANGA OPENの作品ってけっこう長くダラダラしちゃうものも多い中で、短くきちんとまとめているところを評価しました。
事務局員・上甲
僕は逆に、このアイディアでいくんだったら、もっと面白くできそうだなーと思いました。斬新なアイディアではないので。あと、もう少し絵はうまくなるといいですよね。
編集部員・K渕
僕は、このアイディアだけでうまくまとめたなーと思いましたよ。よくこれだけ描いたな、と。
事務局長・奥村
推す意見が多いようですね。では、最終選考に残しましょう。


[漫画]『狐の甘露酒』高松美咲(石川県・21歳)

【ストーリー】ある金曜日。仕事でとんでもないミスをし落ち込んでいた主人公が、おいしそうな匂いに誘われてたどり着いたのは、なんとも不思議な居酒屋だった。

事務局員・高橋
担当です。この作品はストーリーは正直ないようなもので、評価はしづらいと思うのですが…全編カラーで描かれている絵はとてもよくて才能があるな、と思ったので賞に出すことを薦めました。今、大学生でこの作品は授業の課題で作ったものだそうです。だからちゃんと打ち合わせしたら、もっといいのが描けるんじゃないかと思います。実は、今も別のネームを描いてもらっているところです。すごくやる気のある人です。
事務局長・奥村
この人は、この作品のストーリーラインが弱いということは自覚してるの?
事務局員・高橋
はい、してます。
編集部員・Y原
僕は、ちょっと厳しいなぁと思いました。授業の課題って聞いて、なるほどと思いました。ものすごく課題で描きそうな作品だな、と。あと、この作品はカラーで描く意味があんまり感じられなかった。カラーだけだと普通にマンガを描いたときどうなのか、判断できないですね。
事務局長・奥村
1色で描いたものを応募した方がいい?
編集部員・Y原
そうですね。商業誌のほとんどがモノクロの作品を載せることを前提にしていますし、この人のカラー技術もまだまだなので、そっちのほうがデビューが早いと思います。カラーだけで食べていくのは難しいですよ。
事務局長・奥村
他に推す意見もないようですし、高橋といま一緒に作っている次の作品に期待、ということで今回はこの作品はここで落選とします。


[漫画]『さよりちゃん、そっちじゃないよ』北村アメ(東京都・27歳)

【ストーリー】巨乳のさよりちゃんと貧乳の北条院さんが繰り広げる、乳にまつわるよもやま女子高生4コマショート。

編集部員・G藤
前回のMANGA OPENの一次選考で落ちた方なんですけど、その時に描いていたものよりも「読みやすく分かりやすく」を目指して打ち合わせしたのがこの作品です。ネームができた時も原稿ができた時も、「この作品はモーニング向きか」という事は気にはなっていたんですが、それよりもダイレクトにこの作品の評価を聞きたくて今回のMANGA OPENに出しました。
編集部員・M本
モーニングじゃなくて他の雑誌の方が向いているんじゃないかな? でもよそで通じるかどうかって、本当の意味では分かんないよね。
編集部員・K林
この絵でこのネタはちょっと厳しかったかな、と。こういう巨乳ネタっていうのは、描き手がすごい巨乳好きっていうのが前提にないと勝負にならないと思います。モーニング向きかどうかっていう事よりもそこが気になりました。
事務局長・奥村
もともとこの作者は巨乳好きっていうことがあったんですか?
編集部員・G藤
いや、この方がおっぱい好きでっていう事じゃなくて、担当のオレが単純におっぱい好きだった、ていう(笑)。本人は試行錯誤する中でそのネタでやってみようか、という流れですね。ただ、編集部の評価を見ると、この方向性がこの人に向いてないんだっていう事はよくわかったので、次に生かしたいと思います。
事務局長・奥村
では、この作品は落ちにします。次回作に期待しましょう。


[漫画]『社員登用あり』ヨコイマリコ(兵庫県・24歳)

【ストーリー】遊園地でゾーンのリーダーとして働く関根は人望もなければ、女にもモテない。職場の人間関係は一人のビッチによってムチャクチャだが、そのビッチが何だか気になってきて……!?

編集部員・G藤
前回のちばてつや賞入選だった『バカな女』を描いた方です。あの時にはもうこの原稿に着手していて、せっかくできているなら賞に出そう、ということで今回のMANGA OPENに出しました。前作の『バカな女』がビッチを描いてうまくいったので、「ビッチが世の中をかき回すような話を描いてください」という打ち合わせでこの作品ができました。
編集部員・K本
前回の作品の方が荒削りだったけど、引っかかりがあった感じがしました。今回の作品は全体にわかりづらい感じがあるうえに、前回に比べるとパンチに欠けるというか。
事務局長・奥村
今回、主人公の男性のキャラクターが弱く感じて、さらにビッチの女性が脇にいきすぎちゃってあまり生きてないように感じましたね。
編集部員・T渕
私も前回はすごく好きだったんですけど、今回は行儀よくなっちゃったな、と。前作のビッチのお姉ちゃんのキャラクターは、「それは違うだろう」と突っ込みつつも、そのキャラクターの強さに押し切られる感じがあったんだけど、今回の作品は、「この女がビッチだからダメなんだ」という価値観が最後まで変わりませんでした。
編集部員・K渕
俺も同じで、前の方がよかったな。構図は前回とほぼ同じだけど、今回はビッチに主人公が振り回される感じというのが弱い。前作のビッチのお姉ちゃんには「大義」みたいなものがあったんだけど、今作ではそれがなくただ流されているように描写されているので、「ただのヤリマンの女の子」というように見えてしまっていると思います。
事務局長・奥村
うーん、今作を押す声がちょっと少ないので、残念ながらこの作品は落ちとします。


[漫画]『リスカちゃん』十路佳人(東京・21歳)

【ストーリー】私はリスカちゃん。

編集部員・S根
持ち込みを私が受けまして担当ではないのですが、面白いと思ったのでMANGA OPENに出してみたらと勧めました。この作品の前半部分は2年前に学校の課題として描かれたものです。そして、後半のストーリー漫画の部分は最近半年ぐらいで描かれたものですね。
編集部員・K渕
この作品は内容的に雑誌に掲載するのは難しいと思う。その時点でこの場で議論する意味があるのかどうか、ちょっと疑問に感じます。
編集部員・M村
確かにこの作品を雑誌に掲載するのは無理だと思います。まあただ、2年前に授業の課題として描かれた作品であるという出自なら、しょうがないかなと思うところもあります。1次選考の時に私が評価したのはキャラクターの目力が強いという所で、この作品で賞を取るのは難しいかもしれないですが、将来的にはいいキャラクターを描いてくれそうだな、と感じましたね。
編集部員・T渕
まあ新人賞なので、作品のモラルであるとかその内容が掲載できるかどうかっていうのは二の次にしてもいいと思うんだけど、自分が主人公と同じ経験をしてたからそれをネタに、ギャグっぽい事にして描いてもいいというのは、違うのかもしれないな、と感じました。
事務局長・奥村
評価する人が少ないので、次に描く作品に期待という事で今回は落ちとします。


[漫画]『トロンプ・イユ』河陽(東京都・37歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】独房に収監されて5年。画家・佐々正義はコンクリートの壁に、天井に、絵を描き続ける。そして美しい風景が監獄を彩った。彼はなぜ絵を描き続けるのか——。

編集部員・S根
私が担当です。今回が新人賞投稿3回目になります。いままではストーリーに破綻があったりしたのですが、この作品は最後まで描き切れたのではないか、と思います。今後も絵画をテーマにした作品を描いていくつもりです。
編集部員・K渕
面白かったです。こういう漫画を描く人最近少ない気がする。ちなみに『トロンプ・イユ』ってどういう意味なんでしょう?
編集部員・S根
「だまし絵」を意味するフランス語です。
事務局員・上甲
前作と比べて進化してます。はるかに読みやすくなっていてびっくりしました。
編集部員・Y原
でも、どうしても荒木飛呂彦先生の『死刑執行中脱獄進行中』をイメージしてしまうんですよ。
編集部員・M村
そう。面白かったんですけど、あまりにも荒木先生の感じが強すぎる。というか、いくら何でも影響受けすぎじゃない?
事務局員・劒持
この作品って、みんな「面白かった」の後に「けど」を付けるんですよね(笑)。
事務局長・奥村
すごくまじめに描いた結果ギャグになっている。そこがいい点だと私は思います。本人が自覚的にそのズレを描ければいいのですが。問題はみなさんがおっしゃるように、今後どうするかということ。森高先生、東村先生に、ぜひそのあたりを聞いてみましょう。


[漫画]『顔は普通でいいんじゃない』夏見理奈(東京都・25歳)

【ストーリー】感情が昂ると顔がワニになってしまうサラリーマン。そんな彼が一目惚れしてしまって……。

編集部員・S根
担当です。この方は、以前ちば賞で『ベンとジェイのコニチ和ジャパン』という作品を応募しています。私はこの作品のテイストがとてもいいと思いました。才能を感じています。ギャグ漫画って万人に通じるものではないと思いますが、この作品はある一定の層にウケるのではないでしょうか。生産量もある人なので期待しています。
編集部員・K藤
僕はあまり面白いとは思わなかった。作者の都合いい形で、話を展開させすぎています。
編集部員・A達
ちょっと長いな、とは思いましたけど、ギャグ漫画のパターンである「変身する」という要素を使って、うまく話を展開させていると思います。面白かったですよ。
事務局員・駒木根
前作よりも良かった。最後まで読めました。ワニの表情が良かったです。でももっと面白くできたんじゃないでしょうか。
モーニング編集長・島田
S根の言うとおり、ギャグ漫画は誰にでも通じるものではない。でも、その前にギャグ漫画というのは今の時代に受け入れられるモノかどうか、新しいモノかどうか、そういう点がすごく重要。この作品を面白いと感じる人はいるかもしれない。ただ、まったく目新しくないよ、これ。
編集部員・Y原
本当にウケるギャグ漫画なら、強烈に推す人が出てくる気もしますが……。
編集部員・T渕
加えて「私にはイマイチだったけど、これにハマる人はきっといる」という視点から推す人もあまりいない印象でした。
事務局長・奥村
担当以外に強く推す声が出ませんね。次回作に期待しましょう。


[ネーム]『海より孤独』サイ(埼玉県・47歳)

【ストーリー】荒れ狂う海は、ベルタからすべてを奪った。夫に続いて最愛の一人息子・ジェドが亡くなったのだ。すべてを捧げ息子の無事を祈り続けてきた彼女は絶望の淵に落とされるが……。

編集部員・M川
すごく面白かったです。最初見たときは、120ページは辛いかなと思いましたが、オチもキャラクターもセリフ運びも、いい意味で期待を裏切ってくれました。びっくりして思わず満点をつけました。ストーリーを作るのが非常に上手い人なんだと思います。今回一番印象に残った作品でした。
編集部員・T渕
私も満点をつけました。作品の面白さというよりも、作者の力量を評価しました。圧倒的にうまいと思います。構図も完璧。コマ割りもいい。テクニカルでありつつ、この話を描かなければいけない、という気持ちも感じた。過去にどこかの新人賞を受賞しているとか、どこかのアニメスタジオで働いているといった経験を持った人ではないでしょうか。完成原稿ではなく下書きなのに、死んだ息子の顔が月日が経つほど、残された母の記憶の中で、色っぽくなっていくのを描けていましたし、120枚も描いているのにタッチがぶれていない点など、圧倒的な力量だと思います。
編集部員・K渕
私もものすごく面白かった。でも漫画じゃない。小説だった。絵を見ても誰が誰だかわからない。ただ物語の引っ張っていく力はすごかったです。息子を失い、心を閉ざした母親に、生き残った男がだんだんと心を通わせていく描写などすごくうまいと思いました。ただ漫画としては読めなかったので、最終選考には残せないんじゃない? 原作者となるべきかどうか考えどころですね。
編集部員・S宮
K渕さんと同意見です。物語としては非常に魅力的だと思うんですが、漫画としては読めませんでした。この作品に関しては、下書きではなくペン入れした原稿で読みたかったですね。そうしたら印象が変わるかもしれない。次回作に期待したいです。
事務局長・奥村
では、次回作に期待するということで、ここで落選とします。


[ネーム]『酔っ払いレスキュー24時』南門前クマヲ(東京都・38歳)

【ストーリー】月末の金曜日、ここは東京新橋のとある居酒屋。大宴会の幹事を任された鳥飼は、暴走している酔っぱらいに翻弄されていた。収拾がつかなくなると思われた時、謎の集団がやってきた! 嘔吐をスムースにさせ、上司と部下のいざこざをなだめ、会費の計算をこなし、二次会の予約も完璧。彼らは消防庁の酩酊者特別救助隊、通称酔っぱらいレスキュー。彼らの目的はなんなのか!?

編集部員・S根
この方はぼくが持ち込みを受けました。他社のWEB漫画でデビューしていて、3回ほどネームを直して回提出しました。担当したい方がいればというところも含めてご意見お願いします。
事務局長・奥村
この作品はF沢さんが「リアリティがある」と推しているようですが、いかがでしょう?
編集部員・F沢
今回、スタイルはあるけれど何が描きたいのかいまいちわからない作品が多い中、この作品はギャグだけどリアルで、単に机の上で考えて描いたものではないという印象を持ちました。
事務局員・寺山
楽しい感じのネーム原作で、この人が描くというより、かわいい絵をかける人で主人公を女の人にすればよいのではないかなと思いました。ただ、最終選考まで残るレベルかというとちょっと厳しいと思いました。
事務局長・奥村
積極的に推す人が少ないですね。この作品は落選とします。


[漫画]『ベレンガリア』いさかわめぐみ(埼玉県・28歳)

【ストーリー】父に先立たれ後妻である義母に下女のようにこき使われているベレンガリア。19歳になった時、義母に修道院に行くように命じられ、生家を乗っ取られてしまう。生家を取り戻す算段をしている時、ベレンガリアは狼に襲われている若者を助け、そのお礼目当てに彼の家についていく。そこで遭遇したのはなんと……。

事務局長・奥村
それでは最後の作品になりました。こちらの作品はA山くんが比較的高評価ですが、いかがでしょう?
編集部員・A山
ぼくの場合は平均点が高いので、これを特別に高く評価しているという訳ではないのですが(笑)。世界観があって、お話としてまとまっているかなとは思いました。
事務局長・奥村
寺山も評価しているようだけど、積極的に推すポイントがありますか?
事務局員・寺山
ぼくがこの作品、この作家さんをいいなと思ったところは、主人公が弓を射る時の表情です。すごく魅力的だったんです。こういう表情を描ける人は、今後訓練を積めばいいセリフにいい表情が重なり、魅力的な作品を生み出せるのではないかと思い担当を希望します。
事務局長・奥村
寺山以外にこの作品を積極的に推す人はいますか? ……それでは、寺山に担当についてもらって、次回作に期待しましょう。


MANGA OPEN事務局員プロフィール

事務局長・奥村
“ゆるんだオヤジ”が代々務めてきた事務局長の座に新風を吹き込んだ、某編集局ホスト部出身と噂される細マッチョ。体型を見せつけるボディコンシャスな服を完璧に着こなし、どことなく猛禽類を思わせる風貌なので一瞬怖いが、その性格は“世話好き&ワイドショー好きのオバチャン”なのでご安心を。
水野
暇さえあれば向かいの席の新入社員(♂)にエロ話を始めるAV男優系漫画編集者。かつて所属していた週刊現代編集部ではエッチな特集ばかりを担当していたとかいないとか。気のせいか喫煙室で煙草を吸う手つきがいやらしく見える。
上甲
爽やかなネイビーのストライプシャツに、いい感じにロールアップしたデニムを穿き、ざっくりした風合いのダッフルコートをまとった、「ほめられコーデ」の達人。しかし哀しいかな。近寄れば、育児と長時間労働の疲労がにじむ、単なる中年のおっさんなのである。
駒木根
「あん?  プロフィール?  テキトーに書いとけば」と命令する、サバけた女。宇宙を舞台にした作品を担当しているので、小さいことは気にならないのだろう。
柳川
藤圭子の『圭子の夢は夜ひらく』を唄い、講談社社長からも激賞された事務局の歌姫。情感たっぷりの歌声に編集部員一同が思わず涙したのは、上手かったからだけでなく、どこか薄幸な過去を感じさせたからである。
剱持
グンマ名物の「からっ風」を浴びすぎて、髪のキューティクル感がゼロとなった北関東原人。三度の飯より『キャビン』(洋画)好き。何時間でもその魅力を語ってくれるが、どうしても『キャビン』を観ようという気にならない。なぜだろう。
寺山
いま彼の机には、甘い炭酸飲料1缶、クリーム多めの缶コーヒー1本、いちごミルク味の『ビスコ』1袋、肉入りコロッケ1つ、厚めの山型食パン2枚、そしてなぜか無塩バターがまるごと1個置かれている。これが標準的な一日分のおやつだ(バターもそのまま食べるのだろう)。もちろん通常の食事と多量の酒も毎日消費している。ちなみにγGTPの値は2000オーバー。美しいほどに破滅への道を突き進む無頼派編集者だ。
高橋
「社会人になろう」という低めの目標に向かってがんばる新入社員。しかし先日、走り去るオートバイを見て「あー。バイクだぁ。ブゥゥ~ン」との感想を、恥ずかしがりもせず語っていたという。社会人へのおむつトレーニングは、しばらく続くことが予想される。

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