清野とおる『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』、今週のモーニングに登場の 「チーズグラコロの男」による偏愛熱烈コラム&挿絵を公開処刑!!!

2017/04/06 00:00

おこだわりニュース] [モーニング本誌情報

月イチ絶賛おこだわり連載中の清野とおる『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』

本日4月6日(木)発売の「モーニング」「週刊Dモーニング」19号では、1992年以来、マクドナルドのメニューからその名が消え去ってしまったマクドナルドの伝説的一品「チーズグラコロ」を復活させようと、マクドナルドの他のバーガーを組み合わせたり、レジのお姉さんにあんなことを言ったり、やらせたり……えーと……詳細は本編をお読みいただくとして……とにかく血のにじむような努力をしてきた男、その名も「チーズグラコロの男」が登場しています(今週は前編の掲載)。

これまで数々の「おこだわりびとと対峙してきた、清野氏と「おこだわり取材班」ですが、ここまでの衝撃的な展開が訪れるとは、まったく想像すらしていなかったのです——!

それは、男への取材が済み、構成を整え、清野氏が原稿を執筆した後のことでした。なんと、『おこだわり』担当編集者に宛てて、男から一通の封書が届いたのです!!


これが、モーニング編集部に届いた男からの封書。

これが、モーニング編集部に届いた男からの封書。


取材時に男から聞いた“談話”は、清野氏がプロの漫画家としての矜持を持って、プロらしく構成し、プロとして原稿にまとめているというのに、ふてぶてしくも自身の半生と「チーズグラコロ」との出会い、清野氏の取材ぶりに関してコラムをしたためたので、読んでほしいというのです。さらになんと、プロの漫画家である清野氏を挑発するかのように、2枚の挿絵まで同封しているではありませんか。

当欄は、これらの行為を清野氏に対する完全なる挑発行為と認定いたしました。よって、そのコラムと挿絵を公開処刑に処することとしましたので、以下、公開させていただきます。ぜひ、みなさんで読ん&見ちゃってください!!



あれは、忘れもしない2012年11月14日。
僕は、自宅から徒歩2分のマクドナルドで「マックフライポテト」をかじる足立区の女子高生を横目に、独り屈辱を噛み締めていた。
冬の醍醐味「チーズグラコロ」狂いの僕は、今日から発売されるであろう、冬期限定商品「チーズグラコロ」を1年間心待ちにしていたのだが、どこを探しても「それ」が見つからない……。

クルーに確認すると、「デミチーズグラコロ」の登場により、「チーズグラコロ(僕の大好きな冬)」が、お払い箱になったのだと言う……。
僕の心の中の「ハンプティダンプティ」が塀からおっこちた……。
「チーズグラコロ」をお払い箱にするなんて……。
自宅にジャンプ台を設置し、『大脱走』主演の隣人スティーヴ・マックイーン邸の塀をバイクで飛び越えようとする、「自宅からの大脱走」を何度も試みた「The Who」のドラマー、キース・ムーンよりタチの悪い悪戯いたずらだ!

腹いせに「スマイル」を注文してやろうと、メニューを確認すると、「スマイル¥0」の表記もなくなっていた。
この日、僕の世界から冬と笑顔が消えた。

翌年の発売開始日(2013年10月25日)も、
翌々年の発売開始日(2014年11月21日)も、
「グラコロ」と「デミチーズグラコロ」のみの展開(マクドナルドのタチの悪い悪戯)は続き、スティーヴ・マックイーン同様、僕はノイローゼになってしまう……。 

だが、翌々々年の発売開始日(2015年12月15日)、僕は、自信に満ち溢れていた。
なぜなら、「チーズグラコロ」と一緒に消えた「スマイル¥0」が、今年からメニューに復活を果たしていたからである。

「いい兆しだ……」

3年続いた「デミチーズグラコロ(マクドナルドのタチの悪い冗談)」への心配もあったが、あの武田鉄矢でさえ、アンセム(代表曲)である『JODAN JODAN』のなかでの、フック(サビ)の「JODAN(冗談)」の使用上限は3発までにしているはずだし、マクドナルドが鉄矢を超えて「JODAN(冗談)」をかましてくるなんてありえない……。
今年こそは「チーズグラコロ(僕の大好きな冬)」に会えるぞ!
そう、思っていた……。
だが、僕を待っていたのは「マクドナルドの4発目のデミチーズグラコロ(タチの悪いJODAN<冗談>)」だったのだ……。

「鉄矢の野郎……いや、マックの野郎」
「4発目の『デミチーズグラコロ(JODAN)』を入れてきやがった!」

4年目にしてはじめて、僕はマクドナルドで膝から崩れ落ちた。
自宅に帰った僕は、さらなる自傷行為のようにレコード棚からホコリまみれになった『JODAN JODAN』が入ったアルバム「12の風景」を取り出し、針を落とした。
それまで気づかなかったのだが、なんと、鉄矢も大サビでは「JODAN」を4発入れていやがったのだ。

「やはり、鉄矢の野郎!」



足立区(ぼくのまち)には、ずっと冬がこない……。
気がつくと、僕は北(故郷石巻)へ向かう長距離バスに乗っていた。

「冬を探しに行くんだ……」

揺れるバスの中、楽しそうにはしゃぐ子供たちの声が聞こえる……。

「東京で、うんと恋愛して、結婚も果たし、子供のいる人生を送ってる筈だったのにな……」
「東京の思い出なんか、みんな捨ててやる……」

そう思って、ポケットに手を突っ込むと、いつかの大森靖子のコンサートで隣に居合わせた女子にあげようと忍ばせていた「メルティーキッス」がでてきた。

「冬のキッスは雪のような口どけ……」
「キッス……」
「してねーな…」

思えば、この4年間「チーズグラコロ」のことばかり考えて恋愛なんかしていなかった……。
いや、正しくは「ガールズバーに通ったが、誰も相手にしてくれなかった……」。
「チーズグラコロ」のせいである。

「なあ、『チーズグラコロ(おまえ)』がキッスさせてくれないから、いつまでたっても恋が始まらないじゃないか……」

キッスから始まる恋がしたい……。
結婚したい……。
子供をもちたい……。

「死にたい……」

キッスより早いスーサイド……。
これ以上、色恋について考えるのは危険と悟った僕は、自分がアメリカドラマ『Full House』のジョーイ・グラッドストーン(ジョーイおじさん)になった妄想でやりすごすことにした。
だって、ジョーイなら恋愛せずとも他人の子供を育てることができるもの……。

「Everywhere You Look……」
「見渡せば、そこにある……」
「なにもねーよ……」
「もう、なにもねーよ……」
「『チーズグラコロ』も、おれの知ってる故郷も……」

車窓には、更地になった故郷(石巻)の街並みが映っていた。
両親への土産がないことに気づき、「イオンモール石巻」に立ち寄った。
セルシオばかりが並ぶ駐車場を進み、中に入ると「ヴィレッジヴァンガード」ができていた。

「こんな田舎町に『ヴィレッジヴァンガード』ができるなんてな……」

まるで、赤羽に「マルタンマルジェラ」の路面店ができたような、不思議な気分だった……。

「この落ち込んだ気持ちを解消してくれる本はあるのかな……」

本棚を眺める。

『東京都北区赤羽』

目を閉じると、この怪作と過ごした日々が、昨日のことのように、まぶたに浮かぶ。
故郷(石巻)に住んでいた当時、僕は無職だった。
不安ばかりが押し寄せてくる毎日、再就職活動という名のいじめからの隠れ家が、この本の中だった。
僕の住んでいた町(石巻市)の242マイル彼方に広がる赤羽(異世界)。
童話の魅力的な登場人物のように、煩わしさに囚われず、おもしろおかしく自由に生きる、その住人達に、どれだけ憧れ、救われただろう……。

「そういえば、被災した時もお世話になったっけ……」

被災した数日後、兄が神奈川からやってきた。
津波で車を流された家族の為に、納車したての中古のハイエースに小学生が遠足で用意する程度のおやつと、家の床下の消毒用の石灰、被災した5日後に発売された『東京都北区赤羽』の6巻を積んで……。

「ここは、温かい食べ物だろ!」
「マクドナルド買ってこいよ!」

ケンカになった……。
あの晩、海水に浸かった実家の二階で、ランタンの灯りに照らされながら「赤羽にマイケルジャクソンが来た話」を読んだ。
震災後はじめて笑った。
月を飛んでいる気分だった。
清野とおるの描く本は特別だ。
まるで、ミヒャエル・エンデのように、僕をいろんな世界に連れだしてくれる……。

そんな彼にかけられた魔法の余韻に浸りながら、「ヴィレッジヴァンガード」の棚を眺めていると、まだ読んだことのない本をみつけた。

『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』

なんて、馬鹿げたタイトルだろう……。

「なあ、板橋が生んだ『ミヒャエル・エンデ』さんよ……」
「あの頃みたいに、おれのこの気持ちを月に連れ出してくれるのかい?」

僕は、新しい本(『おこだわり』)を持って外に飛び出す……。
人生(みち)に迷った僕を導く光がそこにあった……。

「Everywhere You Look……」

駐車場にたむろするセルシオのヘッドライトが僕の背中を照らしていたんだ……。

数年ぶりの実家……。
両親への土産は買い忘れたままだった。
2階に駈け上がり、窓の外にでて、屋根の上に寝転び、本を読む。
あっという間に広がる世界
定められた日常(運命)に抗い、生きる理由(おこだわり)を見出した勇者達の幻影(ファンタスマゴリア)。
まるで、少年が『はてしない物語』を読みふけるように、物語の中へ入って冒険を共にしていた……。



「そう、僕はバスチアン」

僕は、月に手を伸ばしてみる。
なんだか、月を掴める気がしたから……。
僕は、掴んだその手を口に運ぶ。
しずかに目を閉じ、「それ」にかぶりつくと、いつか食べた「チーズグラコロ」の味がした……。
本を閉じ、身体を起こす。

「なんだ……」
「無くなってなんかいなかったじゃないか……」

更地だと思っていた実家のまわりに、ぽつり、ぽつりと新しい家が建っていた。
点在する家、ひとつひとつに家族があって、暖かい灯りのもと、食卓を囲んでいるのだろう……。

「綺麗だな……」
「次は、君の思い出(「チーズグラコロ」)を復興する番だよ…」

まだ小さな街の灯りに、そう語りかけられた気がした。
その晩、心に「あかり」を灯した僕は、思いの丈を手紙(メール)にしたためた。


前略 清野とおる様(アトレーユ殿)

僕の「チーズグラコロ(ファンタージェン)」復興を見届けていただけないですか?
僕の大好きな「チーズグラコロ」が、2012年以降「デミチーズグラコロ(虚無)」に襲われ、姿を消してしまいました。
悲しみに暮れ、実家の被災地へ逃げた私ですが、そこで先生の著書にふれ、ふいに「チーズグラコロ(ファンタージェン)」復興の知恵(アイディア)を思い付いたのです。


外を走るセルシオのマフラー音が、夜の終わりを告げようとしていた……。

翌朝、僕は沈んでいた。
自分に酔いしれ、自転車で宮崎駿の自宅を見に行くような感覚で板橋が生んだ「ミヒャエル・エンデ(清野氏)」にメールを送っていたからだ……。
僕は、枕元の「氷結」を煽り、再び眠ることにした。

昼過ぎ、両親の営む食堂で、化学調味料で味の整えられたラーメンを啜りながら、このラーメンに足りない味と東京に帰る理由を探していると、携帯電話からリマールの「ネバーエンディングストーリー(歌声)」が流れた。
清野氏(アトレーユ)から返事がきていたのだ……。


前略 足立区のバスチアンさま

興味深く読ませていただきました。
もし、良かったら一度会ってお話を聞かせていただけませんか?


「答えてくれるんだ……」
「なんて、ありがたいんだ……」

僕は、荷物をまとめ、東京へと向かうバスに乗り込む。
動き始めるバスの窓から、セルシオのブレーキランプが5回点滅するのが見えたような気がした……。

が……ん……ば……れ……よ。

「がんばるよ……」

東京に戻った僕は、「チーズグラコロ(失った冬)」の復興(再現)をすべくマクドナルドにこもっていた。
試行錯誤する日々が続き、「グラコロ」シリーズの販売期間が終了した時、やっと復興の手がかりを掴んだ。

「Everywhere You Look……」
「見渡せば、そこにあるんだ……」

僕の復興の灯火は消えていない……。
数ヵ月後、僕は赤羽にいた。
これから、僕は清野氏と語らうのだ。
待ち合わせは、清野氏の提案でケンタッキーフライドチキンの前だった……。
生粋の「マクドナルド愛好家(ドナルズ)」の僕を、ケンタッキーフライドチキンに呼びつけるなんて、さすが、野島伸司のドラマを観て育った世代だ……。

「狂ってやがる……」

僕も、『人間失格』の赤井英和のように、マクドナルドの入った岡持ちをもって奇襲をかけるか……。
そんなことを考えながらカーネルサンダース像を睨んでいると、華奢な風貌と凛々しさを兼ね備えた青年がこちらに近づいてきた。
そう、清野氏(アトレーユ)だ。
同伴を約束したキャバ嬢には、まずやらないであろう「小刻みな会釈」を3度ほどして、お互いを確認しあった後、微笑みの爆弾をぶつけ合い、二人で店内に入る。

「……おこだわってますか?」

僕が、感情を吐露しかけていると、清野氏(アトレーユ)は、心地よい相槌を打ちながら、求めていた質問、リアクションを交えつつ、会話下手な僕をリードしてくれた。
僕が通う足立区のガールズバーの自転車出勤のキャスト達は、こんな反応してくれないぞ……。
なぜ彼は、僕が水商売の女に求めることを素でやっけのけられるんだ?

「もしかして裏が、あるんじゃ……」

清野氏(アトレーユ)がキャバ嬢だったら、

「羽賀研二の歌う『ネバーエンディングストーリー』のように、おれのファンタージェン(世界)がこわされてしまう……」

だが、一度知ってしまったが最後、その快楽には敵わない……。
彼がキャバ嬢の類いじゃなくて、本当に良かった……。

僕は、溜まっていた残り1/3の純情な感情を清野氏(アトレーユ)に打ち明けた。
「チーズグラコロ」との出会い……そして「別れ」。
試行錯誤した日々の成果……。
彼は真剣に傾聴してくれた。
そして、僕の1/3の純情な感情に共感してくれた。
足立区のガールズバーのキャストとしか、人としての接点がなかったおれには本当に嬉しいことだったんだ……。

夕暮れが近づいた頃、僕らは次の「グラコロ」の発売時期に再会し、「チーズグラコロ(思い出)」の復興をすることを誓い、店を後にした。
『Golden Slumbers』(ビートルズ)を口ずさみながら家路へとつく、あの頃の僕には知る由もなかった。

まさか、僕の「グラコロ(ファンタージェン)」があんなことになるなんて……。

(つづく)



長文を読む&見る行為、おつかれさまでした。

つづきは、『おこだわり』「チーズグラコロの男」後編が掲載される5月11日(木)発売の「モーニング」24号に合わせて、5月11日(木)に本欄で公開させていただきます。お楽しみに!

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