【モーニングの新人賞】 第70回ちばてつや賞一般部門の最終選考議事録を公開!

2017/02/13 22:00

ちばてつや賞] [新人賞

先頃、最終選考の結果が発表された【2016年後期・第70回ちばてつや賞一般部門】(詳しくはこちら)。その2次選考を通過した10作品(一覧はこちら)の受賞結果を決めた選考会の様子を公開します!

ちばてつや賞一般部門の最終選考は、ちばてつや先生をお迎えして行われます。

時間をかけて一作一作を丁寧に読んでくださったちば先生のコメントを聞き、その上で作品の担当編集は、自分の担当作品をちば先生にアピールします。そのほかの各編集部員は、疑問点などをちば先生に質問。活発な議論が交わされます。


【1】 『となりの国から』
松浦沙織 (大阪府・22歳)


編集部員・T岡  2次選考で担当になりました。キャラクターがしっかりしていて、感動できるお話を描いてくださったなと思っています。  

ちば先生  絵がとてもうまいね。女の子がとてもかわいかった。ぬくもりのあるいい絵だし、森の描き方、コマの割り方や演出を見ても、読ませる力があると思います。ただ、闇の国のキャラクターが出てくる場面は、全員シルエットで表現されたせいか、少しわかりづらかったかな。  

編集部員・T岡  人間を描くのはうまいと思うのですが、不思議な生き物たちを描くのには、もう少し工夫が必要なのかもしれません。  

ちば先生  カフカが女の子に触れると、熱さを感じるという描写があったけど、たとえばカフカの住む世界がいかにも寒そうで年中つららが垂れ下がっていたりすると、そのシーンももっとわかりやすく、説得力のあるものになったと思う。自分ではくどいかな、と思うくらい描いても、読者にはなかなか伝わらないもの。いかにわかりやすく、感じてもらえるように描くかを、これからは意識してほしいね。






【2】 『WARAING ROAD』
とよのの鱗 (兵庫県・28歳)


ちば先生  この作品は、迷わないで読めましたね。自分の気持ちを開けっぴろげに語る見栄なんてないおチビさんと、プライドが非常に高いイケメン、この二人のキャラクターの性格も容姿も、描き分けが良くできていた。芸人さんの生活感もうまく出ているし、なかなか味のあるいいドラマだね。ラストは少し本筋とズレてしまった気もしたけど、これはこれでひとつの終わり方なのかな、とも思いました。  

編集部員・M川  ラストは、少し蛇足かなとも思ったんですが、アイディアが面白いと思ったので、生かしてもらいました。このラストが、漫画全体を漫才に見立てるとオチにもなるのかなと。  

ちば先生  この方は、どちらの出身ですか?  

編集部員・M川  大阪です。  

ちば先生  関西弁でのセリフ回しが、とてもイキイキしてうまいね。漫画だけでなく、リアルな漫才の台本を書ける人だと思う。ツッコミも面白い。漫才シーンのフキダシを、普通のセリフのフキダシと変えた工夫も、うまくいっていると思う。これは発明かなと思います。とてもわかりやすかった。こういう、読む人を迷わせないための細かい工夫が大事なんだ。






【3】 『てっちゃんと』
空木由子 (岩手県・34歳)


ちば賞事務局長・田渕  今回最終選考に残った方の中で、最年長の作家さんですね。

ちば先生  おいくつですか?

編集部員・K藤  34歳です。

ちば先生  まだまだ若いじゃないですか! この作品は、とても読みやすく、キャラクターも明るくて良かったなと思います。誰かに守られている、何か迷ったときに、ふと誰かに背中を押されている、という感覚をうまく「てっちゃん」という存在で表現していた。でも、ちょっとわかりづらいところがあったかな。

編集部員・K藤  わかりにくいところを打ち合わせで潰していったつもりなのですが、潰しきれなかったんだと思います。

ちば先生  タモリというあだ名の少年が、実際どんな症状に苦しんでサングラスをかけていたのかは、セリフで説明するのではなく、エピソードでうまく見せてほしかったな。






【4】 『海へ還る』
今井満里 (山形県・18歳)


編集部員・K田  現在美大に通っている方で、こちらが初めて仕上げた漫画だそうです。未熟なところはいろいろとありますが、感情を伝える力が強い人だなと思っています。  

ちば先生  長い話だし、絵柄がところどころ変わったりするのでちょっととまどって、後半の人間関係や、どんなテーマなのかが、少しわかりづらかった。現代で博士が大事にしている人魚が、昔の回想シーンに出てくる人魚の女性なんだよね?  

編集部員・K田  はい。そうです。  

ちば先生  作者を呼んで、「ここは、どういう意味……?」と訊きたくなるようなところがいくつもある。画力も表現力も十分あるので、これからの成長が楽しみではあるけれど……。昔のエピソードと現代のエピソードで、キャラクターの描き方や絵のタッチを変えていたりと、作者なりにとても工夫はしていると思います。この人は、ストーリーを考えながらネームを描いているのかな? 自分が描きたいことや伝えたいことをはっきりさせるためにも、ネームの前にプロットを作ったり、セリフのやり取りを書き出したりと、作品の骨組み作りでもう少し段階を踏んだほうがいいかもしれないね。






【5】 『ツキミソウ』
花森幸治 (東京都・21歳)


編集部員・T幸  2次選考で担当になりました。現在、美大の3年生で版画学科専攻です。着物と和風建築を描きたくて、漫画を初めて描いてみたそうです。登場人物が特に何もしないまま物語が終わってしまったのには、物足りなさを感じています。  

ちば先生  とてもいい雰囲気は感じられる作品。でも、人間の心をもっとリアルに表現してほしかったな。主人公が思いを寄せるお国は、死んだ旦那のことが忘れられないから笑えないって主人公に言うけど、残酷だよね。主人公が夢に出てきた花を渡してやると、お国はやっと笑ってくれるけれど、それも死んでしまった旦那を思ってだから、男にとってはまったく救いがない。旦那は、なんで死んでしまったのだろう?  

編集部員・T幸  物語では、まったく触れられていません。  

ちば先生  読んでいると、この作品のとても重要な人物なので、なぜ死んだのかは気になるんだけどな。いろんなことがわからないまま、お話が終わってしまった。自分が絵を描くのを楽しむだけでなく、感動させるなり、しんみりさせるなり、やっぱり読者を納得させてほしかったな。






【6】 『Begin』
竹谷よしき (大阪府・23歳)


編集部員・K松  画力はまだまだですが、コマ割りや構図が格好いいと思って、2次選考で担当になりました。  

ちば先生  セリフが投げやりでぶっきらぼうだけど、若者らしさが出ていて格好いい。ただ、物語の切り取り方がちょっと乱暴かな。復讐のために、主人公がどれだけ努力をしたのか、そのシーン自体は描かなくてもいいけれど、その努力は感じさせてはほしかった。たとえば、復讐相手が主人公の目つきやこぶし、足の指など、体の一部を見てドキッとするほど、体型が変化しているとか、そういうひとコマがあるだけで、読者はワクワクする。いくら良い殴り合いを描いても、復讐の動機や途中経過がうまく描かれていていないと、読者はキャラクターに肩入れして読めない。  

ちば賞事務局長・田渕  今回最終選考に残った中で、一番荒削りな作品ですね。ポテンシャルに期待、という意見が多かった。  

ちば先生  あのちょうちょは、なんだったのかな?  

編集部員・K松  力を与える存在というか、概念的なものらしいです。  

ちば賞事務局長・田渕  「蝶のように舞い、蜂のように刺す」のモハメド・アリなのかなと思っていた。深読みしたかな(笑)。  

ちば先生  構図の取り方が大胆で、確かにいいセンスを持っていると思う。まだ荒削りだけど、今後に期待したいね。






【7】 『先生失格!』
西本典晃 (兵庫県・23歳)


編集部員・S藤  画力はまだまだ足りませんが、一生懸命作品を描いているのがいいなと思っています。こちらは、ご自身の体験をもとに描かれた漫画です。  

ちば先生  人がたくさん出てくる話ですよね。主人公の同僚の先生たちや、子供たち、その親御さんなど。描く人も大変だと思うけど、読むほうもキャラクターや人間関係を理解するのに、とても苦労する。子供と大人の描き分けもちょっと甘くて、顔を見ただけではすぐにわからなかった。人間の内面はけっこう顔に出るものなので、いじめっ子といじめられっ子の顔を描くのにも、工夫がほしかったな。でも、先生がいじめられっ子のために一生懸命悩む場面の演出は、とてもわかりやすかった。工夫しながら描いているのを感じました。  

編集部員・S藤  ありとうございます。  

ちば先生  読み切りを描く若い人には、必要最低限の登場人物の中で、どの人物を読者に見てほしいのかを意識して描いてほしい。まず読む人のことを考えて、たとえ人間が大勢出てくる複雑な話でも、見てもらいたい人物は個性的に、その他はモブの描き方で区別できるように、いかにシンプルにわかりやすく描くかを意識してほしいな。  

ちば賞事務局長・田渕  読み切りを描くのに、登場人物はどのくらいの人数だとちょうどいいのでしょうか。  

ちば先生  人数を限定するのは難しいけれど……極端に言えば、二人だけでもいい。二人の関係が、どう変わるかだけでもいいんです。できるだけストーリーも、登場人物も、物語もシンプルにして、その代わりキャラクターの心の動きは丁寧に描いてほしいな。






【8】 『Underground宇宙人』
nozmo (カナダ・24歳)


編集部員・K藤  カナダの方ですが、日本語の読み書きはできます。日本の漫画がとても好きで、日本語でよく読んでいるそうです。欧米人で、こんなに日本人好みの漫画を描ける人はなかなかいないと思います。  

ちば賞事務局長・田渕  エルの一人称がオレになっているのは、作家さんのアイディア?  

編集部員・K藤  そうです。  

ちば賞事務局長・田渕  男性が使う一人称だとわかっていて、あえて彼女に「オレ」を使わせているんだ。それはすごいね。  

ちば先生  絵は少しデザイン的だけど、うまいですね。コマ運びや演出も上手で、読みやすかった。キャラクターの描き分けもよくできている。僕は最近、ファンタジーを読んでいないんだけど、人間と、人間とは違う世界の生き物が交流する話は流行っているのかな? 『となりの国から』もそういう作品だったよね。  

モーニング編集長・宍倉  最近特に流行っている、という感じではないと思います。  

ちば賞事務局長・田渕  100%ファンタジーの世界を描くよりも、人間の現実世界が少しでもあるほうが、読者が物語に入りやすいと思うからですかね。  

ちば先生  エルは、やわらかくなった人間の目をなめるのが好きだけど、あの不気味な舌で目をなめられた人は、どうなってしまうのかな?  

編集部員・K藤  そのあたりは、特に描かれていませんね。作者は考えていないと思います。  

ちば賞事務局長・田渕  我々が猫の肉球を触るような感じですかね。特に害はないというか。  

ちば先生  こういうお話では、そこも知りたいんだよね。彼女に目をなめられたらどうなってしまうのかを、感じさせてほしい。恋が芽生えそうな雰囲気だったあのラストは、二人は楽しいカップルになっていくんだろうな…と思わせてほほえましかったよ。





次の主役はあなたです!

ただいま【2017年前期・第71回ちばてつや賞一般部門】の作品応募を受け付け中です。締め切りはまもなく、2017年2月28日(火)当日消印有効です!




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