【モーニングの新人賞】 第70回ちばてつや賞一般部門の2次選考議事録を公開!

2017/02/13 22:00

ちばてつや賞] [新人賞

先頃、受賞結果が発表された【2016年後期・第70回ちばてつや賞一般部門】(詳しくはこちら)。その1次選考を通過した22作品(一覧はこちら)の中から、最終選考に進出する10作品(一覧はこちら)を決めた2次選考会の議論の様子を公開します!

ちばてつや賞一般部門の2次選考は、部内選考会です。

モーニング編集部員全員で議論を行い、参加者全員の投票により上位となった作品が、ちばてつや先生をお迎えする最終選考へと進みます。 その場で、自分の気に入った作品を最も熱を込めて説明した部員が、その新人作家の担当編集となります。


【1】 『SHREDDERS』
MUSASHI (神奈川県・35歳)

ストーリー

大学一年生の波照間は陸上部に入ろうと思っていたが、勧誘をしていた小雪に一目ぼれをして、スノボサークルの新歓に行ってしまう。経験のないスノボに戸惑う波照間だったが——。


編集部員・T山 2016年前期・第69回ちば賞にて『SNOWOLF』で奨励賞を受賞した方です。あの、背中に狼が描かれたパーカーを着た男が、突然ゲレンデで命の代わりに5千万円を要求する、という作品です。担当になって実際にお会いしたら、やはり「スノボ漫画でテッペン取りたいです」とおっしゃるので、この漫画を作ることになりました。

編集部員・T幸 前作と同様、今回も相変わらず高評価です。『SLAM DUNK』の第1話を思い出しました。主人公も花道みたいで、キャラクターが面白い。作中の「前向け、前」というセリフは、いまだに覚えています。通勤中とかにそのセリフを目にしたら、元気が出るなあと。彼らのもっと先までを見てみたいなと思いました。

編集部員・T内 前作では、作者の熱意が強く出すぎているせいか、スノボしている感じがあまり伝わってこなかったんです。でも今回は肉体感覚として、とてもよくわかりました。前作よりも、面白くなったと思います。自戒の念をこめつつ教訓にしようと思ったのですが、孤高の謎の天才、みたいな人物を主役にすえるのはかなり難しくて、花道タイプの人がやっぱりドラマを動かすんだなと。

編集部員・S藤 絵がとても上手。疾走感がよく出ていて、読んでいてワクワクしました。でも読み終わった後に、主人公の活躍があまりなかったなと。カッコいいと思える見せ場があったらよかったのに、と思いました。

ちば賞事務局長・田渕 スノーボードをやったことがない若い人に、自分もやってみたいと思わせるには、もう少しイマドキのライトな絵のほうがウケが良いはず。逆に本格的な横乗り系の人は、もっとアートよりの絵を好む気がします。誰に読んでもらうのか、という立ち位置の微妙さが気になります。




【2】 『狐森』
ミハラキュウ (鳥取県・37歳)

ストーリー

県境の奥の“きつね森”には、「そこで髪を切ってもらうと人生が変わる美容院」があるという都市伝説がある。ある日、少女がそこを訪ねてみると、いたって普通の美容院が現れ——。


編集部員・S根 2014年後期・第37回MANGA OPENにて、ネーム原作の『缶詰列島』で奨励賞を受賞された方です。『缶詰列島』を連載用のネームにするご相談をしていたのですが、それとは別に定期的に原稿を描きたいということで、読み切りをお送りいただきました。ちなみに美容師をされています。

ちば賞事務局長・田渕 なるほど。髪の毛の描き方には、確かにこだわりが感じられた。

編集部員・K本 魅力はあると思います。ただ、メジャー感がないのが気になった。あと、わかりづらいところが多かったな、と。

編集部員・U田 女の子が可愛くて、私は絵が魅力的だなと思いました。物語の構成でも、読み手をびっくりさせようとする心意気が感じられて、印象が良かったです。

編集部員・T山 前作の『缶詰列島』と比べると、スケール感がかなり小さくなってしまった。ワクワク感もずいぶん失われてしまったのが、残念でした。正直この絵で、漫絵で食べていけるかと考えると、ちょっと厳しいと思います。

ちば賞事務局長・田渕 この人の眼や想像力に、まだ画力が追いついていないのかなと。今のままだとプロになるのは、確かに難しいと思うけど、アシスタントに入ったりしたら、ガラッと変わる可能性もある気はします。




【3】 『となりの国から』
松浦沙織 (大阪府・22歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

夜の国に住む不思議な生き物・カフカは、禁じられた国境の場所“カベ”で一人の女の子と出会う。少女は、朝の国の住人・ルーシィだった。心を通わせる二人だが、来てはならない国を訪れたルーシィの身体には異変が生じていた。


編集部員・T岡 もう、ものすごく癒やされました。なんとはなしに、ペットが飼いたくなりました。誰かがそばにいるって、すごくありがたいことなんだなと。本当にいい話だなと思ってしまって…。この作品がそのまま連載化するとは思わないんですが、残酷な世界の中でのあたたかさ、みたいなものを描ける人だと思うので、今後多くの人の心を動かす作品を描けるようになるのでは、と思います。

編集部員・O道 不思議な生き物が出てくるお話を描いているけれど、ドラマ自体はしっかり地に足が着いているのが、とてもいいなと思いました。人間を描くのに自信がないから不思議なものを描いてみました、という新人さんはけっこういらっしゃいますが、そういう作品とは一線を画している。でも個人的には、次回作では人間同士の交流を描いてほしいです。

編集部員・H野 感動してしまって…。この二人は、母親を思う気持ちがきっかけで出会うんですよ。まったく異なる生き物同士をつなぐのが、同じ感情というのが、とても素晴らしいなと。作家さんの哲学がきちんとあって、細かい演出もしっかりできていて、めちゃくちゃ感動しました!

編集部員・J甲 1ページ目を見たときに、この話は面白そうだと勝手に思い込んでしまった。そんな絵を描ける人は、なかなかいない。今後、素敵な物語を描いてくれるに違いない、と思いました。

ちば賞事務局長・田渕 才能を評価する人が、とても多いですね。




【4】 『砂の壁』
黒木泰貴 (茨城県・24歳)

ストーリー

見渡す限り砂地が広がっている土地で、男たちは砂の壁を作っている。思うように壁作りが進まない中、徐々に異変が起こり始める。


編集部員・K田 持ち込みを受けて、担当になりました。自分にはわけがわからなすぎて……逆に何かあるんじゃないかと思い、担当になることを決めました。あまり漫画を読まないそうなので、漫画作りの基本をきちんと押さえてもらうのがいいのか、このまま我が道を突き進んでもらうのがいいのか、悩んでいます。

編集部員・K那 確かに話はよくわからなかったんですけど、画集や絵本を眺めるような感覚があった。読者に解釈を委ねているので、何度も読んで謎解きをする楽しさがあるなと思いました。

編集部員・M川 話の筋はわからないんですけど、見開きで描かれた情念めいた表情とか、目がとまる絵があるのがいいなと思います。テーマを与えたり、何か縛りを作ってみたりすると、その中で自分の世界観をうまく表現してくれそう。

編集部員・O道 我が道を突っ走る方向に進むと、芸術作品になってエンタメとは離れてしまうかなと思う。この作家さんらしい方法で、読者を楽しませることを意識して、漫画を描いてほしいです。




【5】 『地獄で!! 子連れマキシ丈ワンピ若妻侍の贅沢』
奥野由弥 (大阪府・27歳)

ストーリー

ゾンビがあふれ返り、人類のほとんどが死滅してしまった世界。主人公が自殺を図ろうとしたその時、マキシ丈ワンピに身を包み、日本刀を振り回すヤンママが現れた。


編集部員・K田 THE GATEへの投稿歴がある方で、打ち合わせをして作った作品です。もともとコメディを描きたいとおっしゃっていて、自分が当時ハマっていたゾンビのドラマの話をし続けていたら、こういう作品になりました(笑)。ノリの良さが、この方の持ち味かなと思います

編集部員・M本 大人も赤ちゃんも、基本的に人物の顔がみんな一緒。絵を描くのがあまり好きじゃない人なのかな、と思ってしまった。

編集部員・K 物語としてまとまっているので、評価はしました。どんなものを描いても、キレイにまとめられる方なんだろうなと思うのですが、キャラクターの笑顔が残念。こういう風に笑いたいな、という表情ではないので。




【6】 『WARAING ROAD』
とよのの鱗 (兵庫県・28歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

お笑いコンビ「脳天ブリッジ」を結成して9年。堤は、ピンでも売れ出した相方・中原に焦りを感じる。そんな中、先輩芸人の無茶振りで、コンビ解散をかけたライブに挑むことに!!


編集部員・M川 2016年5月期のモーニングゼロにて、『CRAZY FOR YOU(仮)』という作品で佳作と漫道コバヤシ賞をW受賞された方です。受賞後、いくつかネタ出しをしてもらったのですが、一番形になると思ったのがこちらでした。絵については、前作でも指摘されていたので、とにかく量を描いてもらうことが必要かなと思っています。漫才ネタを漫画で描くのはものすごく難しくて、どうやって見せると成立するのかを、試行錯誤しながら作った作品です。キャラクターの挫折や成長の描写に説得力があるのが、良いところだと思っています。

編集部員・K林 お笑い漫画はいいな、と素直に思いました。友情が描きやすくて、いいバディものになる。

モーニング編集長・宍倉 お笑い漫画は、面白くてもなかなか続かないのが実情。それは、みんな試してみるんだけど、新しいテーマを見つけられていないからだと思います。いつも結局、「才能」についての話になってしまう。新しい切り口を見つけられない限りは、面白いのに続かない漫画、になってしまうのかなと。

ちば賞事務局長・田渕 関西弁スピーカーの自分としては、漫画の中で関西弁のリズムをうまく表現するのは本当に難しくて、とても上手なのがロビン西さん。この作家さんも成功しているんじゃないかと思います。ネタも、ちゃんと笑えるクオリティ。この人みたいに、「こういう関係性を描きたい」というネタがひとつでも見つかると、食っていける漫画家になれる気がします。




【7】 『てっちゃんと』
空木由子 (岩手県・34歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

「てっちゃん」は詩衣名しいなにしか見えない、迷った時や勇気がほしい時に背中を押してくれる守り神。ある日高校の同級生の毛利君にも見えることがわかり、二人は距離を縮めていく。


編集部員・K藤 2016年前期・第69回ちば賞で『宇宙の孤独』というSF作品で、奨励賞を受賞した方です。受賞作がかなりわかりづらかったので、とにかくわかりやすい話を描いてみましょう、ということで打ち合わせを重ねて、この作品を作りました。

編集部員・O道 前作から、とても成長されているなと思います。もともと絵に色気がある方でしたが、画力の向上には特に驚きました。主人公の心の動きがものすごく丁寧に描かれているので、共感もしやすくて、胸に刺さる作品でした。

編集部員・K井 人物の描写がいいし、二人の近づいたり離れたりする微妙な関係を、とても上手に描いている。見せ方がうまいんだと思います。

編集部員・K林 なんか……とても思春期な漫画ですよね。20代前半の若者が描いたみたいな。

編集部員・N沢 僕も、表現が少し幼い感じがするのが少し気になりました。青年誌の読者に耐えうる作品なのかなと。主人公の不幸の理由にも、感情移入しづらかった。

ちば賞事務局長・田渕 丁寧に描かれていて、確かに読ませる力はあるんだけど、その次の段階、お客さんに買わせるところに行くのに、どうしていいのかがわからない、というのが個人的な感想です。ただ、前作からかなり変化されているので、次作でもさらに変化する可能性はあるかもしれない。ここで落とす作品ではないですね。




【8】 『憑杜よいとま家の災難』
福田一太 (千葉県・35歳)

ストーリー

憑杜よいとま製菓の創業者・憑杜銀蔵が死去。一族の者たちは遺産の配分を巡って争い出す。その争いの中で、銀蔵の孫・セイラは憑杜家に隠された恐ろしい秘密を知ることになる。


編集部員・T橋 2016年5月期のモーニングゼロで、『2つ名のW』で奨励賞を受賞した方です。担当になって連絡したときには、このネームが完成していたので、原稿にしてもらいました。この方の武器は、まっとうに物語を作ろうとしているところ。画力には不安があるので、さらに新しい武器も見つけられたらいいなと思っています。

編集部員・H野 受賞作も今回の作品も、たくさん人が出てくるんですけど、みんなが一体何をしたくて行動しているのかが、最後までまったくわからない。作家さんの頭の中では、ちゃんと考えがあるのだと思うんですが……。

ちば賞事務局長・田渕 設定に設定を重ねすぎというか、自分の作った設定で物語を解決しようとしているのに、無理があるのかなと。

編集部員・T山 この人の武器は、演出力だと思います。麻雀漫画のネーム原作とかが向いているんじゃないかな。自分で設定を考えるのではなくて、すでにルールが決まっているものを、そのルールの中でいかに面白く見せるのかを考えてもらうといいのでは、と思いました。




【9】 『マイソン』
風花 (福岡県・19歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

超カリスマモデル・リュウはその人気の裏で多数の女性と関係を結び、遊びまわっていた。ある日そんな彼の元に荷物が届く。その中身は、生まれて間もない赤ん坊だった——。


編集部員・F士 この方は、2015年後期・第2回THE GATEで『私は看護師!!』という作品で奨励賞を受賞しています。しゃべる赤ちゃんを描いてみたい、という作家さんのアイディアがまずあって、打ち合わせを経てこの作品ができました。

編集部員・K松 面白かったです。設定やキャラクターや構成に目新しさはないけれど、二人のやり取りが面白くて、終始楽しく読めました。ラストのオチも予想できるけど、読者の期待を良い意味で裏切らない展開だったなと。

編集部員・N沢 ギャグが大変良かったです。ただ、あの……52ページというページ数を、みなさんが多いと思うのかどうかが、とても気になっています。

編集部員・K林 担当付きの作品であることを考えると、もう少し減らせたんじゃない? とは思います。

編集部員・F士 これでも10ページくらいは削ったんですが……。

編集部員・Y原 僕は、主人公がトップモデルに見えないのが、一番の問題かなと。リアリティが感じられなかった。

編集部員・K 作家さんが考える「こうだったら格好いいだろう」と思うファンタジーを、ただ延々と見せられている感じがしましたね。

ちば賞事務局長・田渕 それはよくわかる。でも、そのわかりやすい格好よさを照れずに積み重ねられるのも、才能かなと思います。




【10】 『海へ還る』
今井満里 (山形県・18歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

巨大な魚のような生物の遺骸を発見し、研究していた主人公らは、その生物が不死をもたらす存在であることに気づく。そして遺骸と主人公には、ただならぬ因縁があった。


編集部員・K田 持ち込みを受けて、担当になりました。ネームが多く設定も複雑な漫画だと思って、あまり期待せずに読んだのですが、人魚の女性の気持ちがとてもよく伝わってきたので、賞に応募することにしました。18歳なのに、40歳の方が描いた作品のような印象です。

編集部員・M川 若いのに構成力がある。オリジナリティあふれる作品だと思いました。

編集部員・U田 18歳にしては背伸びした作品だな、という印象を受けました。話がわかりにくいので、もうちょっと起承転結を意識して作品を描いてみるのがいいのでは。

編集部員・K藤 今までどんな漫画を読んできたら、こんな作品を18歳が描くんだろう?

編集部員・K田 手塚治虫、白戸三平、西岸良平などの作品を読んできたらしいです。

ちば賞事務局長・田渕 電子書籍になってアーカイブ化されると、何十年も前の作品と、いま連載中のものが並列で売られることになる。この時代が生んだ作品だなと思いました。




【11】 『Signal』
葛西 尚 (栃木県・21歳)

ストーリー

10歳下の弟・かなたが生まれてすぐ、両親が離婚した。働きづくめの母のかわりに僕はかなたの面倒を見てきたが、4年後に母が持病で亡くなり、二人の生活が始まった。


編集部員・S根 持ち込みを受けて、担当になりました。ちば先生が教えている文星芸術大学の3年生です。小学生の頃から漫画を描き始めて、これまでのべ20作くらいは描いてきたとのこと。今まではコメディを多く描いていたそうですが、兄弟の関係に興味があって、初めてシリアスな物語に挑戦したそうです。弟が泣くラストの場面など、表情を丁寧に描いているので、今後に期待できる作家だと思っています。

編集部員・K藤 とても読みやすいけれど、ちょっと思い出しにくい作品。セリフやシーンで目にとまるものがないからかな。

編集部員・T山 決めゴマや決めゼリフがないので、印象に残りづらいんですよね。

編集部員・Y原 メインキャラクターの兄と弟の年齢差が、絵で表現できていなかった。顔のアップが多すぎるのも気になりました。

ちば賞事務局長・田渕 すべてのコマに感情表現が入っていて、それが「喜怒哀楽」の4文字で表せるものなので、演技過剰だと思いました。青年誌の読者には、もの足りないんじゃないかな。

モーニング編集長・宍倉 本で読んだのか、取材したのかはわからないけれど、弟の気持ちはうまく描けていたと思う。突っ込んだセリフを書けていたのがよかった。将来、人間を丁寧に描ける作家になるかもしれないと思いました。




【12】 『Wonky』
山田理人 (長野県・29歳)

ストーリー

ボディーガードを生業とするカフカは、ひょんなことから連続殺人鬼「フェイスレス」を調査することに。そこには、ある家族の悲しい物語があった……。


編集部員・F島 2015年後期・第2回のTHE GATEにて『サイダー』で奨励賞を受賞した方です。女子高校生がサイダーを飲むだけの漫画を描いていましたが、かなり成長したと思います。最後の見開きや、この世ならざるものを描くときの情念などに、すごい力を感じています。

モーニング編集長・宍倉 前作からかなり化けている。これだけの枚数を描き切っているところもいいですね。

編集部員・Y根 論理が破綻している部分はあるが、今回2次選考に残った中で一番の力作ではあったと思います。

ちば賞事務局長・田渕 顔の角度が真正面とちょっと斜めしかなくて、バリュエーションがないのが残念

編集部員・F島 前作でも指摘された絵の固さがまだ残っているので、そこは直していきたいです。




【13】 『Pudding』
上村恵一朗 (福岡県・23歳)

ストーリー

数量限定・幻のプリンを巡り繰り広げられる、一つ屋根の下の壮絶な肉弾戦! 次々現れる強敵(兄、父、爺ちゃん)を倒し、大和やまとは絶品プリンを味わうことができるのか!?


編集部員・M月 新人賞の選考会で、初めて満点をつけた作品です(笑)。もともとこの手の漫画はあまり好きではないし、ニートでゲーマーのお兄ちゃんや最強のお母さんなどのキャラクターがわめいているだけなのに、面白くてビックリしました。悪魔に魂を売った気分です(笑)。

編集部員・K那 「プリンを食べたのは誰だ」というワンテーマで話を進めていくのはすごい。ネタを詰め込んでいるのもいいし、アクションシーンにも迫力がありました。

編集部員・K井 ちょっと残念なのは、目的のプリンがどこにあったのか、あまりハッキリしないこと。オチのはずなのにうまく消化されていない。




【14】 『夏の最後の盆踊り』
モイタナナミ (東京都・19歳)

ストーリー

雪合戦、秋祭り、花見……季節ごとに忘れられない思い出がある。そして今年の夏、幼馴染みから託された最後の願い。


編集部員・M川 漫画を描くのはこの作品で2作品目です。背景や線の粗さなど、まだまだなところもありますが、ハッとさせる表情を描けているし、絵に気持ちも込もっている。まだ10代なので、持っている感性を大切にして描き続けてほしいと思っています。

編集部員・T岡 基本的には、二人が他愛もないおしゃべりをし続けるというお話なのですが、それだけに読者を飽きさせない力が際立っていました。絵にはまだまだ向上の余地があると思うので、たくさん作品を仕上げてほしいです。

編集部員・K田 会話だけでぐいぐい読まされる感じが心地よく、ネーム力の高い作家さんだと思いました。

編集部員・M本 タイトルから、出てくる二人のどちらかが死んで終わるという結末は予測できましたが、最後まで読ませる力を持つ作品だった。墓の前で踊るシーンとそのときに出てきたセリフが、すごく秀逸

ちば賞事務局長・田渕 次回作に期待したい作家さんですね。




【15】 『ツキミソウ』
花森幸治 (東京都・21歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

画家の純二は、人物モデルを依頼しているお国に秘かな想いを寄せていた。だがお国は、純二の親友であり、いまは亡き人である銀三をいつまでも忘れることができない。お国の想いに気づきながらも何もできない純二はやるせなさを募らせていたところ……。


編集部員・H野 最後のヒロインの笑顔が良かったです。友人が生きていたときの回想を入れず、三人でいたときの姿を読者に想像させるように作っているのもいい。ただ、お国の絵を物語の結末に絡められなかったのは残念でした。

編集部員・F沢 空気感が良い。絵も模写っぽくなくて、この時代を好きで描いている感じがしました。大正時代という設定に合った建物や雰囲気を描けている。ただ、竹久夢二への憧れなど、大正ロマンへの想いが強すぎるのでは? 今後漫画を描く上で、それが邪魔になるかもしれないと思いました。ファンタジーにいきすぎず、現代のリアルな話で持ち味を発揮してもらいたい。

編集部員・T幸 空間を描くのがうまいし、中村佑介さんを思わせるすごく良い絵だと思います。人物が伏し目がちなのが、印象に残りやすくて素晴らしい。この目で、たとえばクラリネットを吹く音楽漫画なんかを描いてほしいなと思いました。




【16】 『柱は戦場に建つ COLUMNA TRAIANA』
吉田 漫 (茨城県・23歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

ローマ帝国とダキア人との間に起こったダキア戦争終結後、ローマ皇帝トラヤヌスは、勝利を記念して記念柱を建造する。柱に込められた制作者達の本音を紐解く。


編集部員・K林 2015年後期・第68回ちば賞にて『VLAANDEREN(フランデレン)』で2次選考まで残りました。前作も今作も歴史モノで、我が道をいく作家さんです(笑)。漫画の描き方をアシスタントに行って学んでいる感じなので、画力はまだまだですが、この作家さんらしい作品になったかと思います。

編集部員・K田 前作に比べて、絵がうまくなってキャラクターの見分けがちゃんとつくようになった。主人公の考えがきちんと伝わってきたし、漫画になってきたなと思います。

編集部員・T山 この人は、意識改革が必要だと思う。大半の人は歴史に興味をもっていないので、それでも興味を持ってもらえる作品を作らなければいけない。漫画がうまくなっているのはわかりますが、意識が変わらないと今の状況からは抜け出せないと思います。

編集部員・K林 その通りだと思う一方で、マニアをつかまえる人になるほうが早いのではないか、とも思うんです。歴史初心者はまったく見向きもしない、ある程度土壌がある人に向けたものを作って、その人たちを楽しませる作家になってもらうのも、アリじゃないかなと。

ちば賞事務局長・田渕 『テルマエロマエ』みたいな方向に持っていくのは? ひとつメチャクチャな設定があって、そこにちゃんとした知識を入れ込んでいくみたいな。

編集部員・K林 どんなものを描くにしても、漫画において重要なコメディのセンスをつけることが必要かなと思います。

ちば賞事務局長・田渕 まだコチコチだもんね。マッサージしたほうがいいかもな(笑)。




【17】 『Begin』
竹谷よしき (大阪府・23歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

空と大地は、あるボクシングジムに向かう。その理由は、空を高校時代にいじめた男とリングのうえで闘い、倒すため。あの頃の「恩返し」は、果たしてできるのか……。


編集部員・H野 絵がうまいわけではないのに、ボクシングのシーンがわかりやすくて格好いい。

編集部員・K那 ボクシングというテーマと絵柄が合っていた。磨きをかけたら、素晴らしい作家になると思います。

ちば賞事務局長・田渕 23歳なのに中二病を引きずっているところがいいですね。コマ割りは、作者の運動神経を反映すると言われていますが、この人は運動神経がすごく良いんだと思う。カメラワークにも長けている。斜めにした絵でも重力を意識して描けているので、どちらの足に圧がかかっているかなどがわかる。アングルをかなり動かしているのに位置関係が正しく描けているのも素晴らしい。




【18】 『生まれ変わり』
菅生洸太朗 (宮城県・19歳)

ストーリー

義理の母の実家に帰省した翔太は、ひょんなことから早坂商店でバイトすることになる。よくわからない仕事を次々申しつける店主の老人は、翔太に亡くした孫の面影を見ていた——。


編集部員・O道 扉で人物の顔を真正面からアップで描いているのがいいなと思いました。人物の顔や表情を、ちゃんと描こうとする意欲が感じられました。キャラクターの絵も、雰囲気があって魅力的。話はわかりにくいところもありましたが、他人の視点が入れば変わると思うので、ぜひ担当してみたいです。

編集部員・F島 背景などに未熟さは感じますが、人物は魅力的に描けている。話はわかりにくくても、オチをつけようとする意気込みは伝わってきた。才能は感じます。

編集部員・H野 わかりにくいし言葉足らずだけど、きれいな景色の絵を見せることで読者の心に訴えようとするなど、シーンで自分の言いたいことを伝えるセンスがすごくある作家さんだと思います。

ちば賞事務局長・田渕 コピー用紙での出力だと画面に魅力を感じるが、雑誌に印刷すると意外と落差を感じるタイプの作家さんかもしれない。答えを知りたいので、担当になった方はいろいろ実験してみてください(笑)。




【19】 『アイソシ』
まことしん (京都府・26歳)

ストーリー

古美術品修復を生業とする藤田堂に、掛け軸の修理に依頼が来る。依頼主は若い女の子、掛け軸を一体何のため、誰のために修復するのか?


編集部員・K林 モーニングゼロの2016年1月期に『夜伽酒』で期待賞、2016年4月期に『まったりひょうぐ』で奨励賞と、二回賞をとっている作家さんです。

編集部員・K本 前作に比べて、小粒になっている印象。話も絵も小さくまとまってしまった感じがします。キレイにまとめようとしすぎているせいで、迫力を失ってしまっていて、ちょっと残念。

編集部員・T岡 一見、主人公が変な人に思えるが、読み進めていくとすごくまともな人物。ただ、その真っ当さがキャラクターの魅力を減らしてしまっている気がします。読み手をひきつけるキャラクターを作ってほしいですね。

編集部員・K田 「絵画の修理」という企画をきちんと立てているのはいいと思うんですが、ネタとしてはやや地味なので、企画に興味を持ってもらうのが難しいのかな、と思いました。

ちば賞事務局長・田渕 器用にうまく描けているけど、抜きんでているところはない、という印象かな。




【20】 『微香』
羽屋根早沖 (京都府・19歳)

ストーリー

今年も庭のみかんが順調に育っている。亡き母が寄り添うその樹・果実からは、母のかぐわしい香りがする。


編集部員・S根 女性キャラクターの表情が素晴らしい! 絵も官能的で、これだけでも商売になると思います。

ちば賞事務局長・田渕 作者は女性なのに、すごくエロい眼鏡っ子を描けていますね。

編集部員・M川 艶のある表情を描けているし、画面作りにも長けている。ミカンを食べるシーンなどで、キャラクターごとにキャラクターらしい仕草をきちんと描けている。この作家さんにしかない視点や風景があるのもいいし、暴力シーンを真正面から逃げずに描いているのもいい。伸びしろがある作家さんだと思います。

編集部員・K松 オチの絵など、描きたい絵がはっきりしているのが非常にいいですね。

ちば賞事務局長・田渕 とても才能は感じられますが、最終選考に残すには、原稿の完成度など、また足りない部分も多いと思います。次回作に期待しましょう。




【21】 『先生失格!』
西本典晃 (兵庫県・23歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

楽そうという理由で小学校教師になった主人公。だが現実はそんなに甘いハズがない! 学級崩壊寸前の教室、孤立、イジメ……。元いじめられっ子の新米教師がとった解決策とは!?


編集部員・S藤 2016年6月期のモーニングゼロにて『AI』で期待賞を受賞した方です。大学時代に自然学校で小学生の先生をやっていて、その経験をもとに描いた作品です。今まではギャグ漫画を描いていて、今回初めてシリアスなものに挑戦してもらいましたが、シリアスになりすぎないようには気をつけました。絵はもっと頑張ってほしいと思っています。

編集部員・K本 話はできすぎで粗いけど、画面から熱意を感じました。ドッジボールで顔にボールがぶつけられるなどのくさいシーンも、すごく熱量を感じます。

編集部員・K松 元気がある話。思い切って描いていて、温度感がちょうどいい。読み心地がとっても良かったです。

編集部員・K 広げた風呂敷をきちんとたためていないけど、そこはもっと練れば、やれると思う。描きたいという気持ちで押し切ったところに好感を持ちました。

ちば賞事務局長・田渕 絵の粗さなど、プロになるにはまだ物足りない部分があると思いますが、この熱量は評価できますね。




【22】 『Underground宇宙人』
nozmo (カナダ・24歳)

☆2次選考通過作品

ストーリー

人間界の地下深くに住むデーモンのエルは大の「人間フェチ」。地上に行って人間と交流し、仲良くなった人間の目をなめるのが大好き。ある日レイという男に声をかけられ……。


編集部員・K藤 2016年2月期のモーニングゼロにて『JOHNNY AND LOVE』で奨励賞を取った作家さんです。カナダ在住のカナダ人なので、どうやって打ち合わせをすればいいんだろうと思っていましたが、日本語がわかる方だったので、メールでやりとりして打ち合わせをしていきました。

編集部員・F士 キャラクターがいちいち可愛くて魅力的。ストーリーも良かったです。

編集部員・Y原 世界観がある良い作品。でも設定がわかりにくかったので、極力シンプルにしてほしい。例えば『うる☆やつら』を参考にしてみるとか。とにかくキャラクターがいいので、それを最大限活かして連載を目指してもらえればと思う。面白かったです。

ちば賞事務局長・田渕 『アナと雪の女王』のような、日本人があまりさせない、いきすぎた表情をさせているのが面白い。『アナ雪』は日本人にもウケているわけだし、新しい表現方法で、日本のドメスティックな漫画を壊せる作家さんかもしれない。

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モーニング・ツー

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モーニング・ツー2017年5号
2017年03月22日発売
定価:本体500円(税別)
発売中

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