【新人賞】 大賞受賞作『経堂龍之介の転職』が大反響! モーニングの新・新人賞「第1回THE GATE」、ツジトモ&一色まこと両氏をお迎えした最終選考の議事録を公開!

2015/10/23 17:00

THE GATE] [新人賞

先週ついに受賞作が発表された、モーニングの新・新人賞【第1回THE GATE】(最終選考結果発表および審査員総評はこちら)。

モーニング編集部員全員による2次選考(議事録はこちら)を経て、ツジトモ(『GIANT KILLING』)&一色まこと(『ピアノの森』)両審査員を迎えて行われた最終選考会の議事録を、ほぼノーカットで公開します!

漫画家志望の方はもちろん、受賞作が気になった読者の方も、ぜひお読みください!


[漫画] 『天使のシナリオ』
御岳山みたけやま 南天なんてん (埼玉県・22歳)

担当編集より

救いのない内容なのにユーモアを含んだセリフ回しと、目に焼き付く絵。異形の才能を精妙に暴走させてほしい。


編集部員・T内  担当です。美術学校の卒業生で、今回の応募作がほとんど初めての漫画作品になります。ずっと絵の勉強はしてきたのですが、漫画のことはあまり知らない方なので、今はモーニングで連載中の作家さんのところでアシスタントをしています。

ツジトモ  漫画についてあまり知らないということでしたが、描き方が変だとは思わなかったですし、絵は魅力的だな、と思いました。ただ、この作品を読んだ読者にどう思われたいかがはっきりしていないように感じました。ホラーが好きならホラーを描けばいいし、本当に人体の中を見てみたいなら外科医の話にすればいいですし、この作品のなかでやりたいことが定まらない印象を受けました。

一色まこと  ツジトモさんと同じで、私もこれだけ気迫のある絵を描けるというところはすごいと思いました。でもセリフの一つ一つが浅く感じられて、作者が何を伝えたいのかがよくわからなかった。登場人物がどこで、なぜ感情が動いたのかが読み取りづらいというか。せっかくこれだけエネルギーを感じられる絵を描けるんだから、もっとストレートに感情の動きを表現したほうが良いのではと思いました。

ツジトモ  セリフに関していうと、僕は会話のやりとりにはどこかセンスを感じたんですよね。ある種の軽妙さがあっていいなと。だから変な生き物みたいなキャラクターが出てきたときは、ちょっとここからコメディータッチになるのかな、って期待したんですが、結局なんだか暗い雰囲気のまま終わってしまった。持ち味をもっと上手く生かせるようになるといいと思います。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  別に暗いことが悪いんじゃないんです。ただ最近、新人賞の応募作の中にも暗い作品が多いけれど、「この世界は残酷です」みたいな現状をただあらわしているだけの作品が多いんですよ。この作品もまだその段階にあると思う。その現状に対してどう考えるのか、みたいなことが、まだ作者の中にないんでしょうね。まだ若いし、これから経験を積んでいけばもっと主張したいこともできて、作品の軸ができてくると思います。


奨励賞を受賞した『天使のシナリオ』は、
11月26日(木)配信開始の「週刊Dモーニング」52号に掲載!





[漫画] 『定時退社でライフルシュート』
でん 素弘もとひろ (東京都・38歳)

あらすじ

大手広告代理店を退職し、事務職として働くマチ子。平穏だけれども未来に希望はない。そんな退屈な日々を過ごすマチ子は、同郷の友人・ミチルと偶然出会う。エアライフルでオリンピック出場を目指すミチル。彼女に勧められ、何の気なしに始めたエアライフルに、マチ子は徐々に惹かれていく——。

一色まこと氏より

まず、知らない世界を興味深く読ませる力があること。そして心の動きが自然に描けていること。何よりシーンを止めて見せる技術があること。最後のこれは、学んでもなかなか出来ることではなく、今後この作者の強みになると思いました。この先器用にまとまることなく描き続けて、どこまで大きくなるのか、どう化けていくのか、とても楽しみにしています。

受賞のことば

この度は一色まこと先生より賞をいただきありがとうございます。実戦を戦われてきた方からの評価、大変光栄です。引き続き連載を目指し研鑽します。(田氏)

担当編集より

真正面からライフル競技という題材を描いているところに好感が持てます。とにかく描きっぷりが良い。王道を描ける人だなと思います。


THE GATE事務局員・高橋  担当です。2年ほど前に持ち込みを受けて、それ以降、何度か新人賞に応募していただいています。非常にタフでやる気のある方です。2次選考の際に、絵柄がアンドロイドっぽくて冷たい絵に見えてしまうという指摘を受けたのですが、その点も踏まえてご講評いただければと思います。

一色まこと  私は非常に高く評価しています。とにかく画面に目を止めさせる力がある。それって粘らないとなかなかできないことで、丁寧に「ここが見せたい!」という思いと、それを表現する技術があるということでしょう。だからこそ、こちらの心も止まって引き込まれる。もったいないと思ったのは「気づいたら二人で世界よ」という最後のセリフで、決めセリフとしては少し弱いかなと。せっかくオリンピックがあると作中で明言しているのだから、それに絡めたセリフにするとか、ここはもうちょっと粘っても良かったのかなと思います。絵に関しては、私は上手いと思いましたよ。

THE GATE事務局長・篠原  この方のキャラクターの絵って、どこに注意すれば人間らしくなるでしょうか。

一色まこと  絵って話が面白ければ良くなってくると思うんです。絵からケチをつけていくとのびのび描けずに固まってしまう。絵柄を先に直そうっていうアドバイスよりも、もっと別の長所に着目したほうが良いのではと思います。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  私も絵に関しては気にならなかったですね。目の描き方なんてすごい良いよね。目をどアップで描ける人って度胸があるんだよ。それに、一色さんのおっしゃることもよくわかります。手を止めさせるものすごい絵を描くな、と。とにかく見せたいっていう気持ちがないとできないし、非常に高い技術もいる。天性のものもあると思いますね。

一色まこと  このくらいのボリュームの話を描くのは、実はそこまで難しいことじゃないと思います。ただ、時間を止めて、そこでみんなの心が変わって行くさまを見せつけるようなシーンはなかなか描けない。普通はそこで逃げちゃうんですよね。逃げないとこが良いと思いました。ライフル競技というものに興味がない人もいるかもしれませんが、この作品は読んでほしいですね。

モーニング編集長・島田  すべての物事には面白いところがあるけど、それを作者が物凄く面白いと心から思って描いてはじめて、その面白さが伝わる可能性が出てくる。この人は本当に「ライフル競技」が面白いと信じて描いている。だから「そんなに面白いのか、ライフルって」と思えるんだよね。

ツジトモ  島田さんのおっしゃることはそのとおりだと思います。その上で、僕はもっと踏み込んでライフル競技ならではの魅力を描いてほしかったです。キャラクターはとても魅力的だし、絵柄も皆さんが言うほどに問題だとは思いません。むしろ個性的で武器になっている。水中の描写なんて他の人じゃ描けないような描き方をしていると思います。せっかくその武器があるのだから「どうやってこの競技に主人公がハマっていったか」という日常を描くよりも、ライフル競技における試合の駆け引きや魅力を描いたほうが、より個性が際立って面白かったと思います。その上で登場人物の脳内を描いたほうが、この方の画風にも合ってるんじゃないかなあ…。

モーニング・ツー編集チーフ・三村  ライフル競技という題材はマイナーといえばマイナーで、読者が興味を持ってくれるかどうか難しい部分があると思うんです。一色さんのおっしゃるとおり、辛抱に辛抱を重ねて時間を止めるっていう描写は本当に見事だと思います。一方でこれから先を考える上で、この企画で粘って連載していくのか、あるいは何か他の企画を考えていくのが良いのか、私だったら迷ってしまいます。お二人は、この作品の企画というものをどう考えられますか?

ツジトモ  「どのくらいの人が競技をしているのか」「どういうルールなのか」「この競技のどこが面白くて支持されているのか」をきちんと描けさえすれば、ライフル競技だってスポーツ物として成立すると思います。今回でいえば、標的を狙うために動きを止めるには呼吸がポイント、っていうところは、読者が「へぇ」と思って、また次を知りたくなるような描写になっていますよね。大事なのは、読者がどれだけその競技をやりたくなるか、その競技を面白そうだと思ってもらえるか、に尽きます。だからこそ、競技そのものの魅力に心理描写が加わるような描き方をもっとすれば良かったです。そうすれば、最終的にはオリンピックまであって、色々な人がこの競技を楽しんでいるということが伝わり、読者の視野がもっと拓けたのではないでしょうか。

一色まこと  私はライフル=企画と単純に捉えるのはあまり好きではありません。この主人公がオリンピックで世界一になるまでを描くのであれば、きちんと話を作れると思いますよ。主人公のキャラクターが魅力的であれば、扱うものは何であれ、何らかの話になっていくはずです。確かに、皆が興味あるものを題材にしたほうが食いつきがいいかもしれないですが、「コイツが見たい」ってなれば、それだけで武器になると思う。私はもうデビューしてほしいくらいにこの作品が好きですね。ぜひ一色賞をあげたいです。


一色まこと賞受賞作『定時退社でライフルシュート』は、
11月12日(木)発売&配信開始の「モーニング」&「週刊Dモーニング」50号に掲載!





[漫画] 『経堂龍之介の転職』
秋谷あきや 弥潮みしお (神奈川県・33歳)

あらすじ

恋愛小説作家になることを夢見る若手刑事・若林が死んだ。最後に遺した言葉は「なおきしょう…お願い」。同僚の死を目の当たりにした経堂龍之介は若林との約束を果たすため、直木賞受賞を目指し恋愛小説を書き始める。娘の同級生でありベストセラー作家でもある金時さんの毒舌指導のもと、経堂はただひたすらに書き続けるが——。

一色まこと氏より

全体のテンポが良く、どんなオチになるのか想像する暇を与えない。最後のひとコマまで審査を忘れて何度も笑ってしまいました。良くできたストーリーと、それを演じる主人公に魅力があり、脇のキャラクター陣も役者がそろっていて見事です。漫画はやはりキャラクターが描けてこそ! と改めて思いました。こういう作品が描けたら幸せでしょうね。文句なしの大賞だと思います。

ツジトモ氏より

キャラクターがみんな大人の考え方をしていて、青年誌向きの作品だと思います。登場人物のビジュアルも個性がはっきりしていて魅力的ですね。ただ、背景にリアリティのないコマがいくつかあるのがもったいないです。背景をきれいに描けるようになったら、もっと読者を惹きつけられるのではないでしょうか。とはいえ総合的に見れば、読み切りとしての完成度も高く、とても面白い作品だと思います。

THE GATE事務局長・篠原より

新人賞ではかなり稀な「読者として最初から最後まで楽しめる」作品でした。ストーリーだけでなく、キャラもセリフも抜群。コマのリズムも気持ち良くて言うことなし……と言いたいところですが、絵、特に背景に関してはまだまだよくなる余地はあると思います。場面転換や回想ゴマにわかりにくいところもありました。いずれにせよTHE GATEの第1回の大賞にふさわしい傑作。次回作が待ち遠しいです。

受賞のことば

悪戦苦闘しながら描いた作品ですので、このような賞を頂けてとても光栄に思います。あまりに身に余る栄誉で、実感が湧かないというのが正直なところですが……。(秋谷氏)

担当編集より

人間同士のかかわりあいの中で自然に生まれてくる「おかしみ」を描けていると思います。作中の雰囲気は静かでハードボイルドですが、決して冷たくはない。どこかに愛嬌を感じさせる力が大きな武器だなと思います。


一色まこと  とても面白かったです。最後まで読者でいられました。冒頭の「なおきしょう」がもしや名前なのかと想像する間も与えないくらいテンポよく読めました。本当にキャラクターが見事ですよね。「金時」さんというキャラがひどくて最高です。最後まで主人公が淡々としているのも良かった。実は彼、ただ流れに身をまかせて生きているだけのようにも思えるのですが、読んでいる内に、ひどい目にあっているのに愚痴ひとつ言わない器の大きい男に見えてくる。こういうの描けたらもう幸せですよ! 文句なしです。

ツジトモ  僕も最後まで読者でいられたました。キャラクターが魅力的だし、大人なんですよ。だから、この作品には何ともいえない良い雰囲気が漂っている。気になったところは、遊園地のシーン。刑事として働いてきた経験が小説を描く上での糧になっている、ということを読者にわかってもらう重要なシーンなのですが、単純にフラッシュバックしている絵がわかりづらくてもったいないです。ただ一方で、セリフと雰囲気で何となく素敵なシーンに見えるのも事実で、それはすごい力だなとも思いました。いい作品を読んだという気持ちにさせておきながらの最後のオチなので、小難しいことを考えていたのは何だったんだ、という気にさせられるけど、それでも許せちゃうというのは魅力だと思います。母親が事件に絡み過ぎて捕まってしまうことで、この家族を連載で読むのが難しくなってしまったのが残念ですが、読み切りとしては非常に面白かったです。

THE GATE事務局員・高橋  担当です。さきほどツジトモさんが読み切りとしては非常に面白いとおっしゃっていましたが、この作品を連載にすると考えるならば、職業も別にしてこのキャラクター達で話を続けていくのが良いと思いますか? その場合どんな職業がいいのでしょうか?

モーニング編集長(選考会当時)・島田  それを考えるのがお前の仕事だよ!(笑) キャラが立っているってなったら、後はネタ次第。このキャラクターをどのお皿に載せますかという話だよ。それと、俺もこの話は最高に面白かったんだけど、パッと見たときに物凄く面白そうな話にあんまり見えないんだよね。読んでみたらこんなに面白いんだけど、雑誌の中で見たときにちょっと埋もれるかも、っていうのが最大の難点だと思う。

ツジトモ  僕は上手いと思っちゃったんですけどね。

モーニング編集長・島田  いや、上手いですよ。それは編集部全員一致している。だけど、雑誌の中で目立つための「何か」がまだ足りない気がするんですよね。

ツジトモ  とても魅力的に人物を描けていると思うので、背景が綺麗に見えたら、見違えるような画面になるのではないでしょうか。それだけでだいぶ違うはずです。リアリティのある背景がないがためにもったいなく見えてしまうコマがいくつかありました。


大賞受賞作『経堂龍之介の転職』は、
10月15日(木)発売&配信開始の「モーニング」&「週刊Dモーニング」46号に掲載!





[漫画] 『気配』
もぐこん (愛知県・31歳)

担当編集より

小屋のカビ臭さや夏の湿気っぽさなど、読んでいて汗ばんでくるようなねっとり加減が素晴らしい作品です。


編集部員・N沢  二次選考から担当させて頂いています。この方は学校の非常勤講師をされていて、ウェブ上やコミティアなどで作品を発表されています。いつもはこういった不気味な雰囲気のものではなく、かわいらしい女の子を描くことが多いそうです。

一色まこと  一つの作品を完成させよう、という熱意は感じます。でもストーリーの全貌を描き切れていない気がするんですね。センスがいいな、と思われるような一場面だけを切り取って見せているように思えます。こうやって新人賞に出して、自分の力を試そうとするなら、もっと恐れずに、自分の描きたいことを全部原稿にぶつけてみてほしいと思いました。

THE GATE事務局員・吉原  ツジトモさんはいかがでしょうか。

ツジトモ  まず、幽霊が登場していることに今気づいたんですが……。かなりわかりづらい作品ですよね。

THE GATE事務局員・上甲  たしかにわかりづらいですよね。題名以外にほとんどヒントがないし。

ツジトモ  そうですね。そこがわかりづらいっていうのも一つあります。そして、女の子が縛られているということに対する不快感を拭い去る「救い」のような要素がこの作品には感じられなかったです。もちろん扉絵なんかすごい描き込みの量で、作品に対するいい意味での執着があると思うんですが、それも女の子が縛られているということへの感じの悪さを消すほどではなかったですね。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  これは最初に議論した『天使のシナリオ』と似ていて、結局、何が描きたかったのかわからなかった。一色さんがおっしゃったように、言いたいことがちゃんと表現できていない気がするんですね。だからこの人も、担当と打ち合わせをして、たくさん描いていくことでまた描きたいことができて、それを表現する力もついてくるのでは、と思います。


奨励賞を受賞した『気配』は、
11月19日(木)配信開始の「週刊Dモーニング」51号に掲載!





[漫画] 『18歳』
岡部おかべ しん (東京都・26歳)

担当編集より

「荒れている」「グレている」人のたたずまいがよく描かれているのは昨今珍しく、とても貴重だと思いました。


編集部員・K  二次選考から担当に付かせていただきました。作者の方は工業高校のデザイン科に通っていたらしく、そこで経験した身近なものを当面は描いていただければと思っています。ご講評よろしくお願いします。

ツジトモ  登場人物の行動や発言などにしっかりとした意味を持たせてあげるべきだと思います。たとえば、登場する教師は悪い人ではないのに、なぜ主人公が邪険にするのか。家族とは不仲だけど、18年間も育ててもらっているわけで、家族への複雑な思いはないのか。その複雑な気持ちこそがドラマになると思います。もっと掘り下げると絶対に色々な感情が出てきて、物語の輪郭がくっきりするはずです。

一色まこと  オーソドックスな話をまっすぐに描こうとしているところには好感を持ちました。ただ、重要なシーンもそうでないシーンと同じようなコマのリズムで進んでいくのが惜しかったです。物語の流れは非常に良かったので、「ここ!」というところで、読者の目を止めさせる技術を身につければ、人の心を動かす漫画が描けるのではないでしょうか。あと、親友が自分より大変なことになっているのに気を配れていないのは、キャラクターとして魅力が薄いし主人公らしくないと思います。ツジトモさんがおっしゃったことと似てしまいますが、自分に対する感情だけでなく、親友や外の世界に向けた感情もしっかりと持たせてあげると主人公らしくなるのではないでしょうか。主人公には主人公たり得る理由があるのだと思います。

編集部員・K  なるほど。早速伝えてみたいと思います。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  この人は、自分の作品に酔う力がとても強いよね。もちろんそれは必要なことなんだけど、もうひとつ別の視点を持ったほうが良いと思う。作品からもう一歩下がって、冷静に評価できるようになって欲しい。

ツジトモ  描くときに、第三者、他人になり切れていない印象を受けました。

編集部員・T渕  でも自分の描いたキャラが好きな人って絶対上手くなりますよね。


奨励賞を受賞した『18歳』は、
10月29日(木)配信開始の「週刊Dモーニング」48号に掲載!





[漫画] 『Percussionist』
古手ふるて まり (長崎県・25歳)

あらすじ

テニス部に入るはずだった高校1年生・萩野あおい。ムカつく同級生打楽器奏者の「マッシュ」に出会ってなぜか吹奏楽部に入ることに。だって、なんだか、打楽器……って超気持ちいいんだもの!

モーニング・ツー編集チーフ・三村より

まだ絵もストーリーも荒削りですが、今回の投稿作の中で、キャラクターのポジティブさ、明るさが際立っていた。前に進む力強いキャラクターに共感させ、その喜怒哀楽に感情移入させ、ワクワク感を持たせることは、漫画という媒体の圧倒的強みのひとつ。そんな当たり前のことを思い出させてくれました。

受賞のことば

こんな良い賞がいただけるなんて夢にも思わず、驚いています。調子に乗って受賞のことを言いふらし、冷静になった今、恥ずかしさが嬉しさに勝っちゃってます。(古手氏)

担当編集より

技術的にはまだまだ拙い作品ですが、楽しんでマンガを描いているのが伝わってきて好印象。キャラクターの好感度がとても高く、すごく伸びしろを感じます。


THE GATE事務局長・篠原  キャラクターの描き分けもきちんとできているし、登場人物同士のやりとりも面白い。作者の方が楽しんで描いているのが伝わってくるところが、すごく良いなと思い担当に付かせていただきました。まだこの作品が2作目ということなので少し時間はかかるかもしれませんが、とても可能性がある方だと思います。

一色まこと  篠原さんがおっしゃったように、キャラの描き分けができているのと、楽しんで描けているのがとても良いと思いました。ただ、映える絵が描けるようになるには、もう少し時間がかかるかもしれません。惜しいなと思ったのは、ラストのオチの部分。言葉だけで説明してしまっていますよね。絵を見るだけで、この主人公が中学時代にテニスが上手くて、それゆえに打楽器への適性がある、ということがわかればよかった。そうすれば、これから打楽器を一生懸命頑張ろうとしているシーンがもっと印象的になったと思います。

ツジトモ  僕も人物の描き分けに関しては上手だと思います。擬音語を上手く使い分けているシーンがあって「お!」と思いましたが、後半で才能の話が出てきてちょっとがっかりしてしまいました。打楽器をメインに物語を展開させていくのなら、音をどれだけ大切にしているかという部分を見たかったです。肝心の演奏のシーンも、抽象的に描いてしまっているんです。導入部分で面白そうな予感を感じさせられているし、もう一度、同じ題材で勝負してみるのも一つの手段ではあると思います。

THE GATE事務局長・篠原  どうすれば絵が上手くなるのかが作者の悩みなのですが、何かアドバイスなどをいただけないでしょうか?

一色まこと  昔、ある編集者から「絵って、描けば描くほど上手くなる人と、描いても描いても全く上手くならない人がいるけど、君は後者だね。」と断定されたんです。私がどれだけ心を込めて可愛く描いても、他人から見ると全然可愛く見てもらえないのがずっと悩みでした。なので、回答しにくいです。とにかく、描くことだと思います。

ツジトモ  この方は、このまま描き続けていっても大丈夫ではないでしょうか。あえて目をアップにしてみたり、随所で何かやってやろうという気持ちで描いているのが伝わってきます。今の段階では、背景や主要キャラクター以外の人物の描写が雑になっていて、あまり読みやすさを意識できていないだけという気がします。わかりやすさを意識して、変に登場人物を多くしたりしないように注意すれば、面白い漫画を描いていけそうな方だと思います。

THE GATE事務局長・篠原  ありがとうございます。非常に参考になります。

ツジトモ  学校生活や吹奏楽部などの空気感を読者に伝えたいのであれば、きちんとパースを取って定規で背景の線を引いたほうがいいと思います。そこも含めて表現できるのが漫画の面白さであり難しさでもありますので、背景をしっかり描こうと思ってもらえればいいですね。おそらく、この作品は実体験の面白い部分だけを引っ張ってきて、実体験以外の部分は他の漫画を参考にして描いている気がします。その実体験以外の部分については面白味があまり感じられなかったです。全部自分で見てきたものを描くことが上達の近道だと思います。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  この作品は、文化系スポコンものとして天才の話を描こうとしているでしょ。ツジトモさんがおっしゃった「他の漫画を参考にする」という部分がまさにここだよね。実は主人公にはすごい才能が眠っていて、脇役が主人公の才能の覚醒を予感する……というステップの踏み方が、良くいえば王道なんだけどお約束すぎる気がする。読み進めていくうちに、「あ、意外と才能あった!」ってなったほうがワクワクすると思うんだよ。人の才能なんて会ってすぐに見抜けるわけがないから、今の描き方だと少し嘘くさくなってしまう気がする。

THE GATE事務局長・篠原  そこを含めて、今後しっかりと打ち合わせをしていきたいです。三村さんはどうでしたか?

モーニング・ツー編集チーフ・三村  たしかに展開や題材への突っ込みの甘さはある。絵もストーリーも発展途上だとは思います。だけどこの人の描くキャラクターは、天性の明るさを持っている。その魅力を失わず、かつ深く突っ込むことのできる題材を見つけられれば、大化けする可能性があると思います。

THE GATE事務局長・篠原  ありがとうございます。今は次の新人賞に向けて作品を描いて下さっているところです。ぜひ次回作にもご期待いただければと思います。


モーニング・ツー賞受賞作『Percussionist』は、
10月22日(木)発売の「月刊モーニング・ツー」12号に掲載!





[漫画] 『はるのうた』
由紀ゆき 円香まどか (京都府・24歳)

担当編集より

何よりも最初の見開きで表現された世界観! そして奥行きと動きが感じられる絵が、美しく素晴らしかった。


ツジトモ  何が一番描きたい要素なのかが固めきれていない印象です。転校することへの主人公の葛藤が描かれていないので、何かしら抱えているものがあるはずなのにわからない。その他にも、主人公の父親が不必要に格好良く描かれているのも気になりました。何か意味があるのかなと読み進めても結局、上手く回収されていないことが多いので、物語全体としてどこか散漫に感じてしまいます。雰囲気を大事にしながら、画面に奥行きを持たせようとするところには丁寧さを感じますが、核になるのはやっぱりキャラクター。それを画面に落とし込む作業を丁寧にやってほしかったです。せっかく画力があるのにもったいないです。

一色まこと  世界観にはとても惹かれました。絵が上手くて漫画としても読みやすく、「描きたい」っていう気持ちが伝わってきます。ただ、不用意なところもありますね。例えば、ある曲を聴いた主人公が「ふじ色だね」って言うシーンがあるのですが、何かの特殊能力を主人公が持っているのかと思ってしまいました。キツネが出てきたときには、「これから何かが起こる」という期待感を持ったのですが、最終的には、なぜキツネが登場したのかわからない。もっと意味を持たせることができれば、より気持ちのいい読後感になったのにと思いました。とにかく読者に読んでもらうことを前提にしてほしいです。描きたい絵がいっぱいある方で、そういった部分には非常に好感は持てます。ただし、今回の作品は雰囲気に頼りすぎかなという気がしてしまいました。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  たしかにキツネが出てくる理由がよくわからなかった。新人賞だと毎回あるんだよね。なぜか登場人物がいきなり動物になって、その説明は終始ないっていうね。何の説明もなくネコがしゃべる、とか。

ツジトモ  でも、それをぶっちぎれる何かがあればいいわけですよね。

モーニング編集長・島田  「それでも全然いいや」と思わせられるか、「なぜなんだ?」って思われてしまうか。そこが大きな差だよね。必要なのは「理由」じゃなくて、理屈を超えた説得力なのかもしれないけど。

ツジトモ  序盤に「おっ」と思わせてはもらえるんだけど、そこ以外は物語としてパンチがないんです。もう少しほっこりさせたりとか、色々と方法はあったはずです。

モーニング編集長・島田  掘り下げ方が足りないんだと思う。ものすごく特殊な人生を送っている必要はないんだけど、キャラクターの内面を仔細に見ていくと「実はこういう思いがあるのかな?」っていう発見がないといけない。

THE GATE事務局員・上甲  主人公の顔を統一して描けないという悩みがあるみたいなんです。どうやったら人物の顔をブレずに描けるんでしょうか?

一色まこと  この方は絵が上手いので、そういったこだわりはあるでしょうね。ただ結局は、たくさん描いていくことで解決されるんじゃないでしょうか。

ツジトモ  まだキャラクターをたくさん描けないだけなんだと思います。描ける顔の種類が多くないから、無理に表情を作ろうとするとブレてしまう。僕はそれよりも、デジタルで作画しているからか、主人公の顔が若干、アニメっぽい平坦な絵になっていることが気になりました。上まぶたの下に影を作っているんです。それでアニメっぽい印象を与えてしまうのではないでしょうか。作家さんの好みといえばそれまでですが、作中に登場する土地自体の雰囲気やキツネのフサフサ感を絵で出せるんだから、人物にもちゃんと実物感があったほうがいいと思います。

モーニング編集長・島田  たしかにアニメっぽい感じはしたな。

THE GATE事務局長・篠原  目の虹彩のところを描き込まないからでしょうか。ベタとトーンで黒眼にしている。

一色まこと  でも、この方は画面が広く使えるところが魅力的。2次元を3次元に見せるというか、奥行きを出す力がすごいありますね。


奨励賞を受賞した『はるのうた』は、
11月5日(木)配信開始の「週刊Dモーニング」49号に掲載!





[漫画] 『イチニツイテよーいドン!』
斉藤さいとう 羽凧うたこ (福島県・35歳)

あらすじ

かつて箱根駅伝で黄金期を築いた東西大学は、現監督の桜咲おうさか守がクビを宣告されるほどに低迷していた。そこで守が泣きついたのは、かつての黄金期を亡き父ともに支えた母・桜咲コイト(80歳)。東西大学復権のために寮母に就任したコイトは、80歳とは思えぬバイタリティで部員達を(強引に)率いていく!

ツジトモ氏より

登場人物のキャラクターが丁寧に練られていて、みんなちゃんと生きている人間だという感じがして面白かったです。ストレスなく読めました。絵が特徴的なので読む人を選んでしまうかもしれませんが、総じて僕は高く評価したいです。ただ、ストーリーに関して言えば、もう少しリアリティを持たせてほしかった。「部員が10人しかいなくて今までなぜ部活が成り立っていたのか?」というような疑問を読者に抱かせないようにすれば、もっと完成度の高い作品になったかと思います。

受賞のことば

このような賞を頂けて大変感謝しております。これを機に気を引き締めて制作に励みます。モーニングという大舞台で、ジャイアントキリングをおこすべく精進します!(斉藤氏)

担当編集より

主人公・コイトおばあちゃんのキャラクターが強烈ながら可愛らしくもある。人に愛されるキャラクターを作る力があるなと思います。


THE GATE事務局員・高橋  担当です。何度か新人賞に応募していただいているんですが、この作品に登場するコイトおばあちゃんの原型となるようなキャラクターがその全ての作品に登場しています。本人にとって思い入れが強い分、コイトは魅力的に描けているのですが、コイト以外のキャラクターに気を遣えていなかったりするところがあり、そこを改善していければと思っています。

一色まこと  絵柄も魅力的ですし、キャラクターがきちんと描けていて好きな作品ではあります。ただ正直、読み終わったときに「えっ、こっから先が本番じゃない?」と思ってしまったんですよね。せめて、円陣を組む最後のシーンから走りだすところまででもいいので描いてほしかった。コイトおばあちゃんのキャラが強い分、他のキャラが沈んでしまっているのも気になります。せっかくキャラが作れるんだから、コイトがいるからこそ活きる他のキャラを作る、っていう考え方をしないと、コイトの一人勝ちになってしまう。そこがコイトだけが目立って他の人物がヘタレみたいな印象を与える要因だと思います。

ツジトモ  おそらく、この部の人たちの今までの頑張りがわからなさすぎるんです。たとえば、先輩が10人しかいませんよね? じゃあ、それまできちんと選手を集めようとしたのか、これでなぜ部として成立してきたのか。描かれていないですが、当然ライバル校だって頑張っている。「努力していたけど、やり方が間違っていた」というふうに読んでもらうためには、部員達が今まで必死にやってきたという事実にリアリティを持たせないといけないはずです。そうしないと、勝負物にだってならないです。ただ、そうはいっても、登場人物がみんな生きている感じがして面白かったし、ストレスなく読めました。練り方にもう少し深みがあるといいですが、総じて僕は高評価です。

一色まこと  この作品はこれで終わりなんですか? 上手くいったら続きが描けると思うのですが……。

ツジトモ  そうですよね。他のキャラクターをきちんと作り込んでいけば描けるはずです。ここで終わらせると決めて描いたからキャラクターにも深みが足りないですが、ここを限界だと考えないで描けば、続けられると思います。

一色まこと  逆にこの先が見たいからこそ、最後のシーンまでが長いなって思っちゃいました。個人的にはここからが本番なのに、その前で43ページも使っている印象なので。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  最後のシーンまでを20ページくらいで収めるのが良かったのかもしれないな。

THE GATE事務局長・篠原  最初はチームがバラバラだったという始まり方にすると良かったのかもしれませんね。そうすれば一致団結したところで終わったとしても、満足感を得られたのではないでしょうか。


ツジトモ賞受賞作『イチニツイテよーいドン!』は、
10月15日(木)発売&配信開始の「モーニング」&「週刊Dモーニング」46号に掲載!





[漫画] 『クマ子さん』
小泉こいずみ 苑出えんで (神奈川県・29歳)

担当編集より

表情の見えないクマ子に、背中やたたずまい、言葉の間合いで感情を表しているのがすごい。作品テーマもとても大人向き。


ツジトモ  絵は上手いと思うし、描き慣れている感じもあります。ただ、登場人物の心境がわかりづらかったです。たとえば、主人公の男が何に対して不安になっているのかがわからない。クマ子さんみたいになることを恐れているのか。それとも、クマ病になることっていうのは女の子にとってはつらいことだけど、男にとっては平気で、何か別に不安な要素があるのか。そもそもクマ病になったクマ子さん自体が何を考えているのか読み取れなかったです。平然としていることに違和感を感じてしまう。もちろん、クマ子さんが強い子だってことを描きたかったのでしょうけど、もっと普通の子であれば、年頃の女の子がクマ病にかかってしまうつらさがにじみ出てくると思うので、より青春っぽい話にできた気がします。

一色まこと  クマ子さんが普通に馴染んでいて、誰一人として後ろ指を指すことがないこの学校の描き方はとっても良いですよね。ただ、読み終わった後に「だから何なんだ?」と思ってしまいました。思春期の女の子がクマ病にかかってしまって、体を隠すためにジャージでしか過ごせない。そのシチュエーションっていうのは、あまりにも残酷です。もちろん「こういう世界観ですよ」って見せているし、イヤな人も出てこないので、残酷な話には見えません。けれど、クマ子さんが少しでもいいから治った瞬間を描いて欲しかったですね。たとえば一瞬でも手が女の子になってタナカが喜んだり、本来の顔が一瞬見えたりするとか、ちょっとでもいいから救いがあって欲しい。そうなったら、読後感が変わって「がんばれ」ってなると思います。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  たしかに一つの読み切りとして完結させるのであれば、一色さんのおっしゃる通りです。でもこの人は、おそらく連載の1話目を描いているような感覚なんじゃないでしょうか。俺はこの話をすごく評価しているんですが、それはクマ子さんのキャラクターに圧倒的なカリスマ性があるから。クマ子の人間的な弱みとか悩みをもう少し見せて欲しいというのもわかります。けれど俺は逆で、それは絶対に見せちゃいけないと思う。絶対に見せないけれども、ものすごいつらさが絶対あるに決まってるんですよ。あえて見せないことによって、読者にそのつらさをものすごく想像させたい。クマ子がもし連載になるのだとすれば、クマ子の病気が治ったところで連載は終わるべきです。治るのは最終回なんですよ。

一色まこと  私はこの作品を連載の第1話としてではなく、ひとつの作品としてしか考えていなかったので……。それはまた別問題になってきますね。

編集部員・T渕  そうですね。読み切りとしてクマ子さんのたたずまいとかを描きたかったんだと思います。

モーニング編集長・島田  キャラクターはすごく評価できるけど、若干気になったのは、何が起きているシーンなのかがわかりづらいところかな。

編集部員・T渕  同人誌を描き始めてまだ3作目なので、読み手を意識したことがあまりないのかもしれません。

ツジトモ  そういう描き方の方なんだと思います。クマ子さんが慕われているのは作品全体の空気感で伝わってきましたし。クマ子さんの足がちゃんと細かったり、ジャージを着こなしていたりするところに、きちんとディティールを描こうとする意志がある。

一色まこと  淡々とした同じようなコマの運びで変化を見せられるのは上手さですよね。この方の個性なのかもしれません。


奨励賞を受賞した『クマ子さん』は、
11月12日(木)配信開始の「週刊Dモーニング」50号に掲載!





[漫画] 『Re:プレゼンテーション』
てらおか現象げんしょう (東京都・26歳)

担当編集より

プレゼンテーションという枠組みを逆手にとり、ギャグを展開させるアイデア力がとにかく素晴らしいです!


一色まこと  この方は絵が上手い。ちょっとした線の違いで同じような顔のキャラクターを描き分けているんですね。アイデアも良くて、途中まで面白く読めました。ただ、写真を使った部分で違和感を覚えてしまい、それまでのワクワク感がなくなってしまった。加えて、椅子がない世界だったというオチ。椅子がないんですよ、椅子が。「椅子のない世界で生きていける人たちって何だろう?」って思ってしまいました。この世界で椅子が成り立たなかった極端な理由をきちんと描ければ面白くなったはずです。写真の部分だけが問題なのではなく、オチにもうひとひねり面白さがあれば、オリジナリティをすごく感じられる作品になったと思います。現状だと、一発芸的な作品に落ち着いているのが残念だと思いました。

ツジトモ  僕もオチに椅子を使ったのが失敗だったと思います。けん玉で最後までやればよかった。最後に椅子でオチをつけてしまったことで、「けん玉ってどうやって生まれたんだろう?」という肝心のところにたどり着かないまま終わってしまった。あらゆる物には、必要か必要でないかは別にして、存在する理由がある。どうやってけん玉が生まれたのかを読者にプレゼンで披露すれば良かったのにと思いました。けん玉に対する愛情があれば、この作品は、けん玉が愛おしくなって終わったと思うんです。そうなれば、プレゼンというものが滑稽だった、という現状の結末とは天地の差があります。どこかに、けん玉に対するリスペクトがあれば、すごい切り口がおもしろい作品になったと思います。オチが椅子だった時点で、そこまで考えてなかったのかと、拍子抜けしてしまいました。

編集部員・T渕  けん玉のように「世の中に絶対に必要ではないけど存在するもの」をよりエスカレートさせた物を描きたかったけど、椅子だとやり過ぎたってことですよね。おろしがねくらいにしとけばよかったのに。

モーニング編集長(選考会当時)・島田  昔の人は地べたに座っていたから、椅子はなかったけどさ。立ってるわけないよね(笑)。

編集部員・T渕  そこがあまり評価できないところだなあと。これってコントのアプローチだと思うんですよ。コントって世界観をそこまで作り込まなくていいじゃないですか。舞台に演者がいて、あとは椅子と机があって、プレゼンっていうワンアイディアがあれば良い。ツジトモさんがおっしゃっていたように、「物ってどうやってできたんだろう?」っていうところは、コントは無視してもかまわない。

THE GATE事務局長・篠原  例えばコメディだと世界観と、それにキャラクターが必要だけど、コントにはそれが必要ないっていうことですか?

編集部員・T渕  そう、コントはワンアイディアでできる。だからキャラがなくても、みんなが知っているプレゼンの風景と、登場人物にはプレゼンターとプレゼンを聞く偉い人っていう構図さえ作り出せればいいんです。『聖☆おにいさん』なんかもそうですが、ギャグ漫画ってやっぱキャラクターじゃないですか。

ツジトモ  たしかにそうですね。この作品をコントとして考えてみると、この作品は演じている人たちのツッコミで面白く見せているだけなんですよね。読み物である以上はキャラを立てないと、というのはわかります。

編集部員・T渕  この作品はよくある風景をなぞっているからこそ面白い。オリジナルのものを作っているわけではないんですよ。

THE GATE事務局員・鍵田  先ほど絵が上手いと一色さんはおっしゃっていましたが、キャラクターがないというのは、同じよう顔ばかりの絵であることと関係があるでしょうか?

一色まこと  パターンの絵でもキャラクターが描けている漫画はたくさんあります。同じような顔ばかりでもキャラクターは作り出せると思いますよ。


奨励賞を受賞した『Re:プレゼンテーション』は、
11月19日(木)配信開始の「週刊Dモーニング」51号に掲載!




【参考】 THE GATE事務局員プロフィール

事務局長・篠原
作業中の先輩の横でもお構いなしにマシンガントークを炸裂させるおしゃべりTHE GATE事務局長。先輩、後輩分け隔てないどころか、作家さんに対してもだいたい同じカンジで接しているという噂の剛の者。「俺はサブカルじゃねえ」と怒ることで、むしろサブカルらしさを強めている。

吉原
優しい心と異常な毛量がチャームポイントのベテラン編集(この道20年)。レッズサポなのでとにかく赤が好き。だからといって、赤い服を着ているヤツを見つけては「いい色の服着てるねえ」と声をかけに走るのはやめたほうがいいぞ。

上甲
背後から迫り来るようにフェードインしてくる特徴的な笑い声を部内に響かせているが、酔っ払うとより強くインしてきて恐い。一児の父。青い服しか着ないのでとても目に優しく、ゲラのチェックで疲れた部員の視力回復に一役買っている。

関根
モーニングが誇る理系高学歴編集。慎重な言葉遣いの中に、若干間違った日本語を混ぜてくる。人使いの荒さには定評があり、電話一本で後輩に自分のメールを代筆させたりする。現在絶賛婚活中(休止中?)。

柳川
事務局唯一の女性編集者。音楽とサウナ、そして漫画をこよなく愛する黒髪メガネ女子。若干、挙動不審で心の距離を詰め過ぎると噛みついてくる。眼鏡の奥の瞳は笑っていない。

寺山
東京生まれ東京育ち、15代続く正真正銘の江戸っ子を自称。たいてい笑顔で接してくれるが、やはり目が笑っていない。とにかく漫画が大好きで、守備範囲は編集部随一。モーツーを自らの主戦場として数々の新連載を立ち上げ中。日本酒ばかり飲んでいる。

平野
新入社員の頃、その長髪からキリストと呼ばれていたモーニングの『聖☆おにいさん』。物腰は柔らかで誠実だが、男子校出身なので異性には若干厳しく、女の子の写真を見ると「でも、この子あんま可愛くないっすね」と本音が漏れる。嘘のつけないまっすぐな男……ということにしておきたい。

高橋
編集部の“弟”的存在だったが、最近、恰幅がよくなり、ベテラン感が増してきている。JR職員御用達らしい絶対起きれるベッドを10万円で購入したが、寝坊を繰り返す。そのため、新入社員が怒られているのを見ると喜び、毎日のように怒られエピソードを聞いてくる。

福島
編集部2年目の新人。どれだけ先輩に怒られても常に高圧的な受け答えをする強いメンタルの持ち主。後輩を捕まえては歴史の話をふってくる。やっと後輩ができてうれしい盛りのよう。新入社員当時のバイオリンと乗馬を嗜むというキャラはどこへ……。

冨士
モーニングに入ってちょうど1年。先輩からどれだけ怒られようと、たじろぐことなく小走りでやってくる。よく喫煙室でiPadの音ゲーをやっている。先輩にお菓子を買いにパシらされるため、机の中にはお菓子がいっぱい。つい最近生まれてはじめて野菜を食べたが、体が適応できずによく腹を下している。

鍵田
モーニング編集部に入ったばかりの新人一号。牡蠣の養殖の研究や出会い系など、なんでもそつなくこなすが、猫をかぶっているだけだという意見もある。センスに自負があり、デザイナーズマンションに住んでいるが、髪型は伸びたスポーツ刈り。

長沢
モーニング編集部に入ったばかりの新人二号。先輩からは「さっき、下北沢にいた?」と髪型のみで認識されている。高円寺や下北沢に3000人は生息しているとされる、量産型のキノコヘアー。この事務局員のプロフィールを書くというミッションを与えられた。鍵田にだけは負けたくない。


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