【新人賞】 第1回THE GATE、2次選考の議事録を公開!

2015/07/30 12:00

THE GATE] [新人賞

第1回THE GATEの応募総数、394本。うち1次選考を通過した29本の中から、編集部員全員が意見をかわす入念な選考の結果、今後のモーニングを支える存在になるかもしれない、漫画家の卵たちによる10作品が最終選考への進出を決めました!(関連ニュース

当サイトでは、この2次選考の様子を、ほぼノーカットでお届けします!



[漫画]『天使のシナリオ』
御岳山南天みたけやまなんてん(埼玉県・22歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 楽しい、悲しい…幼い頃からそういった「当たり前」の人間の感情をまったく理解できない主人公。彼の前にある日、世にも不思議な生物が現れて……。世の中の基準からズレてしまった、理解者を持たない人間の心理を徹底的に見つめた意欲作。

編集部員・T内 私が担当です。今までショート作品を数回描いた経験があるくらいで、この方がこれだけ長い作品を描いたのは初めてだと思います。エンターテインメントとしての作り込みなどまだ甘い部分はあるとは思うんです。ただ、時々すごくハッとする絵とか構図があるんですよね。それに、お化けと主人公のやりとりを見ていると、独自の「口調」のあるしっかりしたキャラクターを描けるようになりそうだぞ、という期待感があります 。皆さんのご意見を伺えればと思います。

編集部員・T原 凄い奇才が現れたな、と思いましたね。天然記念物とでもいえるような、天衣無縫の才能を持った人だと思ってます。描きこみの量が半端ないですよね。目の描き方が凄く特徴的で他で見たことがない。点描が実に力強い。この作者がこれからどんなふうに変わっていくのか想像もつかないですが、得体の知れない才能を秘めていると期待したい。ストーリーはまだ読者への意識が少なく自意識を描き起こしている段階ではありますが、まだ若いですし、これから十分変わっていけるのかなと。

編集部員・S根 「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマが興味深かったですね。これっていくら議論しても答えのでない問いだと思うので。あとは二人の会話が読んで行くうちに、はじめ気持ち悪かったこのお化けが可愛らしくさえ感じてくるようになった点もスゴいなと。キャラクターがとても強いですよね。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 僕も才能を評価しています。 非常に雰囲気のある、魅力的な顔を描けているなと。お話のことで言うと、これは主人公の自意識だけの話で、「外の世界」がないんですよね。「外の壁」をどう設定するのか、そこに強いものを持ってこれたら、才能がさらに化ける可能性は大いにあると思います。

事務局長・篠原 才能は凄くありそうだな、と思うんですけど、この作品を見ていると、今後エンタメを作ろうという方向に気持ちが向くのかなという危惧も少しありますが。

編集部員・T内 なんとなくホラーっぽいものが好きっていう以外はまだ固まってないと思うんですね。やる気はすごくある方なので、場合によっては最初は原作を振ってみるというのでもいいのかもしれません。すでに次の話のプロットも出していただいていてるんですが、今作ほど主観の話ではなくて客観の話なんですね。だから「こういう自意識ものしか描けない」ということもないのかなと。いろんな可能性がある方だと僕は思っています。

事務局長・篠原 そうなんですね。才能を評価する声がとても多いので通過とします。次回作も楽しみですね。




[漫画] 『海域ガストロノミー —食と暮らしの心地いいリズム—』
中村規世なかむらのりよ(新潟県・32歳)

【ストーリー】 原発のある島でレストランを経営するアリエル。ある日、彼の初恋の女性が店に現れた。

事務局員・福島 海辺の情景も島の人々もやさしい線で描いてあって、好感が持てました。作者は料理人としても働いているそうで、くわしいレシピまで説明してあって驚きました。

編集部員・S宮 でもレシピの描き方は『クッキングパパ』そっくりですよね? もう少しオリジナリティが欲しいな。

編集部員・K原 私はなぜ舞台設定に原発を持ち込んだのかが気になります。放射線と食の問題も描きたかったんでしょうが少し触れただけで描ききれていない。中途半端に扱うには大き過ぎる問題だと思います。

編集部員・S宮 もし原発を取り上げるならもう少し真正面から扱ってほしいし、そうでないなら扱わないほうがよいですね。

事務局長・篠原 採点表を見てもみなさん総じて厳しめですね。一定の完成度はあるが、オリジナリティのなさと、ストーリーの焦点が絞ることが今後の大きな課題でしょうか。次回作に期待しつつ、今回は落選ということにします。




[漫画]『定時退社でライフルシュート』
田素弘でんもとひろ(東京都・38歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 大手広告代理店を退職し、事務として働くマチ子。平穏だけれども未来に希望はない。そんな退屈な日々を過ごすマチ子は、同郷の友人・ミチルと偶然出会う。エアライフルでオリンピック出場を目指すミチル。彼女に勧められ、何の気なしに始めたエアライフルの魅力に、マチ子は徐々に惹かれていく——。

事務局員・高橋 以前、『冷えた血』という作品でニ次選考まで残った方です。年齢は比較的高いですが、絵柄も作風もどんどん変わってきているところに吸収力の高さを感じています。いかにもデジタルで描いています、という絵柄が課題の一方で、目に力のある人物を描けているところを評価しています。

事務局長・篠原 部内採点ではかなり評価が高いですよね。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 今まで新人賞を読んできた中で、最も感動した作品のひとつでした。お手本のような美しい漫画を読んだな、と。もう演出が天才的に上手かったです。説明が少ないのに、キャラの関係性や、キャラがどこに欲求不満を抱いているのかも良くわかる。そしてその欲求不満が物語を動かしていく。ただ、絵は改善の余地があると思います。もう少し人物に柔らかさが欲しい。このままの絵柄だと多くの読者を獲得するのは難しい気がします。

事務局員・吉原 編集長も評価が高いですよね。

モーニング編集長・島田 俺も三村とほとんど同じ感想だね。あとはとにかく目力がある。ただ、三村がいうほど、絵に魅力ないかな?

モーニングツー編集チーフ・三村 キャラがアンドロイドっぽいんですよね。女の子二人というキャラの組み合わせを男性読者目線で考えると、可愛いなあとやっぱり興奮したいわけです。今の絵だと形自体はきれいなんですが、女性的な身体の柔らかさとかがあまり感じられません。

事務局長・篠原 ちょっと硬質というか、冷たい感じがするかもしれませんね。生っぽさが足りない。ただ以前に比べると、絵柄が大胆に変わっていますし、今後も変わるだろうという期待感もあります。

事務局員・吉原 線が綺麗すぎるんじゃないかなあ。好きな作家さんのところにアシスタントに入ったら、ガラっと変わったりするんじゃないでしょうか。びっくりしたのは作者がライフル競技の経験者じゃないってことです。それなのに、この競技について深い知識を持っている人が描いたように見える。それってなかなかできないことですよ。評価したいポイントです。

編集部員・T原 間の取り方が圧倒的に上手いと思いました。時間にすれば0.1秒の一瞬の出来事を描いたコマをじっくり読ませる。個人的に気になるのは目の描き方です。目力があるという意見がありましたが、無機質な感じがして色気がない。目尻にGペンが波打ったような艶やかさが出てくると変わってくるのではと。ただ、企画や読み応えの部分では連載にしてもいいくらいの面白さがあるのはたしかだと思います。このマイナーな競技を「ちょっと一回やってみようかな」と思わせる力がある。

事務局長・篠原 そうですよね。ライフル射撃という競技が面白そうにみえる。

編集部員・T原 ディテールまで作り込んであるのに、窮屈さを感じない。非常に良い漫画を読んだと思います。

事務局長・篠原 総じて高評価ですね。落とす理由がない感じです。最終選考に残します。




[漫画]『経堂龍之介の転職』
秋谷弥潮あきやみしお(神奈川県・33歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】恋愛小説家になることを夢見る若手刑事・若林が死んだ。最後に遺した言葉は「なおきしょう…お願い」。同僚の死を看取った経堂龍之介は若林との約束を果たすため、直木賞受賞を目指し恋愛小説を書き始める。娘の同級生でありベストセラー作家でもある金時さんの毒舌指導の下、経堂はただひたすらに書き続けるが——。

事務局員・高橋 以前持ち込みを受けて担当させていただきました。その後、打ち合わせを経て完成したのがこの作品です。そんなに若くはないかもしれませんが、きちんと原稿にしたのはこれが2作目なので、伸びしろはまだまだあるはずです。この作品について言えば、とても「おかしみ」のある作品という印象を持っています。登場するキャラがみな良くて、その中でも主人公・経堂の師匠である毒舌の金時(きんとき)さんが強烈です。作中で経堂をさんざんなじるのですが、僕もなじられたいです…(笑)。

事務局員・吉原 部内評価も高いですね。編集長の評価も高いようですか、いかがでしたか。

モーニング編集長・島田 これは上手かったね。話も面白いし皆の評価が高いのもわかる。完成度が高いのを承知で難点をあげるとすれば、ちゃんと読まずにパラパラと見たときにつまんなそうに見えるんだよね。雑誌に載っていたと考えたときにぱっと見で「これ面白そうだな」と思われそうな雰囲気がない。単純にコマの組み方とかの問題だとは思うけど、唯一の難点はそこかな。あとは、かなりいいと思う。

事務局長・篠原 難しいところですよね…。この人の場合は、このコマ割のリズムが面白さに通じるところがある気がしますが。

モーニング編集長・島田 それはそうなんだけど、どこかに華みたいなものが必要なんだよ。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 絵の地味さが気になりますね。作者の間の取り方とかは好きだし、本当にいいキャラを作り出している。完成度が高いことに間違いないです。ただ、現状の絵だと絶対に損をするだろうなと…。描き続けていったら、変わってくる可能性があるとは思いますが。

事務局長・篠原 まだ線がぎこちないので、ペン慣れしてきたらもっと艶が出てくる気はします。線に艶が出てきたら印象変わると思いますけどねえ。

事務局員・吉原 背景に問題があるかなと思いました。浦沢直樹さんレベルの背景が入ったら途端に読みやすくなるかもしれないですよ。

編集部員・T渕 う~ん…。同じページにまったく同じ人間の大きい顔を並べるとかのコマ割りや、絵のフレーミングがあまりよくないような気がするんですよねえ。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 それって、あえて狙ってやっているんじゃないんですか?

編集部員・T渕 それでも寄りとヒキが中途半端だし、やっぱりメリハリが今イチな気がする。

事務局員・寺山 僕は見せゴマを意識するといいんじゃないかなあと思います。この画をとにかく見せる。そう思って描いたら絵の力も伸びるかもしれないし、パッと見た地味な印象も変わるかもしれない。

事務局長・篠原 たまにすごい抜けのある絵を描いたりするといいかもしれませんね。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 金時さんがもっといい女だったら良かったのにとも思います。現状だと、いかにも毒を吐きそう顔をしていて驚きがない。

事務局長・篠原 でも、パッと見た瞬間にいかにも毒を吐きそうっていうキャラをかけるのはスゴいですよ。

編集部員・T渕 主人公の男のキャラはいいですよね。堅物キャラってモーニングの読者は好きだと思うんです。柳沢教授とか。この人って最近の男性作家にしては珍しく、「格好の付け方」がちゃんとあるんですよ。女性の作家は「格好を付けた」絵を描くのが好きだと思うんですけど、男性作家は照れちゃって出来ない人が多い。そこは評価したいポイントですね。

事務局員・吉原 個人的に編集長に伺いたいのですが、この方を連載まで持っていくとするならば、今のままのシチュエーションで続きを描いた方がいいですか。

モーニング編集長・島田 この二人のキャラを活かせるなら、全然違う設定にしてもいいと思う。職業を変えるのもアリなんじゃない。もっと続きやすいシチュエーションにしてさ。問題は「地味さ」なんだけど、それは簡単に克服できないもんだよ。「地味で何が悪い」と開き直るしかないんだ。

事務局長・篠原 それでも色々な人に読んでもらう方法はあるはずですもんね。せっかく評価が高いのに課題の部分ばかり議論されたので、あえて言っておきたいんですけど、僕はこの続きもずっと読みたいくらい好きです。会話のテンポ、ネームのキレ、キャラ、新人賞離れしてる。「スゴい!」とか「才能だ!」みたいな評価じゃなくて、こうやって「この作品面白いなあ」と思って最後まで読める作品は新人賞ではなかなかないですよ。読んでもらえさえすれば面白いと思ってもらえる作品だと思います。

モーニング編集長・島田 分かった! アオリとヒキを抜群にするんだよ。

事務局長・篠原 なるほど(笑)。編集者の腕の見せ所ですね。高橋に期待したいですね。

事務局員・高橋 がんばります!

事務局長・篠原 今作はもちろん通過とします。




[漫画]『家族のすきま』
ウチヤマナツオ(北海道・27歳)

【ストーリー】 家族を家族足らしめるものとは——。両親を亡くし親戚をたらい回しにされた小学生・ヨリ子は、変人と噂される大叔父と母の従姉妹と3人で暮らしている。ほんのりと血のつながりのある他人との共同生活の中で、ヨリ子はとても曖昧な、家族の“輪郭”について思いを巡らせる。

事務局員・平野 僕が担当です。5月のコミティアでこの作品を見つけて、作者に声を掛けてそのまま今回のTHE GATEに出してもらいました。作者は美大を卒業した方で他誌にも担当がいますが、まだ受賞歴はありません。五十嵐大介さんが好きだそうですが、まだその影響が強すぎるのでもっとオリジナリティーを出せればいいのですが、とても魅力的な画面を作れるセンスがある作家さんだと思っています。

事務局員・寺山 絵が上手いなと思いました。あとはセリフの作り方なんか見ても、大人っぽい漫画を描ける人だなと思って高評価を付けました。ただ気になったのはキャラが弱いこと。その辺を雰囲気ではなくてきちっと作れるともっと良くなると思います。

事務局長・篠原 キャラの弱さに関係してると思うんだけど、この人の絵って目が弱い。人物の輪郭も甘いから個体を認識しづらくて全体の雰囲気に人が馴染んでる感じになっちゃってる。画面の雰囲気だけじゃなくてもっと人をしっかり一生懸命に描くことに興味を持てば、五十嵐大介さんとはまた違った個性が出てくると思う。

編集部員・K林 絵はたしかに目を引くんですよ。扉も上手いし。でもこの人は、まだネームが下手。ちゃんと打ち合わせして、ちゃんとネームを作っていくことをした方がいい。

モーニング編集長・島田 この話さ、途中でお化けみたいなのが出てくるじゃない。なんでそっちいっちゃったんだろうと思って。最初、すごく良いテーマで面白そうだなと思って読んでたのに、テーマがうやむやになっちゃった。ファンタジーがダメなわけじゃないけど、現実の中できっちり話を追いかけた方が良いと思うけどね。

編集部員・T渕 でもお化けが出てこなかったら、この話すっごい地味じゃないですか?

モーニング編集長・島田 地味な話を面白く描けなくちゃしょうがないじゃん。テーマがちゃんとあるんだから。話が地味になるからお化けを出すなんてのは、大事なことが描けないから脇道に逸れて煙に巻くってのと同じだよ。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 僕は評価しているんですが、皆が言っているのと同じ課題を感じています。目が弱くて、顔の輪郭もあいまいで、ストーリーもキャラもあいまいで、今はいろんなものから逃げている気がします。逃げないで、退路を断った上で何を描くかを見てみたい。退路を断った上でお化けを描くんなら、それは是非見てみたい。モノローグも上手いし、「何かありそう」という期待をもたせられるのは、才能があるということだと思います。ただ今回は、最後の印象が弱くて雰囲気漫画になってしまったのが、すごくもったいなかった。

事務局長・篠原 最初に設定したことをちゃんと回収するって難しいんですよね。漫画の中で何らかの答えを出さないといけないから。でもそこから逃げなかった人だけがプロになれるのかなと思います。次回作に期待して、今回は落選とします。




[漫画]『やせウツボ』
91式戦車きゅうじゅういちしきせんしゃ(新潟県・24歳)

【ストーリー】 愛する夫との子供が、夫の身体の事情で作れないと分かった妻は……。追いつめられた女の哀しさと狂気を描いた超問題作。

編集部員・K井 語り口がいいですよね。一番最初のページから物語にぐいぐい引き込まれていく感じがありました 。出てくる女の人も生活感があってエロくていいんですよね。意外だったのは作者がまだ24歳で、すごくお若いんですよね。絵のタッチの感じからはもうちょっと年配の方かな、と勝手に思っていたので。

事務局員・寺山 絵の熱量がとんでもなく凄いんですよね。その一点で高く評価しました。物語に関しては人物の感情の描写があまりに荒唐無稽すぎて、そこまで押せないんですが。

事務局員・吉原 背景の描きこみがとんでもないですよね。

事務局長・篠原 僕もこの背景は凄いなと思いましたね。

編集部員・M本 この絵は僕から見たら、古臭く感じてしまうんだけど、若い人たちはどうなの?

編集部員・N沢 古臭い絵へのオマージュでわざと描いたんだろうな、という印象でした。

事務局員・福島 僕も、今、あえてこの絵、というのは新鮮に感じましたね。

事務局員・柳川 私は、絵はもちろんですが、むしろ話が身につまされる感じでとても興味深く読めたんですね。好きな人との子供が作れない女性の切なさや、ボタンをひとつ掛け違えてしまったことで最悪の事態を招いてしまう悲劇が、よく描けていたな、と。

編集部員・T原 この物語には、人間のいい面も悪い面もちゃんと入ってるんですよね。人間の情念がムンムンと醸し出されている感じが、作中の夏の情景と合っていて、とてもいいですね。この方も天賦の才を感じさせる、いわば天然記念物のような存在感を感じます。ご本人に確認してみないとわかりませんが、もしも、こういう陰惨な話しか描こうとしないんだとしたら、エンタメを作る作家としては少し厳しいですが、多分、多彩な作品を作っていってくれるのではと期待しています。

モーニング編集長・島田 赤ん坊を殺す必要は、あったの? 俺はちょっと気分が悪くなったよ。

事務局員・柳川 彼女は終始混乱の中にいるから、それゆえに赤ん坊殺しまでしてしまったんだと思いますが、たしかに後味のいい話ではないですね。読んで嫌な思いをする人がいるのも理解できます。ただ、そこまでせざるを得ないくらい追い詰められた主人公の女性の苦しみはとても伝わってきました。

事務局長・篠原 旦那や子供は結局誰が殺したんだ、ってことははっきり描かれないですよね。

事務局員・柳川 嫁が殺したんじゃないんですか?

事務局長・篠原 うーん、それは状況的にわかることで。この事件がどういう顛末で、なぜ赤ん坊まで死ななければならなかったのか、それが想像でしかわからないような描き方はやっぱり改善の余地があると思います。

事務局員・柳川 たしかに、それはそうですね。

事務局長・篠原 「なぜ赤ん坊まで」というところのことが描かれないから、編集長のように「気分が悪く」なる人がいるんだと思いますよ。今の描き方だけでは「そうしなければならかった」理由がわからないから。赤ん坊を殺すというもの凄く嫌悪感を覚える出来事を描くには、この作品は説明が足りないと思います。絵の実力は素晴らしいものがあると思うので次回作にぜひ期待したいです。今回は落選とします。




[漫画] 『東京ダンスマガジン』
田ノ岡高志たのおかたかし(東京都・29歳)

【ストーリー】 事務バイトをしている主人公・なつきは同じ社内の木村に憧れを抱くも、すでに木村には鈴木という彼女がいた。服装などあらゆる面で鈴木への劣等感を感じてしまう。趣味のダンスバトルに出かけたら、そこに木村と鈴木がいた。

事務局員・鍵田 主人公は実生活では鬱々としてるんですけど、ネガティブな感情を全部ダンスにぶつけるんですよね。最後まで読むとさわやかな気分になれる、いい作品だと思いました。

編集部員・S宮 一通りストレスなく読めるんですけど、全体の雰囲気が少し幼い印象です。ストーリー自体は青春もののよくある定型なので、そこにダンスという題材を入れたって感じがしてしまいます。「ダンスの現場の空気ってこんな感じなんだ」と思わせてくれる何かがあると良かったなと。

事務局員・鍵田 雨が降っていてシューズが濡れるのを心配してるとか、細部のリアリティをちゃんと出せる人なんだなとは思いました。

編集部員・K森  ダンスの動きが絵で伝わってこないってのはなんとかしないとね。ダイナミックな動きをしてるのはわかるんだけど、迫力がないというか。

事務局員・鍵田 コマ割りで動きを見せていくこと意識した方がいいかもしれないですね。全体の雰囲気は伝わるんだけど、動きをもう少し分解してくれた方がより面白く描けそう。

編集部員・U山 ダンスに感情を乗せるって言っているから、盛り上がりのピークではダンスをしっかり見せたいですよね。

編集部員・N沢  キャラクターももっとかわいいといいですね。

事務局長・篠原 今回の作品で残すよりは、次回に期待したい人ですね。落選にしたいと思います。




[漫画]『まんじどもえ乙女』
町田翠まちだみどり(東京都・24歳)

【ストーリー】 高校生活のはじめ、皆が友達作りにいそしむ中で、柏崎さくらは教室で一人浮いていた。昔から人と触れ合うことに人一倍敏感で、ゾンビ映画をこよなく愛するさくら。彼女はまだ自らに秘められたポテンシャルに気づいていなかった——。

事務局員・上甲 担当です。この方は第66回ちばてつや賞の奨励賞を受賞されて、その時に僕が担当になりました。打ち合わせのときに「カバディ」を題材に描きたいという作者の要望があって、チャレンジしているところです。ルールなどが知られていないマイナーなスポーツなので、描き方に苦戦しているのですが、何度かネームにするうちに面白いものができたと思うので、皆さんのご意見をお伺いできればと思います。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 面白く読めたし、作品としては新人賞の水準にはあると思う。だけど、やはりこれを読んで「カバディ」というスポーツを「やりたい!」とか「見たい!」という気持ちにさせることができてないのは、あまり良くないと思う。せっかくこういう題材を選んでいるのなら、そこにチャレンジしてみては?

編集部員・S宮 僕もやはり「カバディ」という題材がネックだと思います。興味をひく題材なので描くならしっかり描いて欲しい。作品の途中まではすごく面白くて、途中から「カバディ」の描写があるんですが、そこがちょっとリアリティがないというか描写が緻密じゃなくなってしまう。なので、あまりこの題材にこだわっちゃうと、もしかしたら作者の良い所もつぶしかねない気がしました。

モーニング編集長・島田 これって女子高生ものじゃないとダメ? 舞台設定が高校じゃなければ、モーニングに載っけるっていう芽もあるような気がするんだけどな。

事務局長・篠原 この方のカバディものは何度か読みましたが、漫画自体は面白く描けるようになってきてると思います。ただ、題材がカバディである必然みたいなものがどうしても薄い。次の題材にいってもいいのかなと思います。評価している人もいるんですが、次作に期待という感じでしょうか。今回は落選とします。




[漫画] 『本当の中身(きもち)』
きはらゆりこ(兵庫県・27歳)

【ストーリー】 おにぎり屋の青年は、突然現れたかわいい女性客にひとめぼれしてしまう。しかし彼女が地球を偵察しに来た宇宙人であると報道されているのを見てしまい……。

編集部員・Y江 今回の作品の中では、キャラクターの表情が抜群に良いと思いました。おにぎりを食べている女の子の顔が、本当に美味しそうなんですよね。

事務局員・高橋 かわいらしい絵だし、人に愛される漫画が作れる作者なんじゃないかな、と思いますね。

編集部員・F永 ストーリーについて言うと、特にどうってことない話なんですよ。でもそのシンプルさに好感が持てました。

編集部員・S宮 それにしても、あまりにも内容が薄すぎるし幼いような気がします。28ページもあったので、もう少しいろいろ展開できたはずです。そこはもったいないですね。

編集部員・U山 風景とか料理とかは丁寧に描いているのに、ラストシーンはむりやり終わらせたような印象を受けましたね。おにぎり屋と女の子の気持ちのやりとりにもう少し工夫が欲しかった。あまりにも物事がまっすぐ進んで展開に驚きがないんですよね。

事務局長・篠原 キャラの表情は非常に印象的でしたが、今後に期待しつつ、この作品は落選ということにします。




[漫画]『押し入れの夜子さん』
石橋いしばしほるも(沖縄県・23歳)

【ストーリー】 夢を追い続ける若者・今井一郎が借りたアパートの一室。ここから新しい生活が始まる……はずだったが——。

事務局員・冨士 主人公と夜子さんのテンションの差が、読んでいて楽しかったです。最後まで勢いもありましたし、良かったと思います。

事務局長・篠原 編集部内の採点ではあまり評価が高くはありませんが、他に誰か意見はありますか?

編集部員・S宮 最後まで勢いがあるのはいいんだけど、勢いだけじゃなく、もっといろんなネタをいれて勝負して欲しいと思った。ギャグ漫画なんだろうけど、話の縦筋がないから二人のキャラのテンション芸だけになってしまったなと。青年誌で受けそうな話ではなかったかなあ。

事務局員・冨士 言われてみるとそうかもしれません。絵は良かったと思いますし、年齢も若いので期待したいなあとは思います。

編集部員・S宮 あと、僕は夜子さんをもっと美人に描いて欲しかったなぁ。

事務局長・篠原 たしかに! このシチュエーションで美人だと主人公の反応も大きく変わったでしょうね。そしたらまた別の展開があったかも! まだ若いことですし、次回に期待ということで今回は落選とします。




[漫画]『気配』
もぐこん(愛知県・31歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 草むらの中にポツンと物置のような小屋がある。その中で目隠しをされ手を縛られた状況で身動きできないの主人公。五感を研ぎ澄ます主人公。小屋の中に誰かがいるという「気配」を感じ助けを求めるが、「気配」の方からは何の反応もない——。聞こえるのは小屋に群がるカラスの鳴き声のみ。

事務局員・柳川 すごく雰囲気のあるいい感じの絵を描く方だなあと思いました。もの凄く魅力的でした。欠点があるのはわかりますが、最終に残すべきだと思います。

編集部員・Y江 私は実は一次選考、二次選考と二回読んでも話がよく分からなかったんです。でも、もう一回読んだら「あっ!この主人公の周りにいる人って幽霊で主人公には見えないんだ」ってようやく気づきました。私は計三回読まないと分かりませんでした。

事務局員・上甲 本当に分かりにくい。作品内では幽霊は犬にしか見えてないんですよね。結局、だれが主人公を縛ったのかとか全然明かされてないし、事件自体が解決しないのが、一層話をわかりにくくしてるんだと思います。圧倒的に説明不足ですね。

編集部員・N沢 僕も最後まで幽霊って分からなかったタイプですが、最初の勢いとか展開とかに引き込まれました。そこが良かったので高い点をつけました。ただ、最後まで訳がわからないのが残念でした。犬ももっと可愛く描いて欲しいし、目隠しとった女の子ももっと可愛く描いて欲しい。点数は高いのにマイナス面ばっか言ってますが、タイトルの「気配」感が伝わる作品で、そこがすごいいいなあと。最終選考に残して欲しいです!

事務局員・平野 最初の女の子同士の絡みのところとか、雰囲気がある作品だなぁと思いまいた。この色気、才能はあるなと思うんですよね。僕もこの人は最終に残すべきだと思います。

事務局長・篠原 賛否両論ありますが、これほど強く最終に残すべきという声がでるのも珍しいですね。この作品は通過ということにします。




[漫画] 『シンガーゾンビライター賢次』
横溝範英よこみぞのりひで(奈良県・25歳)

【ストーリー】 アコースティックギター1本で路上ライブをする賢次のもとに、昔の彼女・小百合が訪れる。しかし賢次は変わり果てた姿になっていて……。

事務局長・篠原 若い編集部員から人気が集中してますね。漫画としてはまだまだですが、新入社員2人の強い支持で一次選考を通過した作品です。

事務局員・鍵田 とにかく笑いました。サービス精神も感じますし。

編集部員・N沢  独特なセリフまわしに、もしかしたらとんでもないポテンシャルを持ってるんじゃないかなと。発想がすごくおもしろいです。

編集部員・S宮 ただあまりにも完成度が低いな。

編集部員・N沢 どこまで絵を改善していくかですよね。僕はこのままのほうが実は笑えるんじゃないかなと思っていて。

編集部員・U山  ギャグとして読んでいいのか迷っちゃうから、単純にギャグの密度がもっと欲しいです。

編集部員・N沢  僕が担当してとにかく模索していきたいです。

事務局員・鍵田 現状、純粋に笑える漫画なので個人的にはすごく期待しています。

事務局長・篠原  若手二人が熱くなってますね。ただギャグ漫画だとしても、まだまだ未熟。次回に期待して、ここで落選とします。




[漫画] 『月のゆめ』
冨戸野李果ふとのりか(愛知県・17歳)

【ストーリー】 趣味の女装を卒業しようと決めた少年・月海は、最後に特別な女装をして思い出を作ろうと月に向かう。そこで月の女王の力を借りようとした月海だったが、すげなく断られてしまい……。

事務局員・福島 これは私が持ち込みを受けた作品です。 ストーリーを作るのもまだ未熟ですが、とにかくかわいらしい絵を描くのが得意な作者ですね。

事務局員・関根 出てくるキャラクターがとにかくかわいいし、行動も無邪気で癒やされました。何より作者も登場人物も、好きなことを好きなだけやってるんだな、っていう感じが伝わってきてよかったです。見てて楽しそうなんですよ。

モーニング編集長・島田 見てて楽しそうっていうのは漫画の大事な要素だと思うよ。だけどあまりにもストーリーの完成度が低いし、対象年齢も低すぎる気がするな。持ち込みだそうだけど、これは「モーニング」に持ち込んだものなの? それとも「モーニング・ツー」?

事務局員・福島 『少年ノート』が好きだと言っていたので、「モーニング・ツー」だと思います。

編集部員・K原 それにしても、場面の転換が急すぎて話を追うのが大変だし、内容もかなり幼いので「モーニング・ツー」向きというわけでもないように思います。絵を評価する声もあることだし、担当と打ち合わせしてどんどん新しい作品を作っていくのがいいんじゃないですか。まだかなり若いですからね。

事務局長・篠原 まだ好きな話を好きなように描いている段階に見えます。これから担当と読者を意識した作品作りをして行って欲しいですね。今後に期待してこの作品は落ちといたします。




[漫画]『18歳』
岡部辛おかべしん(東京都・26歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 荒れた家庭環境で育った高校生の圭介は、将来に希望も何も持たない、グレた生活を送っていた。だが、圭介を慕いながら、ボクサーになることを夢見る友人・ショウタが事故にあったことをきっかけに、圭介の心に変化が表れ始め——。

編集部員・K グレている人のたたずまいがこれだけきちんと描かれているのって最近見ないと思うんですよ。主人公が意味不明に荒れている、その理由がよく伝わってきました。こういう姿を描いてくれる人が応募してきてくれたのはラッキーだと思います。

編集部員・K林 たしかに途中までは『キッズ・リターン』みたいになるんじゃないかとワクワクしたんですが、最後のオチの付け方はいただけなかったですね。ストーリーに粗いところはありますが、キャラクターの顔はすごく良いしこの作家は伸びる気がします。マンガを読んでいてキャラの顔がちゃんと覚えられる。これは重要です。

事務局長・篠原 この作品の中でもページを追うごとに絵がうまくなっていってますよね。

編集部員・T本 とにかく目力がある。ちゃんと正面を向いた顔を描いているのがすごく良い。やさぐれた連中の空気感もリアルですよね。主人公と友人のちょっと歪な友人関係も嫌味なくよく描けてると思います。

編集部員・K林 背景の絵にも雰囲気がありますよね。

編集部員・T本 とにかく読みやすい。うまくなる予感がします。

編集部員・T渕 「自分のキャラを好きになる力」が強いところを評価します。自分の描いたキャラクターが好きで好きでたまらない人って、そいつをもっとカッコよく見せるために絵もうまくなるし、演出もうまくなるし、ネームを描く力も自然とついてくる。経験的にこういうタイプの人はどんどんうまくなる。

編集部員・T本 カッコいい男を描きたいって重要ですよね。

事務局員・吉原 これが4作目の漫画と書かれています。

事務局長・篠原 それでこれだけ描けているというのは、やはりすごいですね。非常に伸びしろが感じられるという声も多いようです。最終選考に残したいと思います。




[漫画]『おとめまんが家♂』 
松久倖まつひさこう(愛知県・29歳)

【ストーリー】 32歳のおっさん漫画家・室みきおが、女性漫画誌で漫画を描くことに。しかし、彼には乙女心がわからないという欠点があった!

事務局員・冨士 持ち込みを受けたときに、いいなと思い担当につかせていただきました。今回の作品は、電話で打ち合わせをして描いてもらいました。

事務局長・篠原 部内採点ではあまり評価が高くない作品です。推す意見がある人はいますか。

編集部員・N沢 はい。僕は男性ですけど、主人公が女子高生に傘を渡すシーンとかすごくキュンとして、良い話だなと思いました。みなさんはどうでしたか?

編集部員・T本 おっさんが少女漫画家なのはいいんですけど、漫画家と編集者の話している内容にあまりリアリティを感じませんでした。漫画を描くために編集者に言われた「女の子をキュンとさせる行動」を実践するんですけど、そこで死ぬほどキュンとさせられたらもう少し良かったかもしれません。タイトルは企画を考えようと意識があって好きですけどね。

編集部員・S宮 既視感が強すぎるんだよなあ。頭で考えた感じがする。このテーマで実際に打ち合わせすればよかったんじゃない? ロールプレイってやつ。漫画家と編集者がキャラになりきって演じるのも大切なことだよ。そうすることで思わぬアイデアがでたりするものなんだよね。

事務局長・篠原 これって僕たちのような本職の編集者はもちろん、そうではない普通の読者でも「そんなのありえない」って思いそうな展開なのに、そのありえなさをギャグとして楽しめるようにできていない。ここが少しツラいところなのかなあと。次回作に期待して今回は落選にしたいと思います。




[漫画]『タイムマシン』
natsukiiin なつきん(茨城県・21歳)

【ストーリー】 主人公・早瀬の幼なじみである女の子の高城は、小さい頃からものづくりが得意で、クラスの人気者だった。だが、些細な事件をきっかけに、高城はクラスのみんなから距離を置かれるようになる。時を同じくして、早瀬の父親も、リストラを契機に酒に溺れるようになり、前とは人が変わってしまったように乱暴で無気力になっていた。そして、早瀬の身に、ある事件が降りかかり——。

編集部員・N沢 絵の雰囲気がいいですね。話は最後のタイムマシンのくだりがよくわからなかったので、せっかくなら本当にタイムマシンを作るとかにしてくれたら、もっと面白かったと思います。

編集部員・T原 タイムマシンは作れたんだと思いますよ。作ったけど、あえて乗らなかったという話なんだと思います。自分のうだつの上がらない苦渋に満ちた人生を、タイムマシンの話と掛け合わせているのがすごくいいと思いました。ただやはり粗さは目立つので、ここで落選にして次回作でもっといいものを描いてもらいたいようにも思います。それがこの人のためでもあるかなと。

事務局長・篠原 応募動機がスゴく良かったですよね。原稿の裏に最後のMANGA OPENの受賞作『僕の変な彼女』を読んで「描かないと!」と思い立ったと書いてありましたよね。時間がない中で仕上げたようですので、実力の全貌はこの作品だけではわからないかもしれないですね。

編集部員・T橋 たしかに今回は最終選考に残るか微妙なところですが、この先も2回、3回と原稿を完成させることができれば、ものすごいことになるんじゃないかと思わせる熱量が、この作品にはあります。

編集部員・T渕 一つのテーマを掘り下げる力がある人だよね。自分の中で自問自答しながらネームを作っていける。地頭の良さを感じさせます。それって鍛えられるものではないからね。是非打ち合わせしてみたい。

事務局長・篠原 完全な一人語りで作っちゃうとなかなか読みにくくなりそうな内省的な話を、この作品ではキャラクター同士の関係性の中で見せようとしている。モチーフの使い方も上手だし言葉使いもうまいですね。

編集部員・U山 ただ、この作品を最終選考に残すのは少し違うようにも思います。「勢い」は買いますが、原稿としての完成度が低すぎるかなと。年齢も若いし才能も感じさせるんだから、やはりもう1、2作くらいは粘って描いて欲しい。これだけ編集者に「担当して打ち合わせをしたい」と思わせるんだから、この人がしっかり時間をかけて描いた作品に賞はあげたいと個人的には思います。

事務局長・篠原 熱量と才能が感じられる良作ですが、これで最終選考に残すのは少し早いのかもしれません。惜しいですが今回は落選として次回作を心待ちにしたいと思います。




[漫画]『Percussionist』
古手 鞠ふるて まり(長崎県・25歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 テニス部に入るはずだった高校1年萩野あおい。ムカつく同級生打楽器奏者の「マッシュ」に出会ってなぜか吹奏楽部に入ることに。だって、なんだか、打楽器……って超気持ちいいんだもの!

事務局員・寺山 そんなに漫画描いたことないのかもしれないけど、本人の中に描きたい絵がはっきりあって、キャラクターがポジティブな点がスゴくいいと思いました。「マッシュ」のセリフもとても良いんですよね。

編集部員・T幸 応募動機に「音楽漫画でまだ打楽器を面白く描いたものを見たことがないので描いた」とあって、その負けん気の強さみたいなのもいいなあと。

事務局長・篠原 一コマ一コマを丁寧に読む人を楽しませようとして描いてる感じがあってとても好印象です。話を面白く見せよう、キャラクターを面白く見せようっていう意識が自然に備わっているんですよね。

事務局員・吉原 ちょっと変わったアングルで描いてやろうとか、一コマ一コマに見せる工夫がある。この作品自体の完成度というよりは才能として高く評価したいです。

事務局長・篠原 細かいところまで楽しんで描いてるんだろうなっていうのがわかるし、その楽しんで描いてることで読んでるこっちまで楽しくなるなあと。

モーニング・ツー編集長・三村 ひねたところがないし、この打楽器にワクワクする感じがまっすぐ描けるのは素晴らしいなと。

事務局長・篠原 作者の人間性の健やかさみたいなものを感じますよね。評価する声がとても多いので、この作品は通過とします。




[漫画]『いつもいっしょ』
安藤創一あんどうそういち(埼玉県・31歳)

【ストーリー】 光富ユメコは成績優秀、品行方正。周囲から羨望の眼差しを向けられている。しかし、彼女には同級生・横前サナを自殺に追い込んだという裏の顔があった。

編集部員・Y江 この方は持ち込みを受けて担当になりました。描くたびに上手くなっていて、一生懸命描いてくれる方です。ただ今回は非常に暗い話になってしまいました。

事務局長・篠原 まずなんでこんなに暗い話になったのか知りたいなあ。流石にここまで題材が暗いと、相当地力がある人が物凄くうまく描かないと「面白い」と感じることはできないだろうと思うんですよ。

編集部員・Y江 今回たまたま暗い話になってしまいました。毎回こういう話というわけではないんですが。

編集部員・K藤 僕は、暗い話だなと思って読んでいたんですけど、主人公が最後に「私はつらくても自殺しないで生き抜いてやったぞ」というふうになるところがすごく面白いなと思いました。でも、その情念みたいなものがうまく表現できていなくてもったいなかったなと。

事務局員・福島 登場人物がみんな頭がおかしくなったように描かれるわりに狂気を感じないですよね。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 この作品って題材というよりもキャラが良くないんだと思う。登場人物が類型的だから面白く読めないんじゃないかな。

モーニング編集長・島田 作者はスゴい真面目な人なんだと思うよ。真面目な人が真面目に狂気を描こうとした結果、スゴく嘘くさいキャラばかりになってしまった。

事務局長・篠原 こういう暗い題材を選ばなければもう少し伸び伸び描けたのかなとも思いますね。この作品は落選とします。




[漫画]『はるのうた』
由紀円香ゆきまどか(京都府・24歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 東京から引っ越してきた清水はるかは、とある神社に迷い込み、そこから流れくる不思議な「はるのうた」を聞く。そのうたのせいなのか、はるかの眼前に不思議な光景が飛び込んできた……!

事務局員・福島 とにかく絵が綺麗で雰囲気もいいな、と思いました。この絵柄がモーニングに合っているかというとわかんないですが、ぜひ担当してみたいと思う画力でした。

事務局員・高橋 僕も絵の瑞々しさを高く評価しています。ただ、ストーリーは少し薄いかなと思いました。

事務局員・上甲 僕もこの絵と描写力を高く評価します。雑誌の中にあってもこの絵は読み飛ばされず目が止まるんじゃないでしょうか。この作品のストーリーに関しても何かを描きたいと頑張って考えている気配は感じます。今回はそれがうまく結実しなかったのかなと。

編集部員・Y江 私もすごく絵が好きで、この人の絵が表紙になった雑誌や本だったら手に取るな、と感じました。

モーニング・ツー編集チーフ・三村 僕も絵を評価しているんですが、「動き」を表現するのが抜群にうまいなと思いました。最初の見開きもそうだし、コマを追っていく時もその流れに気持ちよさを感じる。話の方は置いといてもこの「動き」の表現はすごい武器だと感じます。

編集部員・T渕 絵はうまいんだけど、もしモーニングでやるなら、コマ組みをもっとオーソドックスにした方がいいんじゃないかな? 今のままだと女性誌的でちょっとやわらかすぎると思う。

事務局長・篠原 かなり評価は高そうですね。これで人物の絵が魅力的になるとさらに良いでしょうね。この作品は通過としましょう。




[漫画]『シャッタースピード』
佐藤さとうダイン(東京都・30歳)

【ストーリー】 映画監督を目指す沢田悠は、憧れの映画監督・新井俊次の新作映画を観に行った。しかし、そこで放映された映画は、彼が憧れていた監督のものとは到底思えない作品だった——。

事務局員・平野 担当希望です。主人公が愚直で、勢いもあるしとても熱い話だなと思いました。

事務局員・吉原 編集長も評価が高いですよね。

モーニング編集長・島田 舞台度胸があるというか、テーマから逃げずに正面から描いてる感じが良かった。話がとても面白いというわけではないけど、それをごまかさず自分が描けるものを必死で描いている。それに主人公がすごく良い顔してるしよね。

事務局員・吉原 僕はこの主人公が撮った映画を観たくないなと思ってしまいました。いろんなものを寄せ集めて作ったようなキャラに見えてしまって……。

事務局長・篠原 僕も同じように感じてしまったんですよねえ。この主人公の視野の狭さが気になってしまって。

編集部員・S宮 この話は映画監督になるっていう話だったのに、映画をどうやって撮るのか全然描いていなかったよね。少しでいいから触れて欲しかった。もしかしたら作者は映画に詳しくないのかもしれないけど、それでも作中で映画に対しての持論を展開させることが必要だったと思う。

事務局長・篠原  映画に対するスタンスの話ばかりで、肝心の映画については触れられないんですよね。

編集部員・S宮 だから、これって題材が映画である必要があったのかなと思ってしまうんだよね。とても可能性がある人だとは思うけど、この作品で二次選考を通過するのはどうなのかなとは思う。

事務局長・篠原 担当がついてじっくり話し合って作品を作っていけば大きく化けるかもと期待したくなる作家さんですね。今回は落選として、次回に期待したいです。




[原作]『VISION』
オオトリ アト(栃木県・27歳)

【ストーリー】 「視界」をテーマにしたサイコホラーサスペンス。(※事務局注 原作のため、具体的なストーリーは明記しません)

事務局長・篠原 二次に残った唯一の原作です。

編集部員・K藤 この「視界」のアイデア、凄く面白かったです。

編集部員・T渕 ただこれって似たものがいくつかあるよね。ものすごくオリジナリティがあるアイデアてわけでもなさそうだから、原作としてはどうなんだろう。

モーニング編集長・島田 あらすじを読んだときは凄く面白いと思ったんだけど、そのあと読んだネームの第1話を読むとそこまでではなかったんだよね。あらすじから想像できた話がそのまま進んでるだけで。

事務局員・吉原 原案としてはレベルが高いけれど、原作としてはもう一歩というなのかもしれませんね。

事務局長・篠原 ただ、このレベルのアイデアをいくつも思いつくような人だとすれば、原案や原作者として食べていけるようになる人かもという期待感もありますよね。誰かが担当について次回作に期待したいですね。今回はここで落選としたいです。




[漫画]『イチニツイテよーいドン!』
斉藤羽凧さいとううたこ(福島県・35歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 かつて箱根駅伝で黄金期を築いた東西大学は、現監督の桜咲守がクビを宣告されるほどに低迷していた。そこで守が泣きついたのは、かつての黄金期を亡き父ともに支えた母・桜咲コイト(80歳)。東西大学復権のために寮母に就任したコイトは、80歳とは思えぬバイタリティで部員達を(強引に)率いていく!

事務局員・高橋 僕が担当です。毎回新人賞に応募してくださるのですが、いつも二次選考で落選してしまうんです。ただ原稿を描くごとに成長しているとも思っています。この方の作品っていつもおばあちゃんのキャラクターが褒められるんですよね。今回もおばあちゃんが良かったと思います。

編集部員・K藤 私もおばあちゃんのキャラクターがいいなと思いました。ただ、スポーツ物として真面目にドラマを作りすぎているのかなという印象です。怪我の治療法や真面目なスポーツの知識を入れ込むより、もっと陸上部の寮内の日常を描くことで、おばあちゃんのキャラを立たせた方が良かったかもしれません。

事務局員・吉原 編集長も評価は高いですが、いかがですか?

モーニング編集長・島田 俺も、おばあちゃんがいいなって思ったんだよな。

事務局長・篠原 俺もいいと思いました。毎回進歩してると感じますが、今回かなり進歩はしたんじゃないでしょうか。

事務局員・柳川 今までで一番面白かったですよね。

編集部員・K本 実は僕はこれと同じような話を大学駅伝のドキュメンタリーで見たことがあるんですよ。奥さんと監督が一緒に寮に住んで、ある選手の貧血を一生懸命治すって筋でした。この作品よりそのドキュメンタリーの方が面白かったな思ってしまいました。

編集部員・S根 読み始めたときに『おおきく振りかぶって』に似ているなと思ったんです。ただ、おばあちゃんのキャラは非常にいいのですが、部員一人一人のキャラがそれほど印象的ではない。「おお振り」のすごさって、監督以外のキャラクターのことも考え尽くしているところにあると思うのですが、この作品にはそれがあまり感じられないと思いました。

編集部員・K藤 駅伝を面白がる人ってチーム萌えがあると思うんですよね。もっと部員のキャラを作り込んだ方がいいのかなと。

事務局長・篠原 今回は読み切りですしそこまで考えが及ばなかったのかもしれませんね。

編集部員・T渕 私は真面目なデータ的なものがもっと必要だと思いました。スポーツ医学の豆知識がある方が話の雰囲気が締まるはず。

編集部員・S宮 この絵、私は好きなんですが、このままで良いのかは判断の難しいところですね。

事務局員・吉原 理想を言えば、駅伝マンガは「この絵じゃなきゃダメ」ってなるのが一番いいですよね。

事務局長・篠原 一つのジャンルを作ることが出来れば勝ちだと思います。ただ、まだそれを求めるには完成度が足りない気もします。

編集部員・T渕 癖のある絵だってメジャーになれば、「これじゃなきゃダメ」ってなると思うんです。この絵をもっとブラッシュアップするともっと安定感が出てきたら、「この人はこの絵」って武器にはなるかもしれない。そうなることを期待したいですよね。

事務局長・篠原 これまでの作品と比べると線が整理されて上手くなってきていますよね。にもかかわらず、この作家さんの作品だと分かる。「上手くなる」と「個性」を両立させることできているので、このまま行くと大化けするのかもしれません。以前より大きく飛躍していますし、この作品は通過としましょう。




[漫画]『クマ子さん』
小泉苑出こいずみえんで(神奈川県・29歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 ある個人的な理由からアサノ(バスケ部)はN市内の高校に転校する。転校先でクマ病患者(珍しい一種のアレルギー症状)のクマ子と隣の席になったアサノは周囲の反応含めクマ子さんにドギマギする。見た目はクマのクマ子さん。ジャージにスカートのクマ子さん。暑い場所は苦手のクマ子さん。アサノはこの学校ではなくてはならない存在のクマ子さんが気になって気になって仕方がない。

編集部員・T渕 これとは別の作品を、この間のコミティアで出していて声をかけました。これも同人用に描いたもので、わかりにくかった時制や吹き出しのツノの部分などを直してもらって応募しました。キャラクターの佇まいがとてもいいと思ってます。

編集部員・T本 完成度が高いと思いました。主人公に対する周りの反応にもリアリティがあるし。ほんと圧倒的にキャラの佇まいがいい。

事務局長・篠原 一つのコマだけ見てもページ単位で見ても画面構成のセンスが非常にありますよね。ちなみにもう一つの作品はどんな内容でした?

編集部員・T渕 英国の仕立て屋の話でこれほど洗練されてはなかったけど、キャラの雰囲気は出ていました。絵が一コマ一コマ決まっているんですよ。フレームの中に格調高く収まってる感じがします。構図の決まってるし気持ちがいい。話も大人っぽい作品でした。

事務局員・吉原 編集長に聞きたいんですが、先ほどのカバティの作品は舞台を高校から変えた方が良いって話だったじゃないですか? この作品の場合はどうなんですか?

モーニング編集長・島田 これはアリ。要は高校である必然性があって、登場人物が話してるセリフが大人の鑑賞に堪えられるかどうかなんだよ。必然性がないのに設定を高校生モノにすると、これ大人が言ったら絶対成立しないよなってセリフになりがち。この作品は絶対的にクマ子さんのキャラクターいいし、それを活かすためにもこれは高校であるべきだと思う。

事務局長・篠原 総じて非常に高評価ですね。文句なしで通過とします。




[漫画] 『ももちゃんとてっちゃん』
最上葉幸もがみ ようこう(福島県・35歳)

【ストーリー】 震災後の福島市に住む一児の父、てっちゃんは祖父の葬儀に出席するために県外の故郷に帰った。しかし親族からことあるごとに放射線量について心配され、複雑な気持ちを抱く。

事務局員・福島 柔らかい線で描かれた絵が魅力的だと思いました。小さい子供のももちゃんやおばあちゃんだけでなく、おじさんのはずのてっちゃんまで可愛く見える描き方をしています。おばあちゃんが実は喫煙者だったことを明かすシーンもよかったですね。煙草を吸うおばあちゃんのしぐさや雰囲気もとても自然でした。

編集部員・S宮 福島に住んでいる人が、県外に行って放射線量について心配されるっていうことはあるのかもしれないけど、こういう題材をフィクションで扱うならもっと本腰を入れた描き方が必要なんだと思う。

編集部員・N森 確かに扱いが少し軽いですよね。福島に住むということの現実を描くなら『いちえふ』のようなルポとまではいかなくとも、エッセイ漫画にするとか、他のやり方はいくらでもあったはず。その中でフィクションを選んだのであれば、もう少し骨太なものを求めたいですよね。すでにアフタヌーンに『はじまりのはる』という作品がある訳だし。

編集部員・S宮  フィクションで描くなら福島に住んでいる人にしかわからない、気持ちの機微みたいなものを描いて欲しかったなと。福島在住という自分のバックボーンを、もっと生かして欲しかった。

事務局長・篠原 地力は感じますので、今後の作品に期待して今回は落ちといたします。




[漫画] 『Re:プレゼンテーション』
てらおか現象げんしょう(東京都・26歳)

☆2次選考通過作品

【ストーリー】 斬新な新製品を次々と発表しつづける若きエース・吉岡は、とっておきのアイディアをひっさげて社内プレゼンに臨む。女性社員からキャーキャー言われ、上司から熱視線を浴びる吉岡。既成概念を根底からくつがえすプレゼンが始まる。

事務局長・篠原 プレゼンってものに対する皮肉が利いていて企画としてはすごくいいと思いました。高評価をしてる人が多いですよね。

編集部員・S根 企画として評価したいっていうのは本当にその通りです。今もてはやされてるような「プレゼン」っていう枠組みでは決して世の中の多様性は生まれてこないよ、っていう皮肉。すごくインテリジェンスを感じます。ぜひ担当してみたいです。

事務局員・鍵田 僕も担当希望なんですが、とにかく当たり前にあるプロダクトにツッコミを入れるという発想がおもしろいです。笑いながら感心させられるというか、どんどん発見が生まれるのが気持ちいいですよね。

モーニング編集長・島田 これって一回ネットに載ったものだよね。面白いのは面白いんだけど、「無料だったら読もうと思うもの」っていう感じもするよね。

編集部員・K藤 僕も面白く読んだんですが、これってネットの世界だったらスターになれるかもしれないという類のものなのかもという気もしますね。本で読みたいものなのかはたしかにわからない。

事務局員・上甲  でもお金を払うかどうかはわからないけど、少なくともすごいバズりそうな感じはするよね。この作品、僕は面白いと思いましたよ。

事務局長・篠原 「紙で読んだらどうなんだろう?」という疑問はわかりますが、僕は少なくとも1冊なら「こういう本にすれば買って読んでくれる人が多そうだ」という完成形が想像できますよ。オビのアオリだっていくつかすぐに思いつく。これは企画が良い証拠です。たしかに今のモーニングの本の作り方とは違うやり方をしないといけないかもしれないけど、それって今モーニングにないものを送ってきてくれたってことだから、個人的にはむしろスゴく嬉しい。

編集部員・S根 こういう汎用性の高い企画を提案をしてるっていうのは価値のあることだと思います。これ以外にも面白い企画を考えつく人なのではないでしょうか?

事務局長・篠原 作者の非凡な発想力を感じますよね。この作品は通過にしたいと思います。




[漫画] 『ポジティブ難民』
松平K介まつだいらけいすけ(東京都・34歳)

【ストーリー】 ポジティブではあるがなんだか迷走している感じがする人々を1~4ページにつき1人描く、計9本のコメディ作品。人事課長から河童まで、幅広いキャラクターが登場する。

事務局長・篠原 笑えるところもいくつかありましたが、どうでしょうか?

編集部員・S宮 ネタの密度がギャグ漫画としてはちょっと足りなくない? 4コマでもできるネタを薄く伸ばして数ページにしたみたいな印象がある。

編集部員・K森  こういうライトなギャグって突破口を見つけるのが実は一番むずかしいんじゃないかなと思うんですよ。この作品は既視感が強いし、新しさが足りないと思いました。

事務局員・U山 そもそもコンセプトの部分も曖昧ですよね。ポジティブ難民って言葉としてはおもしろそうなんですが、何なのか伝わりにくい。しかもこのコンセプトを最後までうまく貫けてないんですよね。

編集部員・N沢 阿呆総理と掃除大臣のところはバカらしくて笑っちゃいましたけどね。

事務局長・篠原  最終に残すには笑いの密度、完成度ともに足りないという感じでしょうか。ここで落選としましょう。




[漫画] 『この世の果てまで』
左藤真通さとうまさみち(東京都・34歳)

【ストーリー】書店員として働く根暗で将棋が趣味の主人公・サオリは周囲からステキだと言われる姉と同居している。外面は良くても家の中ではだらしない姉。自分がいないと何もできないと思っていた姉に仲のいい友達ができて……。

事務局員・鍵田  最初から最後まで暗い感じのする作品なんですが、意外とキャラクターの心情がストレートに伝わってきて、ちょっと泣けました(笑)。

編集部員・U山 絵が完成されてますよね。もう少し明るいテーマでも見てみたい。

編集部員・S宮 モノローグが多すぎる。モノローグを使わずに描くことに挑戦してもいいんじゃない。

編集部員・K森 描かれているテーマに共感はできないことはないんですが、あまりにも何も起きてないような気がしていて。もっとドラマというか、事件性があったりしたほうがいいんじゃないかと。

事務局員・N沢 これはあんまり何も起きないからしみじみと伝わるものもあるんじゃないですか? 起きてるといえば起きてるけど、伝わりにくいのかな。

事務局長・篠原 今回の作品に関してはあまり評価する声が聞かれないので、次回に期待しましょう。落選とします。




[漫画]『走れ滝本』
本間ほんまタダユキ(東京都・31歳)

【ストーリー】真面目だけが取り柄の非モテ男・滝本は、一目惚れした女性・里美と運命の恋に落ちるも、心ない一言で彼女を傷つけてしまう。そんな彼が彼女に許してもらうべく取った行動。それは、東京から彼女の住む大阪まで走ることだった…。

事務局員・平野 とにかくダメ男が頑張る話を描きたい、というところから打ち合わせを重ねて出来上がったのが今作です。

事務局員・高橋 一生懸命まっとうに頑張って報われる話ってやっぱいいなと思いました。

編集部員・A達 私はこの作品、女性目線で見て苦手でしたね。過去の女と比較して彼女を傷付けたことに対して、結局主人公は根本的には反省していないんですよ。勝手に走って、なぜか彼女に許されて、周りにも祝福されて、報われる。主人公がコテンパンに打ちのめされて、人間的に成長するストーリーなら救いがあるんですけど、彼女とのハッピーエンドがゴールなら、夢オチでいいんじゃないかってくらい、現実味のない話だなと思いましたね。

事務局員・吉原 こういう人に好かれたら嫌ってこと? それとも作品的に?

編集部員・A達 作品的にですね。夢のような話すぎませんか? 女の人は、絶対こんなことされたら嫌だと思う。大阪に引っ越したくなるほどムカついた男が突然家まで走ってくるなんて…私なら走って逃げたい。

事務局員・平野 たしかにA達さんの言うように主人公が反省する部分はもっとあった方がよかった気がしますね。

編集部員・T本 この話を成立させる一番の肝はラーメン屋のオヤジで、逆に言うとあのオヤジがいないと話が成立しないってことは、主人公の頑張りが足りないってことですよね。ラッキーで話が進んでる。

編集部員・S木 もっと主人公がみっともなくなった方がいいし、あとは主人公にツッコむ奴がいないんだよね。周りがみんな優しい。

事務局長・篠原 だから主人公にとってすごく都合のいい話になってる。

編集部員・S宮 大阪まで走ったら女の子が許してくれるってアイデアをただ頭の中で形にしてみたという印象なんですよ。

事務局員・吉原 この作品って、たとえ女の子が許してくれなかったとしても、主人公がものすごく惨めな思いして走ってみたら自分の中では何か納得できるものがあった、とかそういうところまでたどり着いて欲しいと思うんですよ。これはもう作者に実際に走ってみてもらうべきですよ。そこで走らなくちゃわからない何かオリジナルなものがあったなら、それは漫画にできるし、何もなかったなら、そのアイデアは捨てなくちゃいけないと思う。

事務局長・篠原 課題は多いですね。次作に期待しましょう。今回は落選です。




[漫画]『太陽と戦慄』
灘優貴なだゆうき(東京都・22歳)

【ストーリー】夢と希望に溢れる若手看護師・高沢ハルカが赴任したのは、海に面した孤島の病院。そこに入院しているのは、天才ハッカーの老婆、元ヤクザの組長、国籍不明の国際指名手配犯など、一癖も二癖もある患者たちだった…!!

事務局員・平野 担当です。最後のMANGA OPENで卓球の漫画を描いて、二次選考まで残った作家さんの新作です。とりあえず冒頭のイメージを描いてもらって、そこから打ち合わせして作りました。

事務局長・篠原 とにかく話がわかりにくかったですよね。前回の卓球漫画、K林さんは評価してたと思いますけど、今回は?

編集部員・K林 今回のは全然だめだと思いました。卓球の作品はわかりやすいストーリーだったんですよ。でも今回のは何やってるのか全然わかんなかった。絵がスゴく上手い訳でもなくて、漫画としてもまだ読みづらい部分があるんだから、わかりづらい話をやらない方が良いと思う。

事務局長・篠原 毎回一生懸命描こうという気持ちは伝わってくるんですけど。

編集部員・T内 結構調べて描いてるというのも伝わってきますよね。br>
事務局員・寺山 この人、一切ベタを使わないというのは何かこだわりがあるの? br>
事務局員・平野 いや、時間がなくて…。

事務局長・篠原 描きこみも凄いもんね。まぁでもK林さんが言う通り、わかりやすい話を描いた方がいいですよ。今回の作品は相当みんな読むの大変だったと思います。熱量のある作家さんだと思いますので次回に期待して落選とします。


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