第34回MANGA OPEN、2次選考の議事録を公開します!

2013/07/18 00:00

MANGA OPEN] [新人賞

第34回MANGA OPENの応募総数は323本!  無差別級自由形、「なんでもアリ」がポリシーのMANGA OPENらしく、2次選考には、ドキュメンタリー漫画をはじめ、絵・ストーリーともに個性の強い作品26本が残りました。

選考では忌憚のない意見が飛び交い、13作品が最終選考に進出しました(関連ニュース)。

それでは、未来のモーニングを支える才能をめぐる議論、選考過程をほぼノーカットでお届けします。ご覧ください。


[漫画]『COLD PIZZA INC.』Hebmu11er(京都府・24歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】露出度高めの制服が評判のサンライズピザ。そこでウエイターをしているジュリアは、裏稼業として殺し屋を営んでいた。ある日、何度か仕事をしたことがあるマフィアのボス・ドミニクから、内通者の殺しを依頼される。だが、現場に赴いたジュリアに、予想外の出来事が降りかかり——。

事務局員・寺山
担当です。コミティアに出展していて、そこで描いていた同人誌が面白かったので声を掛けました。同人誌のキャラクターがとても魅力的だったので、それを活かす形で、改めて作品を描いてもらいました。少し話を聞いただけですが、好きなものに対する熱量がすごくある方で、例えば車とか銃とか、かなり詳しい印象を受けました。これだけ描きたいものを持っているのであれば、今後も良い作品を描いてくれるのでは、と思っています。
事務局長・三村
同人誌の時から、こんな躊躇なく人を殺すマンガだったの?
事務局員・寺山
そうですね。そういうシーンもありました。
編集部員・A山
躊躇なく人を殺す点については、私は疑問が残りました。いくらなんでも説明が不足し過ぎだと思います。ピザ屋のマークとか、ディティールに凝っている点はすごいと思うのですが、なぜ彼女がピザ屋兼殺し屋をしているのかなど、少しで良いので匂わせて欲しかったです。
モーニング編集長・島田
連載だったら、それが徐々に明かされていくって話になるんだろうな。まあ、でも第1話にしても、さすがに理由も躊躇もなく人を殺しているのはいかがなものかってのは、もっともだな。
事務局長・三村
私は、この作品を高く評価しています。躊躇なく、はその通りなのですが、バイクの後ろに生首を積んだシーンで、妙に楽しくなりましたね(笑)。これは面白いぞと。もっとなんか詰めてくれるんじゃないかと期待したほどです。キャラクターの描き分けが不十分で、誰が誰だかパッと見ただけで判別しづらいというのは大きな弱点ですが、キャラクター性や、ストーリー展開のクールさは抜群です。今回の応募作の中でも、将来性がかなり高い。プロに近い人だと思います。
事務局員・上甲
絵も魅力的だと思いますよ。描き分けはともかく、女の子が可愛い。絵の構成力もすごくある。話もしっかりしてるし、明確に自分の好きなものがある人だというのがはっきり伝わってきたのが好印象でした。読んでて楽しかったです。
事務局長・三村
それでは、高評価の人も多いので、この作品は最終選考に残したいと思います。


[漫画]『火と水の虚構神話(なんちゃら)』谷口千昂(岡山県・23歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】海藤立都也(かいどう たつや)は、無気力に暮らす31歳のフリーター。ある日、“水”の力を持つという小学5年生の女の子・雨遊(うゆう)が家に押し掛けてくる。彼女が言うには、海藤は世界を滅亡させる“火”の力を持っているらしい。世界が滅亡する7月26日に向けて、“水”と“火”の奇妙な共同生活が始まった。

事務局長・三村
関根が最高評価みたいだね。
事務局員・関根
この作者の方のプロフィールに「物理学科」と書かれてまして。で、非常に感動したんですけど。
事務局員・上甲
自分と同じ物理学科だったことに感動したの?
編集部員一同
爆笑
事務局員・関根
いや、そうではなくてですね(笑)。水と火の二元論みたいな話が非常によくできていて、ストーリーテラーとしての才能があるんじゃないかなと思います。物理学科だからなのか、話を厳密に作っていくというところが素晴らしいなと。ただ、将来性も含めての最高評価ということです。というのは、この話って最後もっと感動させる描写ができたはずなんです。火の男と水の女の子の間に愛情が生まれたって前提で話が進むんですけど、二人に愛情が生まれる過程がちゃんと描かれていなくて、盛り上げ方が足りないかなと思います。ただすごく才能があると思います。あと、もしかしたら原作者の可能性もあるのかなと思ったりもして。
事務局員・上甲
絵的には難があるってこと?
事務局員・関根
ここからどの程度変化するのかはわかりませんが、現状ではちょっと足りないかなと思います。
事務局長・三村
でもさ、この人は絵を描くのがものすごく好きだよね。トーンを使ってないし、すごい描き込み量だよ。
編集部員・S原
僕も関根さんと同じですごく感動しました。生きる希望を見出せない男のボーイミーツガールの話で、目の前に居る人の大事さに気付いて、とまあ、こういってしまったらよくある定型の話に聞こえちゃいますが、それをこのくらいのページ数でしっかり面白く描けちゃうのは新人賞で初めて見ました。僕は絵もうまいなと思います。あとはキャラクターに華が持たせられるようにできればいいかなと。いろいろ直接話せばすぐに変わってくるんではないかと思います。あと、とにかく読みやすかったんです。台詞がとにかくうまいから。
事務局員・劔持
ネーム量のわりに読みやすいんだよね。
編集部員・S原
文章がうまいんですよね。ゴチャゴチャしてる割にこれだけ読みやすいのはすごいなと思います。ボクは関根さんとは違って、最終的に感動しまくったんですけど。もっと感動させられるようにする必要はないかなって思います。個人的にはこのぐらいの感じでいいのかなと。
事務局員・関根
私は、最後にもう一回ひっくり返してほしかったです。女の子を撃つ振りをするんだけれども、商業誌に載せるんだったら、やっぱり撃って殺すまでをやらないといけないと思います。すぐに撃たれた振りでしたってバラしちゃうじゃないですか。あそこはもうちょっと演出してほしかったです。
事務局長・三村
それはたしかにそうかもね。あそこは極めてダサかったよね。
編集部員・S原
商業誌用の見せ方を研究してもらえば、変わりそうですけど。
事務局員・劔持
僕もこの話は面白かったです。なにより、1ページ目でなんとなく想定していたものと物語の展開がまったく違ったことがスゴイと思いましたね。スタート地点からの飛距離感が半端ないというか。
編集部員・K渕
1ページ目を見た時に、すっごくネームが多くてメチャクチャ読みづらそうだなーと思ったんだけど、全然そんなことなかったですね。「火の力」とか「水の力」とか観念的な話なのにすごく読みやすいんですよ。読ませる力はものすごくあるなと思います。で、絵もオレはけっこううまいと思うんですよ。クセはあるんですけど、誰それの真似という感じがしなくてオリジナリティがあるんで、そういう意味でも期待値は高いかなと。
編集部員・S原
観念的な話を消化する力がすごいと思います。頭がスゴくいい気がする。普通まとめきれなくなりますよ。
事務局員・劔持
いかにも漫画っぽい物語なのに、漫画から持ってきてない感じがしていいですよね。二人の心が通じる具体的な描写も、筒井康隆と村上春樹の引用し合うワンエピソードしかないんだけど、そこがすごく効果的。だから、僕はその後の展開も違和感なく読めました。
編集部員・S原
話の中で描かれていない部分が、すんなり想像できますよね。この人の描く世界観がしっかりしてる証拠だと思います。
事務局長・三村
評価が高い人が多いので、この作品は通過とします。


[漫画]『黄金の指揮者』車戸亮太(滋賀県・23歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】優れた楽器の手入れの才能はあるが、自分には指揮者としての才能は全くない。そう思っていた主人公が、ひょんなことからいきなり大指揮者の弟子に抜擢される。主人公は、指揮者の弟子として成長できるか!?

編集部員・M本
私が担当です。この方は2回ほどすでにうちの新人賞を獲ってらっしゃる方なのですが、前回のちば賞では落選してしまいました。ずっと描きたいと仰っていた音楽や歌をテーマにして描いた作品で、ネームの時の方が主人公に勢いがあって面白かった印象があったのですが、完成させる段階でネームを直したり、画力を上げたりして、なんとか完成度を上げようと頑張った作品だと思います。
事務局員・上甲
この方は構成力があるなぁ、と思って評価しました。1ページの前フリのシーンから、ラストまでうまく持っていったなーと思います。指揮者のキャラが、ありがちといえばありがちですが、それでも細部にわたって頑張って作っている感じがあって、ストーリーも、最初は報われない主人公がラストでは報われる、という構成がしっかりしていて、素直に良い話だなーと感動できました。
編集部員・S原
この方の以前の作品は、どうも最後まで読み通すのに難渋するというか、読みにくい感じがあったんです。それが今回ネーム力がグンと上がり、とても読みやすくなった。すごく上達したなという思いを抱きました。絵のレベルも上がっていて、そこを評価しました。
事務局長・三村
かなり推す意見が複数あるので、最終選考に残します。


[漫画]『ポンポコ侍』林良二(東京都・28歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】太平の世になったせいで、ある蔵に封印されることになった妖刀。一方、その太平の世を生み出した、歴史上とっても有名なある亡霊。二つが出逢う時、史上まれに見る剣戟(けんげき)が始まる——。

事務局員・上甲
僕が担当ですが、持ち込みで受けた方なので、今回の作品に関しては打ち合わせなどはしていません。経歴としては、他誌で読み切りが数本掲載されたことがあります。絵とカメラワークがうまいと思うのですが、ストーリーとキャラクターにはもっともっと奥行きがほしいと、この作品については思います。みなさんのご意見がお伺いできれば。
モーニング編集長・島田
絵はうまいけどホント内容がつまんないなぁと思っちゃった(笑)
事務局長・三村
僕も同じ意見で、作者が何を面白いと思って描いているのか、ということが伝わらない漫画だと思った。絵のうまさは際立っていると思うけど、実際もうデビューしているなら、もっと何か表現したいものが作品に込められてないとプロとしては厳しいのでは?
編集部員・T渕
でも、妖刀が美少女っていうのは萌え要素としてあるんじゃないの? 女の人を可愛く描けるのは一つの才能だと思うけど。
事務局員・関根
私は高い評価をつけているんですが、この人が雑誌で連載を取れなかった理由って何かあるんですか? ……連載できそうなのに。これだけ絵がうまい人なら、ぜひ個人的にお願いしたい企画があるんですが!
編集部一同
騒然
モーニング編集長・島田
それどんな企画なの?
事務局員・関根
いや、それはちょっとここでは言えないんで、アレなんですけども。
モーニング編集長・島田
編集長に言えないって、何だよそれ(笑)! 原作付きって、それはそれで難しいんだぞ。
事務局員・関根
いや、原作付きってことじゃないんです。それも詳しくは言えないんで、アレなんですけれども。
事務局長・三村
だから何だよ、それ! まあいいや、なんだか分かんないけど熱い意見があるので、この作品は通ります。


[漫画]『つねありくん』安芸山丈司(千葉県・30歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】つねありくんはふてぶてしい顔で世に問いかける。この世の不条理を、特に……自分のウザさを。

編集部員・K林
8年前に僕が担当してました。当時は今とぜんぜん作風が違っていて、ジャンルとしては青春ものを描いてました。今回久しぶりに原稿を見たんですが、上手くなってますね……。今回はギャグだから、ジャンルは違うけれども。
編集部員・T渕
実際には存在しないはずの人を、ここまで面白く描ける人はなかなかいないと思う。モデルありきで描くのは難しくないけど。
事務局員・関根
私も評価しています。ただ、一話目はすごく面白かったと思っていますが、二話目以降はあまり評価してないんです。というのも、二話目以降は人を小馬鹿にして、不愉快な感じが強いなと思ったんですよ。一話目はそうじゃなく、誰もつねありくんには求めてないのに、一人で勝手にそう思い込んでいる、独りよがりな感じがすごく面白いなと。そういうキャラクターで通した方が読者に不快感を与えなくていいと思いました。
事務局長・三村
いや、僕は逆に後ろの方が面白いと感じました。感じ悪いとか、不愉快な感じのつねありくんの方がいいと思ったな。
編集部員・S原
見た目も特に面白いわけじゃないですからね。中に秘めた攻撃性みたいなのがなかったら、ちょっとキャラクターとしては成立しづらいんじゃないかな。
事務局員・奥村
この一話目のネタってお笑いのネタで似たようなものがありますよね? 何だかすごい既視感があるんですけど。
事務局長・三村
そうなの? ただ、この作品ってもうこのキャラクターで成立しているから、あとはこのキャラクターが好きか嫌いか、という所で判断するべきと思う。ただ、やはりこの絵がすごくネックかなと思うんですよね。
編集部員・K林
ただ、絵はもっとうまいはずなんですよ。今までの作品を見ていると。今回はちょっとさぼったのかな、と。
事務局員・奥村
じゃあもう一回K林が担当する?
編集部員・K林
うーん、そうですね。なんだかんだいって僕はこの人の才能を結構買っているので、担当したいですね。
事務局長・三村
じゃあ、担当したい人もいるし複数の高い評価があるので、これは残ります。


[漫画]『ダチョウの王国2』青野寧々(愛媛県・18歳)

【ストーリー】投稿した漫画が落選し、「わたしなんかが頑張ったってどうせ……」「できる人にはできない人の気持ちは分からない」——と、天才じゃない自分にいじける主人公・まい。けれど、才能だけがすべてじゃないことに気づいて——。

編集部員・M本
担当のM本です。これはちば賞に応募した『ダチョウの王国』の続編です。
編集部一同
続きなんだ!(笑)
編集部員・M本
なんで続きなのかっていうと……ちば賞に応募した『ダチョウの王国』は、奨励賞を受賞したんですが、ちば先生の評価はそんなに高くなかったんです。ちば先生からは「お父さんのキャラクターやダチョウが突飛すぎて作品の世界に入りづらかった。次は、静かな現実的な世界を描いてみたらどうだろうか」という講評をいただきました。なので、今回はその講評を受けて描いた作品です。前の作品と比べて突飛なアイディアはないので人によって評価は違うと思いますが、僕は面白いと思ったし、こういう世界も描けるということは評価に値すると思うので、タイミングがあったMANGA OPENに出すことになりました。ただ、急いで仕上げたので絵に関しては、もうちょっと丁寧に描けたとは思います。あと問題なのは、主人公のキャラの顔がよくない、っていうのがあるんですけど…それは東村先生のところにアシスタントに入らせていただいて修業中です。
編集部員・K井
話はすごくおもしろかったし、お父さんのキャラもよかったと思います。だけど、高校生のお嬢さんが35歳くらいに見えるよね(笑)。壇蜜っぽいけど……ちょっと…ねぇ?(笑)
編集部員・S原
壇蜜に見えるんなら、逆にいいんじゃないですかね(笑)
編集部員・T渕
壇蜜は女子高生だったとき、きっとこんな感じだったんだよ(笑)
事務局長・三村
ところで、青野さんは今まで何回くらい賞を獲ったんですか?
編集部員・M本
えーと、3回かな。
モーニング編集長・島田
いまさら根本的なことなんだけど、この作品のタイトルってなんで『ダチョウの王国2』なの? 俺は新人賞に既存の話の2話目を応募するのはダメだと思う。
編集部員・M本
まぁ……そうなんですが……。
モーニング編集長・島田
仮に、この作品が大賞を獲ってモーニングに掲載されたとしたら、俺が読者だったら「わけわかんねーな」って思うよ。「いきなり『ダチョウの王国2』って言われても……」って。これはかなり致命的なことだと思う。「自分が描きたいから描きました。さぁ、どうぞ!」というのは、読者が不在になっちゃってるよね。担当がそういうところをちゃんと指摘しないと。
事務局員・柳川
でも、知らなくても一応はわかる作りにはなってると思いますけど……。
モーニング編集長・島田
たしかに、知らなくてもわかる話だとは思うけど、いきなりダチョウが出てきてさぁ。やっぱりわかんないよ。俺たち(読者)のこと馬鹿にしてるのかな、って思うよ。なによりもまず読者がいて、その人に読んでもらうために描くんだっていう大前提を忘れちゃダメ。作者は良くも悪くも“人”を見ないで淡々と描いている気がする。まだ若いんだから、今のうちにこういう大切なことは分かってもらわないとプロにはなれないよ。
事務局長・三村
僕も編集長と同じ意見です。すでに何度も新人賞の賞を受賞していて、それで今回もまた前に応募したものの続きを出してくるっていうのは、ちょっといただけない気がします。圧倒的に「すげぇ!!」っていう1話になっていれば別ですけど、これはそこまでは届いていないと思う。
モーニング編集長・島田
これ、別のタイトルにして、冒頭のページからダチョウを消せば別の話として成立するよ。でもそうじゃなくて「2」として応募してきたところに、「読者不在」な感じを受ける。これは今後、担当がしっかりサポートしてあげてください。
事務局長・三村
では、他にご意見ないようであれば今回はこの作品は2次審査で落選とすることにします。青野さんはすでに数回新人賞で賞を受賞されているので、今後は連載を目指すかたちで方向転換してもいいかもしれませんね。次の作品を頑張ってもらえればと思います。


[漫画]『小籠包』泉有松(東京都・?歳)

【ストーリー】かくれんぼをする男の子。高校に現れた恐怖の豚女。大き過ぎる女子高生。不可思議なパソコン。エナメル素材に身を包む女刑事……。主人公もシチュエーションも異なった、2~3ページで繰り出されるショートギャグ!

編集部員・M本
何というか……面白くなくはない、という感じだよね。
事務局員・寺山
そうですね。ネタ自体は短いページ数で良くまとまっていると思うんですけど……。
編集部員・O道
私は絵がつらかったなあ。ちょっと硬質すぎるというか……。ネタも、「こんなこと思い付いてすごいでしょ!」という著者の顔が浮かんでしまって、いまいち楽しめませんでした。
編集部員・S崎
少なくとも、一度見たらもういいかな、というネタだった。絵に関しても、これが仮に連載になって、単行本として世に出たとしても、買う人がどれだけいるのか、あまり良いイメージができないかな。
事務局長・三村
一発ネタ感が否めないかもしれませんね。ただ、発想自体は良いものを持っているとも思うので、次回のチャレンジに期待しましょう。


[漫画]『ブラザーゴースト』青峰翼(福島県・20歳)

【ストーリー】兄を亡くしたばかりの女子高生・夏美は、死んだ兄の幽霊が乗り移ると、何故かマッチョな体型になってしまう体質の持ち主だった。それにより、服が破けてしまうこともシバシバ……。一方、おっぱいハンターを名乗る男子生徒・秋元は、夏美のナイスバディに目をつけていた。こうして、兄と秋元のおっぱいを巡るバトルが始まった——!

事務局員・寺山
担当です。作者は、コミティアの出張編集部に持ち込みに来た方です。何本か完成原稿で持ってきた原稿は、正直に言うとあまりパッとしていませんでした。ただ、「ネームで持ってきたものもあるんですが」と見せられたのが、今回の応募作の原型でした。それが、妙にツボにはまってしまいまして……。面白いと思ったので、折角なら手直しして原稿にしてください、といって描いてもらいました。
事務局長・三村
何というか……景気の良いマンガでした(笑)。ひたすらおっぱいについてしか描いてない。でも「おっぱいを触りたい!」だけで40ページは長過ぎです。
編集部員・T渕
高度経済成長期には、こういう漫画も許される風潮があったんだろうなあ(笑)
事務局長・三村
テーマ設定としては、モーニング本誌とどう結びつけていいか、非常に難しいですね。ただ、この著者はとにかく若い。
事務局員・上甲
20歳でこれだけ絵が描けるのはすごいよね。ただ……やっぱり読んでて、とにかく気恥ずかしい(笑)。お兄ちゃんのキャラが、あまり魅力的じゃないのも残念かな。
編集部員・S崎
不慣れな感じが拭えないかと。まるっきりセンスない、ということはないんだから、まだまだたくさん描く時期なんじゃないかな。スピードを意識して、自分に厳しく締め切りを設けて、とにかく描きまくる。で、その中で一番良い作品を応募する。そうすれば、もっと伸びる余地はあると思います。
事務局長・三村
不思議な魅力のある方ですが、本作はまだ未熟な部分が幾つも見えるということで、次回に期待しつつ今回は落選ということにしたいと思います。


[漫画]『アイリウム』モトキ(東京都・30歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】夢は映画監督の主人公・峰雄。周りの友人は、安定した道に進み、彼女にも別れ話を告げられる。そんな中、同級生の結婚式を翌日に控え、行っても行かなくてもみんなに何を言われるかが気になり、現実逃避を願っていたところ、アイリウムという薬を手に入れた。一粒で一日分、日常生活を送りながら記憶だけ喪失でき、嫌なことをすべて過去のことにすることができる魔法の薬に峰雄は依存していく……。

事務局長・三村
この作品は推す人が多そうですが、いかがでしょう?
編集部員・T渕
面白かったんだけど、このテーマならもっと面白くなったんじゃないかなぁ。人間の半生をコンパクトに見せる演出って感動を生みやすいんだよね。「記憶を無くしてしまう薬」という飛び道具があるわけだから、映画監督みたいな読者が感情移入しにくい主人公にしないで、一般的な職業にするべきだったんじゃないかな。ネタはいいんだけど、評価は抑え気味にしたいな。
事務局長・三村
みんなが高評価だから、なかなか切り出しにくいんだけど、ぼくもこれはそれほど評価しませんでしたね。
編集部員・S木
すみません、その前にいいですか。この方ですが、プロフィールに受賞歴ありとありますが、実はぼくがこの前までいた少年誌で連載を持っていて、単行本も10巻近く出している方なんです。絵柄が全然違うので、はじめはわからなかったんですが、プロであるということを考慮して、選考する必要があると思うんです。
モーニング編集長・島田
けっこう売れてたの?
編集部員・S木
そうですね。連載がちょうど終わって、次回作のネームを描いている段階だったと思います。絵柄をまったく変えて、さらに新人賞に送ることができるなんて相当力のある方だと思います。
編集部員・K林
ぼくもT渕さんと同じく、主人公の設定については、これでよかったのかなぁ、と思いますが、少年誌出身ということだからなのか、とにかく主人公のキャラが立ってるなぁと思いました。それほど特徴のある顔をしていないのに、一人で動いて魅せることができるのは立派だと思うんです。
編集部員・K本
ぼくは、この薬の設定が破綻しそうなのに終わりまで破綻させずに読ませたというところを評価したいと思います。ただ、どこか年齢を感じるというか弾けてる感じがしないのが、映画監督という主人公の設定とあいまって、気になりました。
モーニング編集長・島田
そこが、大人の内省を感じさせるところでもあるんじゃないか?
事務局長・三村
ぼくはこの主人公の動機にまったく感情移入ができなかったんですよね。こんなことを思う人っているのかな?
事務局員・奥村
それは三村さんが今まで幸せに生きてきたからじゃないですか?
モーニング編集長・島田
下手なヤツが描いたら、たしかに三村の言うとおり感情移入できないと思うけど、最初のエピソードで1日だけ薬で記憶がとぶシーンがあるでしょ、これがあるから説得力が生まれてなるほどと思えるんだよ。
事務局長・三村
なるほど。
事務局員・劔持
これって要は「どこでもドア」ってことですよね。目的地があれば、そこに苦労なく行けてしまうという。
事務局長・三村
この薬で過去に行けるんだったらいいんだけどね。
事務局員・奥村
いや、この作品は、未来にしか行けないという設定にしたところがうまいと思うんですよ。辛いことから逃れたい時にその事件が起こる前に戻る、つまりタイムマシン的な物語はたくさんあるし、それをしてしまうと何でもありになってしまうけど、「記憶がないだけで年はきちんととる」というところに説得力があると思うんです。もうひとつ、先ほどのT渕さんのご意見に対してなんですが、ぼくは主人公を映画監督にしたというのは、作者の青年誌に投稿する際の誠実さの表れだと思うんです。この主人公は作者の自己投影だと思うのですが、それをまんま漫画家にしてしまうとさすがに読者がしらけてしまう。だから、同じような悩みを抱える映画監督を主人公にしたのではないでしょうか?
編集部員・T渕
映画監督の苦悩が頭で考えたっぽい気がして、さっきのS木の話を聞いてやっぱりと思ったんだけど、この人はデビューできたわけでしょ。そうすると、「デビューできない人っていうのはこんな感じなんだろうな」というある種の上から目線で、映画監督の苦悩を描いているような気がするんだよね。
事務局員・奥村
実際の所は作者にぜひ聞いてみたいところですが、ぼくは作者自身が漫画家としてデビューをしつつも、「これでいいんだろうか」という悩みを抱えているからこそ、この作品では、主人公の映画監督が記憶を飛ばした後に欲しかった映画の新人賞のトロフィーが埃をかぶっているのを見つけるというシーンを描けたんじゃないかと思うんです。単行本をいくら出そうが、「自分は描きたいものを描けているのか」、「もっとうまくなれるんだろうか」という、どんなベテランの作家さんでも抱えるであろう悩みをそこに込めているのではないでしょうか?
編集部員・M本
ただオチはありきたりじゃない?
モーニング編集長・島田
オチはなぁ。たしかにちょっとありきたりではあるね。
事務局員・奥村
それも、「夢オチだ」と自分で揶揄するところでセーフじゃないですか?


[漫画]『恐怖の大日本昔ばなし』和泉健児(北海道・32歳)

【ストーリー】むかしむかし、とある山奥に三人の兄弟が住んでいたそうな。そこへ、山神さまが現れて……。日本昔話に、下ネタをミックスさせたちょっぴりお下品なギャグ作品。

編集部員・S宮
どういうオチになるんだろうと読み進めた結果、小学生の考えたギャグみたいな感じで残念でした。それに、絵柄も雑に感じました。
事務局員・柳川
でも意外と、小学生が考えつきそうなギャグを大人が思いつくのは難しくないですか? 私は、「なんだこれ! (いい意味で)くだらない!」って、オチで思わず笑っちゃいました。絵柄は、確かにまだまだ改良の余地はありそうですが、味のある絵かな、とも思います。
モーニング編集長・島田
この手の話は、俺の子供時代からあったなあ。
事務局員・柳川
そうなんですか。確かに、絵柄も含め「これは新しい!」という感じはあまりなかったですね。ただ、子供が描くような「自由さ」はこの作者の魅力だとも思います。こういったのびのびとした発想で、誰も見たことがないような作品創りに今後もチャレンジしてほしいですね。また、全体を4ページや8ページくらいのもう少し短いページ数にすれば、より「テンポ」が良くなるんじゃないでしょうか。こういう話は、「間」など含め、「テンポ」がとても重要だと私個人は思います。


[漫画]『どるらんせ』なきぼくろ(大阪府・27歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】一風変わった“ガキ”たちが他愛ない遊びに興じるある日の午後。みっちゃんが拾ったのは、不思議な竹とんぼだった……。

編集部員・K藤
内容自体はよくわからなかったんですけど、絵がすごくいいです。憎たらしいんだけど、愛らしいキャラ造詣も好きですね。この方、PL学園の野球部という経歴も含めて興味があります。
事務局員・水野
PL学園の野球部って、非常に厳しいところとして有名ですよね。経歴を見る限り、甲子園で優勝したとかいう世代ではありません。いろいろ辛いこともあったんでしょうが、そんな経験を乗り越えて(笑)、こんな素敵な子供たちの話を描いたってところになんだか感動してしまいました。
モーニング編集長・島田
PL学園での暗黒時代?(笑)、読んでみたい。
事務局員・水野
私も話の内容はまったく分からなかったです。でも絵、そして人の動きがすごく良かった。確かこの人、私が以前書籍をつくっていた時にイラストレーターとして紹介されたんですよ。その時もいい人の顔を描くなあ、と感じた覚えがあります。
事務局長・三村
私も話の意味は分からなかったですけど、絵はすごい。特にキャラクターの見せ方が凝っているんですよね。足を突き出している絵とか、動きに躍動感がある。そこの部分に才能を感じます。
モーニング編集長・島田
なきぼくろ、泣かせるよね。
編集部員・T渕
描き手の身体能力とか運動神経が反映された、すごいいい見本だと思う。フィジカルが弱い作家さんって走っていても走ってるように見えなかったりしますからね。
編集部員・K淵
PLの野球部出身ってことでハードル下げよう! と思ったんだけど(笑)、話はさっぱりわからなかった。やっぱりこの人、漫画家というよりイラストレーターだと思う。イラストレーターとしてはすごいいい絵を描くんだろうけど、漫画の作品にはなっていないんじゃないか。
編集部員・T岡
この作品はどうかと思いますが、一本筋を通した作品を描けたら可能性はあるな、と思います。
編集部員・T渕
この作品も場面展開のやり方など教えれば、うまくつながって読めるようになるかもしれない。
モーニング編集長・島田
この作品は残したい。次回作で飛躍的に上手くなる可能性はあると思うよ。


[漫画]『金曜の夜、キノコに出会う』いもくま(東京都・27歳)

【ストーリー】金曜日の夜に飲み屋に行ったら、隣のカウンターの席にちょっと可愛い女の子が。しかし、彼女はとてつもない「キノコ好き」だった。

事務局長・三村
これは僕が、月刊モーニング・ツー×ITANの「即日新人賞」の選考会で読ませてもらった作品で、選考では途中で落ちてしまったんですが、キノコの強烈な話を描くのが印象的だったことから担当をやらせてもらっている人です。それからとても頑張った末の作品がこちらでして、皆さんのご意見・ご指導を賜りたくよろしくお願いします。
事務局員・寺山
とにかくキノコ愛がすごいと思いました。実際に出てくる食べ物がどれも美味しそうに描けていて、それってすごいなと思うし、話のネタも面白かった。ただ、キノコだけにこだわらなくても良いのかな? とは思いましたが。
事務局長・三村
この方は、「人よりもキノコの方が好き」「人には酷い目ばかり遭わされてきたけど、キノコはあんまり酷いことしないから素晴らしい」といったキノコに対する強い愛を持っています。キノコを採りにイタリアに行ったりもしてらっしゃいます。
事務局員・柳川
それくらいすごいのでしたら、もっとファンタジックなものを描いても良かったのでは?
事務局長・三村
それは、確かにスゴイものが出るとは思います。これまでは主人公とキノコしか登場しない、という作品が多かったので、今回はちょっと客観的な作品に挑戦して頂きました。
事務局員・奥村
楽しく読ませてもらったのですが、もう少し「物を好きになることの普遍性」みたいな方向に話が行かないかな? などと思いました。あっけなく終わった感があったので少し残念でした。
編集部員・K林
「即日新人賞」の時に、僕も読んだのを覚えているのですが、あのキノコに特化した異常な熱量、ということで言うと、少し大人しくなった感がありました。
モーニング編集長・島田
そうなると手加減なしのキノコの話が読みたいね。


[漫画]『痛くない!ポリープくん』文・上田門松 絵・餅月マリノ(山口県・28歳)

【ストーリー】揚げ物を食べるとすぐ胃がもたれてしまうポリープくんや、勘違いキャラ・ヘルニア三世など、病院を舞台に繰り広げられるゆるキャラギャグ。

事務局員・柳川
絵もなんかまぬけでいいんですが、とにかく出てくるキャラクターがいちいち面白かったです。個人的にはすごくツボでした。せっかくカラーなんだから、WEBで連載しても良さそうです。
編集部員・S宮
この作品が「好き嫌い」以前の問題として、そもそも、面白さが私には全然わからなかったですね。コマ組みの問題なのかもしれません。面白いところはもっと、どーんと大ゴマにするなどして見せてくれないと、気づかずスルーしてしまいます。
事務局長・三村
そう? 俺もこの作品は好きだったなあ。
編集部員・M本
僕も、かなり笑いました。「ヘルニア三世」とか、ネーミングセンスがいちいちおかしいですよね。
編集部員・T渕
うーん、1つ1つのお話のタイトルは絶妙だよね。そこには、笑ったんだけどなあ。
編集部員・S原
そうですよね。扉絵は面白いんだけど、漫画部分に、扉絵以上の面白さはなかったのが残念です。
事務局員・柳川
確かに、S宮さんが言うように、笑えるポイントはパッと見わかりづらいかもしれません。でも、「こういうヤツいるよな」っていう、微妙すぎてその面白さをうまく言葉にできないんだけど、確かに世の中に存在する面白い人を、作者はちゃんとキャラクターとして描けている。ヘルニア三世の追っかけの女性たちとか、私はすごく笑っちゃいました。今この作品内で描かれているキャラだけじゃなく、もっともっといろんなキャラが描ける人だと思います。コマ組みなど改善することで、笑いどころが読者に伝わりやすい工夫をしていくよう、担当について直していけたら、と思います。


[漫画]『人殺しの車』坂本翔悟(埼玉県・26歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】親友が運転する車でドライブの途中、人を轢き殺してしまった。その時から、悪夢のような逃避行が始まった。

編集部員・K林
一見するとかなり雰囲気先行の作品に見えるのですが、車だけという限定された舞台でずーっと話を展開させるのは大変なことで、よくこれだけのカメラアングルを試して、画面構成を変えつつドラマをやってくれたという所に感動して高評価をつけました。
モーニング編集長・島田
ただ最後がどうなったのか分からなかったんだけど、分かった? 結局、車の一人称視点の話だった、ということなのかな?
編集部員・T渕
その通りで、人を轢いたのはこの車で、だから主人公たちに非がある訳では別にない、ということだと思いました。
編集部員・K林
そうですよ! だから『人殺しの車』というタイトルなんだと思います。
編集部員・S原
ただ、やはりすごい分かりにくい話ではありました。一生懸命理解しようとして、やっと読めるという感じだったから。
モーニング編集長・島田
それじゃ、あの最後のバックミラーって何か意味あるのかな?
編集部員・T渕
自分もよく分からなかったけど、「HAL9000」みたいなもので、カメラをいっぱい持つ一つの人格、のようなものかと思いました。
事務局長・三村
でも確かに場所が変わらない舞台なのに最後まで読まされたのも事実で、よく描いたなと思いますね。さらに空気感を出すのがうまい。
編集部員・K林
そうです。そして会話劇もけっこう成立しているあたりとか素敵だと思いました。
事務局長・三村
なかなか推す意見が強いので、残しとします。


[漫画]『こんな雪マチ』青山ユキ(北海道・34歳)

【ストーリー】雪に閉ざされた田舎町に暮らす主人公。30代女性、彼氏ナシ。刺激のない日々に飽き飽きしながらも「つまらない町」から離れられずにいた。そんなある日、彼女は町の薬局で働き始めた平林峰子に出会う。自由奔放・明るく前向きな彼女に嫌悪感を抱いた主人公だったが……。

編集部員・S木
ジョジョっぽいですよね。
事務局員・劔持
前回のMANGA OPENで2次選考まで行った方です。
事務局員・寺山
本日欠席している担当のY原さんのコメントです。「居酒屋からのくだりがもう一歩で悔しい。担当なのでプラス1点にしましたが、気持ち的には3点くらいかも」ということでした。
事務局員・奥村
ひたすらネガティヴな話ですよね。
事務局長・三村
そう。ぶっ飛んでいるくらい暗いというならわかるんだけど、そうでもない。笑えばいいのか、悲しめばいいのか、嫌な気持ちになればいいのか。読み終えてもどこにも行きつけない。もやもやとしたものが残りました。
編集部員・T渕
この人の絵が怖い。作り笑いの顔になってますね。
編集部員・S木
なんでこんなにジョジョの絵を混ぜるんだろう。「ゴゴゴゴ」とか必ず擬音を入れるじゃないですか。そこだけでも変えたほうがいい。
事務局員・上甲
自分では意識しないでやっているのかな。
編集部員・S木
だとしたらまずいですよね。
事務局長・三村
身体の描き方とかうまいし、力のある人なんだなとは思います。ただ、自分も北海道出身なんですが、こんなつまらないところじゃないですよ(笑)。主人公がつまらない人間だからつまらなくなっているだけ。キャラクターに感情移入できないんですよね。
事務局員・上甲
田舎に暮らしている人のルサンチマンを描きたいのかもしれないけど、消化しきれていない感じがする。
事務局員・劔持
感情移入できなくても、そのキャラクターのイヤさ加減がぶっ飛んでいいれば良かったんですが、単にイヤな人ってだけで終わってしまいました。
事務局長・三村
ということで、2次選考で落選とします。


[漫画]『僕らは城に通う』沢田友吉(神奈川県・24歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】教室では音楽の流れていないヘッドフォンをつけ、みんなの声を聞こえないそぶりで過ごす青田。彼が自由を感じるのは、学校の塔の上。そこで一人少女漫画を読むのだ。しかしある日、塔の上には憧れの同級生、村崎さんがいた……。

編集部員・T原
個人的には一番オリジナリティを感じた作品です。まだ若いから話自体はどうってこともないんですけど、嫌いな学校を城に見立てた舞台設定がいい。また、絵にも工夫がある。すごく好感を持ちました。会って打ち合わせしたいなと思います。この人は伸びそうだなと感じます。
編集部員・T渕
描きながら絵がうまくなっていますね。後ろに行くほどどんどんうまくなっています。
編集部員・S原
見開きの絵、すごく良かったですよね。
編集部員・T渕
あと、「撤退しよう」というセリフがいい。「撤退」というネガティブな言葉をポジティブに使っているあたり、漫画のセンスを感じました。この人、もっとうまくなりますね。
事務局長・三村
私もこの人は知性とセンスがあるな、と感じました。
編集部員・K本
最初もっとつまらないかな、と思っていたら、違いました。会話がうまいんですよ。読まされてしまいましたね。舞台設定もありがちかなと思って、期待せずにいたら、だんだんとハマッてきたんです。すごく感心しました。僕も会ってみたいと思いますね。
事務局長・三村
確かにこの手の話って掃いて捨てるほどあって、ふつうつまらないんですよね。でも面白い。それがすごいと思います。
事務局員・高橋
途中説教くさい場面があって、むかついたんですけど、それ以外のファンタジックなところが好きですし、最後の「撤退しよう」というセリフがカッコ良かったです。
事務局長・三村
では、推す声が多いので最終選考に残しましょう。


[漫画]『ひらけっ!アンラッキー』江本茶可(北海道・22歳)

【ストーリー】まるっきり運に見放された人間がいた。そう、神にまで見放された超アンラッキー人間。しかし、彼はあきらめず自分の運命にあがき続ける!

編集部員・T盤
持ち込みを僕が受けて、ネームを何回か見たんですけど、もう賞の締め切りに間に合わないから原稿描いてって感じで応募してもらいました。なんとなくそういう流れになったのでネームを見ていたのですが、僕が担当というわけではないです。
編集部員・K井
僕はこの作者を高く評価しているんですけど、自分の運命に抗うっていうテーマがポジティブでいいなと思いました。ただ、ちょっと展開などが幼稚に感じる所はあるので、この作品自体を最終選考に残すという判断は難しいなと思うんですが、ぜひ担当になりたいと考えています。
編集部員・M本
僕も担当を希望していて、この作品の完成度自体はそんなに高くは感じなかったのですが、将来性を感じました。
編集部員・T盤
本人はすごいやる気のある人で、東京在住でアシスタント希望をしています。
事務局長・三村
強く最終に残したいという声がないので、この作品は落ちにします。ただ、担当希望が複数いるので、担当つきで次回頑張ってもらいましょう。


[漫画]『スイカ』大月魚目(東京都・21歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】男は、ある決意をして、その田舎町までやってきた。大切な人に会うために。手みやげにスイカまで買ったのに、決意が揺らぎ始めたそのとき、見知らぬ子供達に「スイカマン」だと勘違いされ囲まれてしまい……。

事務局員・柳川
まるで文学作品のような漫画だと思います。特に大きなことなんて何も起こらない話なのに、最後まで読ませる演出力が非常に高い。
モーニング編集長・島田
これ読んでたら、スイカ食べたくなったわ(笑)
事務局員・柳川
そうなんですよね。蝉の声だとか土のにおいだとか、その場にいないはずの読み手に、田舎の空気感を感じさせるのはたいした技術だと思います。じつはこの作者がこれより前に描いた作品を読んだことがあるんですが、そのときよりも遥かに絵も構成も上手くなってます。
事務局長・三村
ちょっとわからなかったんだけど、最後の女の子は誰なの?
事務局員・柳川
これは、スイカのおじさんの実の娘ですね。
事務局長・三村
そうなんだ。この女の子は一人暮らししてるのかな? お母さんが留守なだけなのかな? そのへんが、ちょっとわかりづらいといえば、わかりづらかったね。
編集部員・S宮
絵の線がまだ確立できていないですよね。雰囲気はいいですけど。コマごとにキャラの顔がちょっと変わっちゃってるように思います。
事務局員・柳川
この作者は、練習さえすれば、まだもっと上手くなると思いますよ。子供達の表情なんかもとてもいいですし。誰かの真似をしたような絵じゃなくて、ちゃんとオリジナリティのある絵で勝負しようとしているところも好感がもてます。次回作も是非見せてほしい。今後がとても楽しみな方です。


[漫画]『犬』ナガタ(東京都・33歳)

【ストーリー】勤め先の喫茶店のオーナーと恋愛関係にあった志津江。しかし、彼は店を去り、いまは息子が新たなオーナーをつとめている。いつの日か彼が戻ることを夢見て、いつまでも待ち続けている志津江だが……

編集部員・G藤
G藤の担当作です。前回のMANGA OPENで花魁の話を応募した方の新作です。前回が終わったあとすぐに、次回作を描きましょうということで打ち合わせを始めました。ただ、今回は応募することが目的の作品になってしまったかな…という反省点があります。
編集部員・T岡
この話、こわいですよね……。
編集部員・S原
ドロッとしてるよなぁ……。
編集部員・G藤
そう! 彼女が本当にやりたかったのはそこなんです。こわいっていうか、女の怨念みたいなものを描きたかった。これを読んでいやーな気持ちになってもらえたらな、と。
モーニング編集長・島田
なんでなんだよ(笑)。たしかに、読んでいやな気持ちになったんだけど!
編集部員・G藤
そういう意味では目的は果たしましたね(笑)
編集部一同
編集部員・G藤
でも、残念ながらエンタテインメントにはなりませんでした。その点については、いまふたりで反省をして次回作に取り組んでいるところです。
編集部員・K本
でも、前回も今回も「虐げられている女性」をテーマに描いてるよね。
編集部員・M本
そうそう。意外と一緒だ! って思った。
編集部員・G藤
そうなんですよね。だから、次はダメ女を描くのはやめようという話をしています。
事務局長・三村
まぁ、たしかに本当にみんなをいやーな気持ちにするっていう目的を達成できてるなと思いました(笑)。こわくはなかったけど、ただただ純粋にいやーな気持ちになったもん。どうしてこういう話を描くんだろう?って思ったけど、目的だって聞いて納得しました(笑)。ところで、何故みんなををいやーな気持ちにさせたかったの?
編集部員・G藤
うーん、はっきりは分からないけど、きっとそういう動機を抱えている人なんだと思う。でも、僕はそういう点も含めて作者は人間的に面白いなと思ってます。僕自身、こういう話を読むといやな気持ちにはなるけれど、ちゃんと緊張して生きなきゃな、みたいな気持ちにもなるんですよね。少なくとも、僕は読んで損しただけっていう気持ちにはならなかった。まぁ、でも漫画というエンタテインメントとしては、今回はうまくいかなかったと反省してます。
事務局長・三村
会話とかになんらかのウィットみたいなものが含まれていたりしたら、もうちょっと違ったかもしれませんね。僕は、これは単純にいやな人たちがいやなことを言ってるという風に捉えてしまった。前回の花魁の作品は好きだったんだけど、今回そんなに評価できない。あんまりこういうタイプの作品を続けていくのは、よくない気がします。
編集部員・G藤
実は、この作品はもともと30Pあったんです。でもこの題材にしては長すぎると思ったので、かなり短くしてもらいました。カットした部分に「遊び」のようなものは入ってたんですけどね……。って、言い訳ばかりですね。すみません。
事務局長・三村
では、次回作に期待するということで、今回はここで落選としたいと思います。次は、いやな気持にさせるだけではない、新機軸を期待します。


[漫画]『いち☆えふ!』竜田一人(神奈川県・48歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】東京電力福島第一原子力発電所・1F、通称「いちえふ」案内記。

事務局長・三村
これは部内選考で一番だった作品ですね。
編集部員・S原
僕が持ち込みを受けた作品です。作者の方は、実際に福島第一原発で働いたことのある方です。読んでみて、これはなにか形にしたい、と思いました。ただ、僕はこのまま売り物にするのではなく、もうちょっと手を加えたほうがいいのではないかと思っています。今回は、皆様のご意見をお伺いしたくこの賞に応募してもらいました。
編集部員・M本
絵がうまいよね。
編集部員・S原
漫画も同人とかやったことあるみたいです。
事務局長・三村
これを読んだとき、正直、ルポ漫画として上手なつくりだとは思えなかったんだよね。けっこう知ってることが多くて、びっくりするようなことがなかった。本当はきっともっとあると思うんだよね。仕事の楽しさとかも盛り込むべきだったと思うし。のちのちは、そういうこと意識したほうがいいと思うんだけど……でも、それでもこの作品には、実際に現地にいた者の強さっていうのが抜群にあって、それは高く評価すべきだと思いました。
編集部員・Y根
うーん……僕にはこの作品は、ただ高級な食材を生のまま出しました、という感じなんだよね。まったく目新しい情報がなかった。
編集部員・S原
でも、あんまり週刊誌とか読まない人たちからしたら、けっこう目新しい情報が多いと思いますよ。そうはいっても、もっと面白いと思わせる生っぽい話が読みたいな、とは思っているんですが。
モーニング編集長・島田
いや、これはこのままでいいんだよ。これが目新しい情報じゃないっていう人は、もともと文章(新聞や週刊誌)を読む人だから。そういうの読むのが面倒臭いって思う人が、これを読んでくれたらいいんじゃないかな。あと、これは確かに目新しさはなかったけど、臨場感はある。
編集部員・Y根
あー、それはそうか。
編集部員・T渕
僕も三村と一緒なんだけど、ルポ漫画としてはもっとやりようがあると思うし、もっと面白くできるはずだから、フィクション・ノンフィクション問わず、漫画としてはあんまり評価できないんだけど、コンテンツとしての価値はものすごくあると思う。
事務局員・水野
僕はこの作品はエッジが立ってないからこそ価値があると思う。この人は、見た・聞いた・歩いたことをそのまま漫画にしてる。でも、そこで足りないと思うのは「聞く」の部分。一緒に働いている人の話とかを盛り込めたら…もっとよくなるはず。
事務局長・三村
色々な意見が出ましたが、この作品には価値があるという意見が多いので最終選考に残したいと思います。


[漫画]『Belfioreー美しい花ー』木佐葵(千葉県・22歳)

【ストーリー】1920年代のイタリア。ローマからナポリに赴任した警察官のセレーノは、赴任前に街を散策中、堂々と万引きをする少年を捕まえる。ところが少年はセレーノが粗相をしたかのように微笑みかけ、万引きをされた店の主人は万引きされたことを感謝する。そう街中の人間全員がこの少年・ベルフィオーレを愛し、赦していたのだ。セレーノは少年に正義を教えようとするが……。

事務局員・奥村
この人はぼくが担当です。今年の冬に持ち込みにいらしたのですが、その時の原稿はあまり面白くなかったので、別のものにしたらという話をして、2つ目の作品がこちらです。この作者の強みとしては、主人公のキャラを立てることを意識している点と、画面構成はまだまだ力不足ですが、絵力があることとです。修正が早いのもいいですね。今後の課題としては、話のレパートリーが少ないところを強化したいと思っています。今回のお話のように、一見すると恵まれた環境にいる主人公の心の闇を描くということがテーマで、それ以外のものが出てこないので、そのあたりはもう少し広げたほうが良いのではないか、もうひとつはあまり特殊な主人公ではなく、共感されるようなキャラを作る点です。皆さんのご意見を伺えたらと思うのですが、いかがでしょう?
事務局長・三村
俺が共感できなかったのは、この主人公がまわりの人からすごいすごいと言われているけど、何がすごいのかなというのがさっぱりわからなかったところ。映画やテレビのように違う人間が出て演じるのではなく、漫画の場合は同じ作者が描くのだから、きれいな見た目という以上にキャラの言動が伴わないと美しさや魅力は伝わってこないわけで、それがこの主人公にはないでしょ。それだとやっぱりわからない。
編集部員・T村
この作者はなかなか難しいテーマに挑戦していると思うんです。ただ、絵柄もそうだけど、このテーマに挑戦する力量がまだないんじゃないかなと思ったりもしました。もちろんこれから努力していけばいいので、アドバイスとしては、こういうお話の場合、誰か一人は読者目線と同じく正気を保っているキャラクターを出さないとダメですね。みんなが熱に浮かれていたり、狂気に走ってしまっては読者がついてこれなくなってしまうので、その部分はきちんとアドバイスしてあげたほうがいいね。


[漫画]『悪春記』河部真道(愛媛県・22歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】殿様になってお姫様をもらうんだ! 荒くれ野伏の春千代は、国破れて放浪する姫と出会い、忘れていた子ども時代の夢を思い出す。たぶんきっとボーイミーツガールな時代マンガ!

編集部員・S原
一年前のMANGA OPENで森高夕次賞を受賞した『ライズ』を描いた阿部さんです。ネームをずっとやり取りしている段階で、突然上手くなった瞬間がありました。この人はすごく才能があると感じましたね。実はやり取りしていたネームは完成まで持っていくことはできなかったんですが、それと並行して進めていた漫画というのがこの作品です。1年前と比べると、明らかに絵が力強く、読みやすくなっています。たとえば、男性の顔なんて、絵になるコマがたくさんある。人を殺すシーンも迫力があります。現実ではありえないようなことを、絵で爽快に表現しているなあ、と思います。
編集部員・S宮
『ライズ』の時は絵が下手クソだったよなあ。
編集部員・S原
それに比べると格段の進歩だと思います。
編集部員・G藤
『ライズ』の時は、何が何だかよくわからないけれどすごいってみんな言っていたけど、今回は、話も分かりやすくなっているところが一番の進歩だと思います。リアルに漫画家になれる、あとワンコーナーっていうぐらいのとこ。
モーニング編集長・島田
この作品には、すごい「色気」を感じるんだよね。出てくる男の顔とかさ。もう今すぐデビューしてもいいよ。
編集部員・K林
僕もこの作品が一番好きでしたね。壮大な大河ドラマみたいなのを描いてほしい。ネタさえあれば一瞬でデビューできると思います。
編集部員・T岡
すごい絵が上手くなっているのに、『ライズ』の人だって分かるあたりにオリジナリティを感じます。泥臭さが漂ってくるのがすごくいい。
事務局長・三村
皆さん非常に評価が高いですね。通過としましょう。


[漫画]『うしぼとけ』森井じい子(東京都・30歳)

【ストーリー】妻とその家族が拝む謎の石像「うしぼとけ」。その石像にお参りをすると、災いから家族を守ってくれるという言い伝えがあるのだが……。

事務局員・寺山
この話は、妻の実家に帰省した夫の視点で、「うしぼとけ」という気味の悪い石像を信仰する妻とその家族を描いた作品です。
事務局員・高橋
ふとした違和感に気づいていく過程は、ホラーとしてよくできていると思いました。
モーニング編集長・島田
俺は怖かったけどな。
編集部員・S宮
主人公が「うしぼとけ」の夢を見るシーンは狂気を感じられてよかったとは思います。ただ、ありきたりと言っちゃありきたりなんですよね。
事務局長・三村
どうですか? 積極的に押すという人はいますか?
編集部一同
うーん……。
事務局長・三村
それでは、残念ながら落選ということで。


[漫画]『iceworld』tsk村(山口県・24歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】「これから僕はアイスになる」。宇宙人との接触でもちきりの世間から離れ、主人公はひとり部屋にこもり、アイスに仕掛けた小型カメラで食べられる瞬間を待ちわびる——。

事務局員・高橋
4作品ある中の『iceworld』の最終ページに惹かれました。ぜひ最終選考に残ってほしいと思っています。
編集部員・T渕
僕も評価が高いです。4つとも面白いというのはすごいな、と。
事務局員・上甲
新人賞で複数作品送られてくる場合、どれか一つだけが突出して面白い、というパターンがほとんどですよね。
編集部員・T渕
この人の作品は、伏線をそれっぽくチラつかせているのに、まったく回収ができていなかったりと、話としては穴だらけだと思うんです。ただ、これは面白いんじゃないかという雰囲気がある。とくに画面構成にセンスを感じました。たとえば、遠景の人物を描くにしても、普通の人だったら望遠レンズで寄ってしまうところを、あえて魚眼レンズで周りの風景を見せる。それによって人物が引き立つんですね。そうした画面構成のセンスは学習してもできないことだと思います。
編集部員・S宮
ただこういう人って四季賞(アフタヌーンの新人賞)だったらゴロゴロいそうな気もするよね。矢作さん、どうですか?
モーニング・ツー編集チーフ・矢作
この人は四季賞の中にあっても、オリジナリティがすごくあると思います。見たことがないようなアイディアをたくさん盛り込んでる。それと、妙な世界観ではあるんだけど、リアルをきちんと積み上げている。
事務局員・高橋
SFではあるんですが、日常との接点みたいなものがあるんですよね。
編集部員・T渕
そうそう。100%架空の世界が描けるんだけど、日常から地続きになった『少し不思議』なものを描いてみるとこの人の持ち味が出るんじゃないかなあ。
事務局長・三村
では、複数の人がこの作品を評価しているので、最終選考に残しましょう。


[原作]『メメント モリ』松上歳三(青森県・46歳)

【ストーリー】セスナ事故に偶然居合わせ、命がけで女の子を助けようとする男・ベン。その前に突然現れた黒いコートの男。彼は天使なのか死神か。そしてベンの運命は。人はどう生きるべきなのかを問う感動作。

事務局長・三村
この原作、設定自体はとりたててびっくりするものはないのですが、セリフ回しや、キャラクターの行動、ストーリー性には見るべきモノがあると思いました。原作に、何を求めるのか。私自身MANGA OPEN事務局長という立場ながら、毎回悩んでいる部分でもあります。モーニング編集部の姿勢や判断基準を考える上でも、この作品について、ご意見いただければと思います。
モーニング編集長・島田
うーん。確かによくできていると思う。でも、漫画家さんだってストーリーのプロで、キャラクター造りのプロ。そういう人たちに驚きやインスピレーションを与えられるかが、原作の評価の一番のポイントになると思う。新しさ、驚き、そういうものがないと、「漫画家さんが自分で別の企画考えた方がいいんじゃないか?」となってしまう。そのラインを、この作品は超えてない気がする。
事務局長・三村
確かに企画の斬新さという面では弱いかも知れないですね……。それは、確かにそうなんです。でも、ストーリー性やキャラクターの魅力などを買って、ぜひ自分が担当したい、という人はいないのかな。
編集部員・S山
私も編集長と概ね一緒の感想です。少し追加すると、ストーリー性はありますが、キャラクターの魅力については微妙な印象です。この企画で連載を考えたときに、多分「死神(天使?)と黒猫」が色々な人の死を看取るという話になる。そのモチーフ自体全く新しくないし、そのキャラクター自体にもあまり特徴がない。その時点で、企画が弱いとしかいいようがない。ちょっと厳しい言い方ですが……。
事務局長・三村
……わかりました。ではこの作品は落選とします。やはり、漫画家さんが驚くような発想や経験が原作には必要だということですね。


[原作]『本のアトリエ一冊屋 他3本』悠記無門(東京都・56歳)

【ストーリー】信州の小さな村でルリユール(工芸品としての製本)のアトリエを構えている懐広志。本場パリで一流と認められた彼のもとには、持ち主が大切にしていた本の修復依頼が引きも切らない。ある日、老紳士が夏目漱石の『坊ちゃん』を広志のところに持ってきた。聞けば、儲け主義に走っている息子に贈りたいとのこと。広志は二人の関係を汲み取り、本を仕立てていく。

事務局員・寺山
今回は原作が非常に多かったのですが、その中でこの人の原作と原案は状況が浮かびやすく、キャラクターもしっかりしているので漫画向きなのではないかと思い、推したいと思いました。ご意見いただければ幸いです。
事務局員・奥村
この人の原作って、この『本のアトリエ一冊屋』もそうだし、他の原案もそうなんだけど、ある職業についている人がその職能とともに、依頼人のお悩み解決っていうのがパターンだよね。どの作品もちょっとご都合主義すぎないかなぁ。着物のしみを落として、心のしみを落とすとか、そんなに世の中うまくいかねーよって思ってしまうんだよ。ある種の出オチというか、あぁこうやってちゃんちゃんってなるのねというのが、どうにもむず痒くなってきてしまうんだよね。
編集部員・Y田
やはり原作や原案に求めたいのは、意外性や目の付け所の面白さであって、いい話ってだけだとキビしい。もちろん専門性の高いものもあるんだろうけど、漫画家さんがワクワクして絵を描くって状況にはならないんじゃないかな。
編集部員・N中
さらにいえば、原作や原案には、漫画家さんの自由になる余地が欲しいというか、漫画家さんが個性を発揮するイメージを持てるものが欲しいかな。今後のMANGA OPENの原作や原案については、イメージする漫画家さんをプロフィールに書き加えてもらってということをしてもいいんじゃない? 今回も原作が多かったけど、映画やテレビのシナリオで落選したと思しきものや、いったいどんな人を読者として想定しているのかわからないものが多かったけど、そういった縛りがあれば、回避できるような気がしました。

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