第65回ちばてつや賞、2次選考の議事録をWeb公開!

2014/06/19 00:00

ちばてつや賞] [新人賞

ちばてつや賞一般部門の2次選考は部内選考会です。

モーニング編集部員全員で議論を行います。その場で、自分の気に入った作品を最も熱を込めて説明した編集部員が、その新人作家の担当編集となります。

参加者全員の投票で上位となった作品が、最終選考へと進みます。


『はなぢの思い』
透村(京都府・22歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 ボーイッシュな梓(あずさ)は、清楚な空(そら)の顔を見ると、いつも鼻血が噴出……。初恋の相手が、まさかの女子!? 否定しても吹き出る鼻血。意を決し、告白しようとするが……。

編集部員・A
私が担当です。この方が通う大学で様々な編集部が集う合同講評会があったのですが、その時に持ち込みを受けました。SFやファンタジーの世界を説明することに終始する原稿が多い中、この方だけは「人間を描くことにしか興味ありません!」と言い切っていて、それが作品にも反映されていて、とても好感を持ちました。
編集部員・B
キャラの表情がすごくよかったです。「人に興味がある」からこそ描ける独特な表情や、印象的なコマが多く、将来性を感じました。
編集部員・C
確かに絵はいいなと思ったんだけど、お話が若干弱かったかな。
編集部員・D
そうですね、印象的なセリフが少ないのは気になりました。読み味もよかったので、惜しいなと。ただ、充分評価されるレベルの作品だと思っています。ポジティブで明るいタイプの作品を作れる方って、実はそんなにいないと思うので、自分の長所をどんどん伸ばしていってほしいなと思いました。


『あなたがいないと浮いちゃうの。』
えのき萌絵(京都府・21歳)

【ストーリー】 いつも頭にぬいぐるみを乗せている女の子。それをうっかり外しちゃった男の子。でも、その女の子は、頭に重しがないと天高く浮いてしまう体だった! 外したぬいぐるみより重さがないと、降りてこられないのだが……。

編集部員・A
私が担当ですが、『はなぢの思い』の透村さんと同じ大学の合同講評会で持ち込みを受けました。
編集部員・E
思わず笑ってしまったので、もう設定勝ちだなと(笑)。
編集部員・F
確かにワンアイディアなんですが、そこが面白かったですね。ただ、女の子がかわいかったのは好印象なんですが、男の子があまりに普通でもったいないなと。
編集部員・G
とてもかわいらしくていい作品だけど、ちょっと少女漫画のエッセンスが強い気がしました。表現力やアイディアは充分なので、「モーニング」という雑誌を目指すならば、大人の読者に何が提示できるのかを、きちんと見つめ直す意識改革が必要かもなと思いました。


『星を食べる』
谷口千昴(岡山県・24歳)

【ストーリー】 全人類がデータ化された未来。食事をとる必要がなくなりヒマになった人間は、まるでご飯を食べるように、知識を食べる。そんな世界でのボーイミーツガール。

編集部員・H
僕が担当です。これまでも第34回MANGAOPENの『火と水の虚構神話(なんちゃら)』で奨励賞を受賞されたりしています。原稿に描き込みが多く、どうしても見辛いものになっていますが、独特で魅力的なセリフがたくさんあるなと。
編集部員・M
前作などで気になった独善的なところが減っていますし、着実に進歩していますよね。「人間が人間をデータ化する」という今回のお話ですが、こういうテイストで描ける人って実は稀有なんですよね。
編集部員・C
「知識を食べる」という設定に期待したんだけど、そこまで膨らまなかったかな。
編集部員・E
後半がすごいよかったです。正直、設定自体はよくわからなかったけど、バネで飛び上がるシーン等、胸にぐっとくるものがある。けどやっぱり、相変わらず画面が見辛いんですよね……。
編集部員・G
発想はユニークなんだけど、どこかキャラが定型の域を出ていないかなと。
編集部員・B
この方の作品のファンなんですが、特徴でもある「描き込み過ぎ」な原稿に、お腹いっぱい感を抱きました。1コマ1コマにこだわりがある、その姿勢自体はいいのですが、結果、読者のストレスになってしまっているのが、もったいなさすぎます。


『泣き女』
さねすえ(兵庫県・27歳)

【ストーリー】 確執のある兄弟の父が死んだ。その葬儀に現れた、“葬式で泣くことを生業とする”泣き女。父が彼女を呼んだ真意とは——。静謐な筆致で描かれる、家族の喪失と再生の物語。

編集部員・D
ストーリー自体はベーシックですが、読み終えた後に僕は親にメールしました(笑)。非常にストレートで飾り気ないのが逆に魅力的な作品だなと思いました。ただ、この先どういう方向性に作者は進むべきかとか展望は見えなかったのですが……。
編集部員・C
僕も意外と泣けました。ただ、絵に魅力を感じなかったんですよね。
編集部員・K
僕は読んでいてとても感情移入ができました。コマ割りが分かり辛いなとは思ったのですが、トーン使ったのは初めてということで、まだまだ技術的には伸びしろがあるんじゃないでしょうか。構図の切り取り方とか、独特の着眼点があって好印象でした。
編集部員・G
伸びしろがある人だとは思うけど、この作品だけでは評価はし辛いかな。絵にもう少し「活力」がほしいところです。


『36歳の女子高生』
みかわ絵子(兵庫県・26歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 36歳のOL・香織は週一度、県外まで出かけて女子高生のフリをする。奇行と知りつつやめられないのは、10年越しの彼に逃げられたから。香織の“思春期”は、今真っ盛り!

事務局長・河本
ストーリー自体は好みが分かれるだろうなと思いつつ読んでいたのですが、勢いもあり、ラストの主人公が泣くシーンも印象的でした。
編集部員・O
キャラクターの表情がいきいきしていて、読後感も爽やかですよね。
編集部員・L
発想力がいいなって思いました。「26歳の女子高生」なら割に思いつきそうだけど「36歳」という結構振り切った設定を思いつけるのは素直にすごいなと。だからこそ、これだけ面白い設定を考えたのならば、もっと充実した展開にもできただろうなと。そこがもったいなかった。
モーニング編集長・島田
そうなんだよな。ラストの「36歳だと発覚してふられて終わり」という展開は、あまりに投げやりじゃないかな。物語を考えることを放棄してしまったのかなと思ってしまった。
編集部員・M
いや、だからこそカタルシスがあって俺はよかったです。
編集部員・G
画力は申し分ないレベルですよね。表情がとてもいい。発想も本当に面白い。36歳という女性の情念みたいなものもよく描けているし、今後、この才能をベースにして、もっと幅広い話が作れそうですよね。可能性をすごく感じました。


『Let’s SuRFin’!!!』
高田佐穂子(千葉県・30歳)

【ストーリー】 海のそばに住む一家。包容力あふれるお父さんも、優しく綺麗なお母さんも、生真面目なお兄ちゃんも、元気いっぱいな弟も、サーフィンをしながら海と共に暮らしている。ある晩海で溺れたという男が、その一家のもとを訪れ……!?

編集部員・J
この作品だけでは評価は難しいけれど、原稿からは「絵を描くことが好き!」という情熱が伝わってきました。それを買ったのと、ちゃんとコマを割った作品を見てみたいと思ったので、担当を希望します。
編集部員・A
絵の雰囲気はよいけど、キャラクターの人間味みたいなものが希薄だったかな。物語も、メリハリをもっと意識した方がいいのではないでしょうか。
編集部員・D
原稿の余白部分にも丁寧なイラストを描いていて、ある意味で印象的でした。ただ、それが結果的にごちゃごちゃして、読み辛さにつながってしまったのはもったいないなと。
編集部員・B
キャラクターはかわいらしくて、印象的でした。ただ、線が細いので、背景と人物が同化してしまっている。絵を見てどんな状況なのか把握するのに時間が掛かってしまい、ちょっと負担に感じました。


『覚』
寺田亜太郎(千葉県・23歳)

【ストーリー】 ある朝起きたら、記憶が全て無くなっていた。神経外科医の同居人のおかげで、なんとか日々の生活を取り戻すが、自分の記憶喪失について違和感をぬぐうことができない。この記憶喪失は一時的な病か、それとも誰かに仕組まれたものなのか——!?

編集部員・D
担当者が都合により欠席のため、代わりにお伝えしますが、この方とはコミティアで知り合ったそうです。画力はまだまだだけれども、基礎力はあるので伸びしろはあると強く感じているそうです。
編集部員・U
今回の応募作の中で一番続きが読みたい作品でした。
編集部員・C
確かに力はあるけど、セリフがスムーズに読めなかったかな。
編集部員・M
「記憶を喰われる」主人公には感情移入できないけど、「記憶を喰う」友人のネームや表情から、彼には感情移入ができました。すごく評価してます。ラストは、記憶を喰われることを主人公は簡単に許すんだなと思いつつ、その友人のキャラが魅力的で、不思議と納得してしまったんだよね。
モーニング編集長・島田
この人に才能は感じるけど、点は辛くつけてしまった。その理由は明確で、重いテーマに挑戦していた割に、きれいなまとめにしてしまったからなんだよな。セリフ運びとかキャラの雰囲気はすごくよかった。こういう「生」と「死」とか、どんどん深いテーマに挑戦していって欲しい。けど新人作家が手に余るテーマに取り組んだときに、深いところまで話を掘り下げていった結果「溺れ死ぬ」という表現がぴったりなくらいに、まとめきるのは難しい主題なはずなんだよ。けど、この人は、突くべきポイントを避けて、とてもきれいに話をまとめてしまっている。「記憶を喰われてしまう」ということは、すごく恐ろしいはずなんだけど、そこを描いていない。そして、主人公は「記憶を喰われること」を簡単に許してしまっている。それでは説得力がないんだよ。着眼点も、取り上げているテーマも、とても面白いはずなのに、すごくもったいないんだよな。


『海風にのせて』
里桃子(埼玉県・21歳)

【ストーリー】 図書委員の杉野は、蔵書点検のため土曜日の早朝、学校に行くことになるがその途中、海岸で一人の女性と印象的な出会いをする。彼女のことが忘れられない杉野。ところがある日の放課後、彼女が目の前に。彼女は渚子という作家で、杉野の高校の卒業生だったのだ。

事務局長・河本
この方とはコミティアで知り合いました。雰囲気のある絵を描く方だなと思ったのですが、原稿の仕上がりが全体的に白かったり、物語を作るという点が今後の課題かなと。
編集部員・V
図書館のある町の雰囲気とか独特でした。今後は、この方にしか描けないものを、どんどん探して、その才能をのばしていくといいのではないでしょうか。
編集部員・C
う~ん、ただ、どうしても「雰囲気漫画」から抜け出せてないイメージっていうのが正直なところかな。
編集部員・B
感情やセリフ運びなど、ある意味でサラッと描いているのですが、それが「淡白」という印象になってしまっている感じでした。
編集部員・J
爽やかな雰囲気は好印象だったのですが、ちょっとドラマとして幼かったかな。


『曙』
ジン・ソクミン(京都都・26歳)

【ストーリー】 熊のママに育てられた人間のユウは、兄弟のコムとウン(ともに熊)と共に、山の中でのどかに暮らしていた。そこに、熊の毛皮目当ての人間たちが現れて……。

編集部員・B
キャラ化した動物の表情がすごくいきいきしているし、何よりまったく予想のできない話の展開に、すごく才能を感じました。編集が提案できる域を超えているというか……。
編集部員・H
そうなんですよね。この作品では、動物がしゃべるというファンタジックな設定がちょっと子供っぽいと感じましたが、もし今後、人間ドラマに絞って描いたら、度肝抜かれる作品ができるんじゃないかなと感じました。
モーニング編集長・島田
う~ん、ただ、そもそも人間と熊が普通に話してるのを何の説明もなく描いてしまうのは、どうなのかな。
編集部員・G
絵の迫力や扱うテーマはよかったけど、肝心の話が真に迫ってこなかったんだよなあ。
編集部員・I
「動物を迫害する人間」という描き方が、画一的で、あまり深みを感じませんでした。絵に勢いがある分、逆に話の浅さが目立ってしまった気がします。


『ニチヨウビ』
仲川はる(北海道・35歳)

【ストーリー】 大学に入学して上京してきた奈々。慌ただしい新一年生の一週間が終わり、ようやく訪れた日曜日。初めて自分の時間がもてて、東京での新生活をゆっくり満喫するつもりだったが……。

モーニング・ツー編集チーフ・矢作
この方は介護士をやっているのですが、過去何度かその経験をもとにした作品で新人賞に応募しています。ですが、今回はそういうジャンルではないものを描いてみようよと提案し、何気ない日常を舞台にした話にチャレンジしてもらいました。
編集部員・J
このお話って、10年前が舞台でも成立するんですよね。けど「今」しか描けない若者の考えを描いてほしかった。上京してひとり暮らしの淋しさって、普遍性があるけど、あまりに当たり前のことで、作者独特のセリフとか視点がないと、いい話で終わってしまうんですよね。
事務局長・河本
話の雰囲気は好きだけど、やっぱり「今の女の子」を描いてない気がする。新人賞だからフレッシュさや元気さ、新しさみたいな要素がほしかったかな。
モーニング編集長・島田
ありふれた話を描いて成立させるのって、難しいんだよな。
編集部員・K
ちなみに主人公はどこ出身の設定なんですか?
モーニング・ツー編集チーフ・矢作
広島ですね。
編集部員・K
こういう話って、そういう設定にも意味を持たせると話が膨らむきっかけになると思うんですが、ほとんど重要視していないんですよね。その作りの甘さが気になりました。


『少年ファイター』
コタツ(東京都・28歳)

【ストーリー】 幼いころから格闘技に夢中だった主人公の大也。中学卒業後、憧れの格闘家になったのだが、心にずっと引っかかっていることがあって……。

編集部員・D
この方は、格闘技が好きなので、今後もどんどんそういう話にチャレンジしていきたいとのことです。
編集部員・J
頑張って戦う主人公はすばらしいのだけれども、前回の作品の方が、「戦う」というテーマに対して、色んなメッセージが込められている気がしました。
事務局長・河本
作画の線はきれいなんですけど迫力に欠けるかな。
編集部員・L
そうだね、格闘技漫画の割に、アクションシーンがパワー不足かな。
編集部員・K
ダイナミックな画面やスリリングなやり取り、そこに主人公たちの感情が乗ってくるから格闘技って面白いはずなんだけど、「格闘技漫画」と言うには、その点等まだまだ課題は残っているのでは。
編集部員・M
う~ん、「格闘技」じゃなくて「格闘家」が好き、そんな印象を受けるね。


『黒鶴座アンダァサァカス』
岡真理亜(神奈川県・28歳)

【ストーリー】 地下のショーパブ・黒鶴座でウェイトレスとして働く地味な女子・佐渡紫恩は、一座の花形ストリッパー・小百足美奈架が逃げたため、ステージに上げられることになる。そこで彼女の秘められた才能が開花して……!?

編集部員・N
持ち込みを受けて担当になりました。今、アシスタントにも入りはじめているので、絵も向上していくのではと思っています。
編集部員・O
いびつな感じの独特な雰囲気のある絵ですよね。原稿の緻密さから、絵を描くことへの情熱がとても伝わってきました。
編集部員・K
絵もうまいし話も面白かったけど、いわゆる「普通の人」が一人もいないんですよね。そうなると、感情移入できるキャラクターがいなくて、一歩引いた目線で話を捉えてしまいました。確かに描き込みは丁寧だけど、残念ながら何を描いているかわからないコマや構図がいくつかあって、もったいないですよね。
編集部員・B
このタイプの絵は好き嫌いが分かれそうです。
編集部員・M
独特な世界観のように見えて、オリジナリティはそこまで強烈ではないんだよね。特徴的なようで、そうではない浅さを感じてしまったかも。


『この顔で地方公務員ですが何か。』
河野恒樹(和歌山県・28歳)

【ストーリー】 斎藤一(28)は東大卒、超イケメンの地方公務員。有能だが超毒舌で、上司の顔色ばかりうかがう同僚を心底見下しているため孤立している。だがとある案件に本気で取り組むことにした斎藤に周囲の目も変わり始め……!?

編集部員・N
この方は、元々少年漫画を描いていたんですが、今回青年誌に……ということで、僕が担当しています。
編集部員・C
編集長、高評価ですね。
モーニング編集長・島田
この人は真剣にエンターテインメント作ろうとしている気がした。ワンアイディアは思いつくけど、それをしつこいくらいまで「面白さ」にこだわって話作りしようとする人が結構少ない中、それにチャレンジしているよ。一つのテーマでどうやって人を楽しませるかという意識を感じられた。それに、キャラクターの思考の経過に嘘がないし、無理なども感じなかった。確かにつたない部分はあるけれど、リアリティがある。それがよかった。
編集部員・P
いやあ、たださ……タイトル読んで確かにすごく期待したんですよ。けど、3ページくらい読んでがっかりしてしまったんだよね。
編集部員・C
キャラが途中でぶれちゃってるのか、突っ込みどころ満載というか……。
モーニング編集長・島田
いや、それはさ、一生懸命考えたから、ぶれちゃってるんだよ。すごく考え込んでしまうと、そうなるものなんだって。新人作家に限らず、自分の手に負えないものにチャレンジすることが大事なんじゃないかな。
編集部員・M
いや、けど、主人公があまりに幼い気がしました。地方公務員のリアリティはあまり感じられなかったですよ。
編集部員・H
タイトルに「この顔で」ってあるけど、どういう顔を指しているのか分からなかった。「かっこいい顔」にも見えないし、設定がいまいち分からず、混乱しました。
編集部員・P
もし「かっこいい顔」っていう意味だったら、タイトルに対して画力がちょっと追いついていないのかもしれないね。


『グリーングリーン』
天野史朗(埼玉県・31歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 潔癖症の男子高校生・黒田は、クラスメイトの女子・中村が女の子とキスしようとしているところに遭遇する。これまで接点のない二人だったが、塾が同じということから話すようになり……。

編集部員・N
作品として、ややまとまりがなかったけど、すごく面白かった。この独特の空気感が好きです。初めて漫画を描いたんだなと思うところがありましたが、とにかく読ませる力があると感じました。
編集部員・C
応募作の中で一番面白かったです。1~3ページのつかみのすごさに脱帽しました。人にどう読まれるかっていうのを意識してますよね。ここまでパワフルに描き切っている才能……もう文句なしです。
モーニング編集長・島田
この人は天才だな。久々に見た天才。
編集部員・M
漫画としては未完成で、「個性」をはみ出して、自由すぎる傾向があるけれど、カンのいい人だと思うので、あっという間に上手になりそう。人間の掘り下げ方と顔の作り方が、もうオリジナリティがありますね。単純じゃない難しい表情を描けている。描けるっていうことは、もちろん観察力と想像力があるからで、その地力は本当にすごい。


『マンドレイク』
草加菜緒(神奈川県・29歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 巨大な胎児のような"植物"マンドレイクを「生産」する工場で働きはじめた主人公。薬の原料となるマンドレイクに心を寄せた彼は、ある決断をする。生命と可能性を巡るドラマ。

編集部員・Q
第32回のMANGAOPENで『贄の夜』という作品で、東村アキコ賞を受賞した方です。物語として「マンドレイク」が一体どういう存在なのかというのを描ききれなかった反省点はあります。
編集部員・R
僕はこの作品に最高点を付けたんですが、いくつもいい点がありました。ネームを読まなくてもだいたい何をやっているか分かるコマ割りのうまさ、整理されていてストレスなく読めるセリフ運び、雑誌に掲載されたときに目が留まりそうな絵がいくつも入っている、特にこの3点がすばらしかった。一つ欠点を挙げるとすれば、画力かな。けど、具体的な課題点がわかっているので、どんどんうまくなるんじゃないでしょうか。
編集部員・F
絵は前回に比べたら一生懸命描いている印象でしたが、物語の密度に対してページ数が多かった気がします。おそらく、大ゴマが不必要に多用されていたのかなと。
編集部員・E
意味が分かり辛い箇所はありました。幻想ものの中でもオリジナリティがあって、読んでいて飽きませんでした。
編集部員・A
今回の応募作の中で、世界観・キャラ・展開・間の取り方が、ずば抜けて秀逸でした。


『リケジョ』
石川秀幸(東京都・38歳)

【ストーリー】 理科子は、海洋博物館で学芸員に就いている「リケジョ」。今日も、真夏の海辺で漂着したマッコウクジラの死体を解剖していた。そこへ颯爽と現れた、イケメン公務員(市役所環境課勤務)にトキめく理科子。想いを成就させるべく「リケジョ的奮闘」が始まった!!

編集部員・F
持ち込みを受けて、僕が担当になりました。
編集部員・S
圧倒的に支持しています。内容に驚きがあって面白かったし、理系としてのリアリティもあった。物語の定型を崩せる方だと思いますし、こういう企画にどんどんチャレンジしてほしいです。ただ、絵の技術がまだまだかなと。
モーニング・ツー編集チーフ・矢作
話に隙がなくてよかった。けど確かに、絵の魅力が弱いかな。
編集部員・J
面白かったです。キャラのへりくつがかわいらしい(笑)。自分が文系だから、理系ネタに弱いのかもしれませんが、作画で女の子をよりかわいく描けるのであれば連載してほしいくらいです。
モーニング編集長・島田
まあ、企画は割としっかりしてるけどね。この作品に限らず、担当がいるのであれば、起承転結がしっかりしていて企画性もあるような、連載を想定した第1話のような応募作を意識してほしい。
編集部員・B
そういう意味では、「理系女子」と企画自体はしっかりしていますが、ネックになるのはキャラ造形や画面作りかなと。体はメリハリついてるんですが、肝心の顔に、魅力不足を感じました。


『門』
成瀬貴也(東京都・26歳)

【ストーリー】 マルコは、日々増えていく魔物の幻覚に悩まされていた。度々、道を諭しに来る人面鳥の跡を追う旅の途中、魔女のミロールと出会い、魔法で幻覚を消そうとする。だが、幻覚の魔物達が実物となって現れてしまい……。

編集部員・A
私が担当です。第62回のちば賞で『ソニヤ』という作品で佳作を受賞しました。細かい設定等本人に確認しないといけない部分が多々ありますが、前作よりも、かなり絵を頑張って描いてきたので、その点は評価したいなと。
編集部員・F
前作から通して、描きたいものがしっかりあるというのはいいですよね。
編集部員・J
以前と比べると原稿の描き込みがしっかりしていますね。この人じゃないと描けないものがあるという点は好印象でした。ただ、ストーリーがスッと頭に入ってこなくて、もったいないなかったです。
編集部員・E
そうなんですよね。変な鳥とか、イメージ図など目を楽しませてくれる才能は感じるのですが、いかんせん話がまったく分からなくて。
編集部員・B
独創的な世界観を紡いでいける方だと思うので、ぜひ「客観的に自分の作品を見てみること」を、今後、意識していってほしいですね。


『アモロサメンテ』
ノザキ(千葉県・27歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 リコーダー職人見習いの大野のもとに、著名な若手奏者・篠田可南子からリコーダー制作の依頼が来た。「演奏が楽しめなくなってしまった」という彼女の願いを叶えるべく、手を尽くす大野。だが、彼には秘密があった——。

編集部員・F
僕が担当です。第63回ちば賞で『画家が死んだ』という作品で入選を受賞しました。
編集部員・B
「リコーダーにまつわる漫画」とすぐ説明できる企画性はいいなと思いました。ただ、なぜリコーダー奏者の彼女は、見習い職人の彼を指名したのか等、疑問が残る説明不足感は気になりました。
編集部員・K
僕は話もすごくよかったし、面白くて完成度高かったと思いました。ただ、あえて指摘すると、いまいちこの二人の挫折具合が共感しにくかった。そこがもっと入りやすかったら、感情的にももっとひき込まれたと思う。ともすると、表情が平坦な印象だから、パンチは弱いかなと。けど画面処理とかすごくうまいよ。
編集部員・H
リコーダー奏者とリコーダー職人の設定も面白かったですし、「リコーダーを木から作る」という知識も初めて知って、新しさを感じました。
編集部員・Q
特別なアイディアとか入っている訳じゃないけど、全作品の中で一番地に足がついている印象でした。
モーニング編集長・島田
前作に比べたらちゃんとした作りになっているよね。


『仁科さん。』
京(京都都・19歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 同級生が作った「仁科さん」のヌードコラージュ写真を見たことで、辻マサトの頭の中は話したこともない彼女(の裸)でいっぱい。ひょんなことから仁科さんをモデルに絵を描くことになった辻は、欲望のあまり彼女の服が透けて見えるようになってしまう。

編集部員・D
僕が担当です。読んでいて、純粋にエロさを感じたのと、伸びしろがある方だなと思い、賞に出すことを勧めました。
編集部員・S
女の子のキャラが、めちゃくちゃ個性的で魅力がありました。
編集部員・C
キャラの動きがよかった。あと、原稿から感じるパワーと、独特な変態性(笑)に、ちゃんと絵を描けるようになったら、将来性あるなって思いました。
編集部員・G
僕も支持しているんですが、惜しかったのは、女の子を透視できてしまう主人公の彼は、追い詰められて面白いリアクションするけど、それに対する仁科さんというキャラクターのリアクションは薄くて、心理戦にあまりなってないところですね。恋愛の中の心理戦を正面から描いてやるっていう意気込みを感じたし、変態性も含めてよかったからこそ、もっとキャッチボールになっていたら、気持ちよかったと思う。
編集部員・M
主人公が“仁科さんの前で描いているときはムラムラしない”ってあって、その制御力という設定が入ることによって、一気に僕の中の評価が上がりました(笑)。
編集部員・B
今時、珍しいくらいストレートに「青い春!」を描いていて、明るい気持ちになりますよね(笑)。画力は確かにまだまだなんですが、時々ドキッとする表情を描いているので、すごく伸びしろあると思いました。


『少年と正常都市』
矢滉(北海道・23歳)

【ストーリー】 主人公の少年・ニコラは、草木のように天に向かって増殖を続ける「塔の街」で暮らしている。加速する塔の成長を止めるため、塔の「出口」を探しに旅立ったニコラは、思いもかけない塔の秘密と直面するのだが――。期待の新鋭が描くSFファンタジーアドベンチャー!

編集部員・T
私が担当です。この方は第64回のちば賞で『雨雫の歌』で1次を通過されています。
編集部員・O
話の筋はわからなかったんですが、この方の頭の中に壮大なイメージが広がっている可能性を感じ、もしかしたら、とてつもない設定などを考えつく方なのではと思いました。
編集部員・N
確かに何が起きているのかは、じっくり読まないとわからないんですが、雰囲気がよくて最後まで一気に読まされました。ただ、もう少し一般的な読者に歩み寄ってくれないかなと思ったんですが……。
編集部員・C
力はあるけど前作と同じ点が課題なのかな。
事務局長・河本
才能はあるんだけど、どこかで読んだことのあるようなエピソードもあって……。この方は、ファンタジーとかではなく、一度地に足着いた現実の中の話にチャレンジしてみたら面白そうだなと思いました。


『学校金融アサヒ』
中村あいさつ(京都都・23歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 ほのぼのスクールライフに借金返済を求める怒声が響き渡る。声の主はアサヒ。この高校の生徒だ。学校金融アサヒ、本日も開店いたします!

編集部員・O
持ち込みを受けて僕が担当になりました。
編集部員・E
タイトルもキャッチーで内容もよかったですし、作品全体に流れる空気感やキャラの掛け合いも面白かったです。キャラクターにオリジナリティがあって、素直に続きが読みたいと思いました。
編集部員・M
雑誌に掲載されていたら次週が楽しみだなって思わせるような作品でした。毎週読みたくなるような気がします。1話目でキャラも確立しているし、話が進むにつれキャラの幅も広くなっている。それと、「人に金を貸すってことはどういうことか」ということを、きちんと掘り下げようとしていて、その姿勢がいいなと。絵もメジャー感がありますね。
編集部員・O
一度だけ打ち合わせをして気になる点を伝えたら、もうこの応募作の内容が出てきました。
モーニング編集長・島田
つまり、運動神経とかカンがいいんだろうね。
編集部員・J
金貸しというネガティブに捉えられがちな仕事を、違う視点で見ていて、新鮮さを感じました。主人公も好感が持てますね。


『ゆきみち』
瀬尾里紗(鹿児島県・18歳)

☆2次選考通過作品
【ストーリー】 明治37年秋、日露戦争の最中。千代子に届いた戦地の兄からの手紙。字が読めない彼女は、奉公先に下宿する操に手紙を読んでほしいと頼む。兄から届く手紙を操に読んでもらうのが、千代子の習慣となった頃……!?

編集部員・J
第63回のちば賞で、『chante』という作品で2次選考落ちした方です。受験勉強中は漫画は控える、と決めていたのですが、その合間を縫ってこっそり完成させてくれたのが、この作品です。なので、打ち合わせはしていません。きちんと調べ物をして世界観を作っていますし、ドラマを描くという点では、前作よりかなり進歩していると思います。
編集部員・L
話の筋は結構ベタなんだけど、この年齢でこれだけ正面から描いているのはすごい! 将来性に期待しています。
編集部員・G
歴史が好きなので、楽しく読みました。戦争の考証とかも引っかかることがなかった。大人の視点がきちんと目利きできているし、キャラクターの表情もよかった。実は脇役がいい演技しているんですよね。僕の中ではちゃんと物を作った人の作品だという印象で高評価です。
編集部員・F
確かにしっかり堅実に作っている印象はあるのですが、原稿の完成度がまだ低いように感じました。
編集部員・B
指摘すべき点を挙げればいくつもあるかもしれないんですが、これからいくらでも成長する方だと思います。ありきたりな戦争ものなのかなと思いながら読みはじめたのですが、大なり小なり、読者の予想を裏切る「驚き」のある展開や感情を描いているんですよね。意外な人物が、味のあるセリフと表情で登場したり、結構オリジナルな視点を持っている方だと思いました。



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週刊Dモーニング

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週刊Dモーニング2017年52号
2017年11月22日配信
スマホ版モーニング月額500円で配信中

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モーニング・ツー

モーニング・ツー

モーニング・ツー2018年1号
2017年11月22日発売
定価:本体546円(税別)
発売中

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